調査履歴

“2012年 R地区調査” 編 (48)



12.04.
24 Plateau 「見直し・開拓調査 その7」 
                                                                                                  

4月の下旬になりました。
カミキリムシの野外活動シーズンは
早いものでは既に始まっています。
やることが益々増えていきますね...

引き続き...

 ・既知産地における その後の様子 を確認すること
 ・既に確認された種の新産地を見出すこと

・・・を、テーマに掲げ 頑張りたいと思います。
勿論、その中で新たな発見があれば それは嬉しいことです。

また、R地区ではこれまでに記録がなかった
コジマヒゲナガコバネカミキリや、トワダムモンメダカカミキリが
キブシの材飼育により 無事に羽化脱出しました。
こちらの野外活動の様子や 分布状況も
できるだけ把握していきたいところです。



朝から眩い光が射し込んでいます。
今日は、とても暖かくなる予報です。

久しぶりに弁当を持って、調査に出かけました。




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坂道を上り下りしていると、荒地に マツの幼木が生え出していたので
ちょっと立ち寄りました。

さすが、痩せ地の先駆けですね。 抜け目ない。。

もう少しで花が咲きそうです。




こんな海側の平野部でも、あのハナカミキリは棲息するのでしょうか。。
千葉県では、北総方面でも古い記録があるようです。

ムシなんて、分からないですからね。。
R地区に、アカネトラ などが自然分布していることなど
長年暮らしてきた僕にも予想がつきませんでしたから。。
逆に トゲヒゲトビイロなどは、以前から
yasu くんや お友達へ話していたように
ずっと存在して然りだと思っていました。


1980年前半。 クワガタブームがやってくる、はるかに前のことですけど...
子供の頃には、路上にオオクワの轢死骸がありましたよ。
小さな♂を採集した子もいました。
また街灯下には、タガメも落ちていました。
持ち帰って標本にしたのを良く記憶しています。
ベーツヒラタカミキリの記憶も... 実はあったのです。

1960年代には、ミヤマクワガタ や ナミゲンも普通にいたそうです。
今ではとても考えられないでしょうね。。



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小話はこのへんにして、次へ...
気にかけていたカエデが、満開になっていました。




見上げれば、物凄い数のムシが舞っています。

掬ってみたところ、カミキリムシについては ホタルのみでした。


Dere thoracica WHITE,1855



まだ午前中です。
気温は ぐんぐん上り調子ですから
少々時間をあけて、また来ようと思います。


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沿道のスギ並です。

ここは白地図上の空白区域ですから、▲プロットを打ちたいところです。




でっか!

車を降りるなり、いきなり足元に登場しました。

こんなに大きなスギカミキリの♀を、僕は見たことがありません。



Semanotus japonicus (LACORDAIRE1869)



早々に ノルマ完了です。
しかしせっかくですので、周辺の様子も見ておこうと思います。

陽当たり + 風通し が良いですね。
好条件下で、ダメージを受けているスギには
例え幹が細くても 群がってきます。




ちょっと暑くなってきました。 気温は23℃に達しています。
この時期にしては珍しいのでは??

先日、沢山の死骸を見たばかりですけど...
今日あたりに 活動のピーク を迎えるのではないでしょうか。。


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大きく移動して、懐かしい場所へ。。




ここは、いつか来た “ みち ” 。

6年前 ( 06.05.21 ) に、yasu くんが前方右手の雑木林から
沢山のネジロカミキリを見つけました。

しかし、林床のタラノキは シノダケや下草に被われ滅びてしまい
もう姿は見えなくなっていました。




まぁ、どこか条件の良い場所へ移動して
生き永らえていることでしょう。

シロスジカミキリにせよ、里山の人工管理が行き届いた環境に
彼らの繁栄の糸口があります。

いわゆる、非自然を好むパターンも ありきです。


のどかな小道を歩いていくと、ここでもスギカミキリを見かけました。




特に発見はなかったですが
木々の芽吹きが始まる頃の 暖かな風に包まれて
妙に居心地が良かったです。




林縁を辿り、前方に見える小屋の方へ。。
その右手では、スギ林が伐採されているようです。




途中で、タラノキを見かけました。

おお〜♪ いてくれました。

半枯れの部分に 小さなカミキリムシのペアが 2組。
何だか、ホッとしますね。


Pogonocherus seminiveus BATES,1873



さて、伐採地です。

予想通り、ヒメスギカミキリが 走り回っていました。

赤、緑、紫、それらの混合と、色とりどりです。

しかし写真を撮りたくても、元気が有り余っている ご様子で...
なかなか静止してくれません。

これが、ようやく撮れた 1枚です。


Callidiellum rufipenne (MOTSCHULSKY,1860)



こんなのも見つけました... クモの巣に絡まれた、スギカミキリです。





現場を去る前に、熱心に望遠鏡を覗いている方を発見しました。

声をかけてみれば 何と 水戸昆の先輩で
トビケラを研究されている Katsuma さんでした。


お久しぶりです!

今日は仕事で 来られたようです。

近くに yana さんも来ているそうなので
トランシーバーで、連絡を取ってくれました♪




yana さんが スタンバイしている場所へ移動して
そちらでも久しぶりになる ご挨拶をしました。

こんな場所でお会いできるなんて、嬉しいものです。

“ さっき、スギカミキリが飛んでいましたよ。 ” とのこと。。

やはり、今日は活動のピークを迎えているのかもしれません。


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ならば、更にスギを追っていくまでです。

原点に返り、初めてスギカミキリを採集した林を
数年ぶりに見直してみました。




立ち枯れより、スギカミキリの♂を。。
倒木より、ヒメスギカミキリのペアを見つけることができました。

こちらの ヒメスギは、マウント行動をとっていたので何とか撮影できました。


Semanotus japonicus (LACORDAIRE1869) Callidiellum rufipenne (MOTSCHULSKY,1860)



それにしても... 彼らによる食害の痕は痛々しかったですねぇ...


健在ぶりを喜んでいいものか... (^ ^;;

激しすぎるのも、どうかと思いました。


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最後に、午前中にチェックした満開のカエデを もう一掬い。。

お! コジマヒゲナガコバネが入りました。

R地区内におけるプロットが複数になることは
棲息事実の証明度を高めるものです。

あえて脚を運んで正解でした。


Glaphyra kojimai (MATSUSHITA,1939)



その他、ヒメクロトラカミキリが 3頭入りました。

些細なデータかもしれませんが、しっかりと蓄積していきましょう。。



〜 後記 〜


16:30 に帰宅しました。

気温が ぐぐっと上がり、野の小道を歩いているだけで
気持ちが高ぶりました。

ウキウキしましたよ。 改めて、春ですね。。

重要なお仕事中に ご迷惑をおかけしましたが
久しぶりに Katsuma さんや yana さんとお会いできて、嬉しかったです。

この日は、スギカミキリが メインとなりました。
見直しや新規ポイントの確認などが捗り
有意義な調査になったと思います。


これは、自分自身に課した任務です。
やるべきことに、邁進します。




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