調査履歴

“2012年 R地区調査” 編 (51)



12.07.
02 12.07.22 Plateau 「見直し調査 その10」 
                                                                                                  

早いもので、7月です。
シーズンのピークを迎え、そして越えていきます。

長年継続してきた R地区調査@カミキリムシ の節目まで
残すところ、およそ2ヶ月ばかりとなりました。

これまで通り、やれるだけのことを繋いでいくのみです。



12.07.02


こちらは、早朝@出勤時の写真です。

雨ですねぇ。。

自転車をこいでいる おじさんは
毎朝 必ずお見かけします。




この日、いつもの登り坂を越えたのは 僕の方が後でした。
つまり、若干遅刻気味だったということです。。(^ ^ヾ


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16:00。。

定期考査中だったので、職場を早くあがれました。

雨はやみ、陽もまだ充分にあります。

これはラッキー♪

帰路を急ぎ、R地区へ舞い戻りました。




通勤経路の周辺で見回りできることが
この調査の強みです。

今回も テイカカズラを覗いてみました。

そろそろ いいんじゃないかな??




密集する葉の裏側を覗いてみると、こんな感じになります。。

互いに絡みつく蔓を叩いてみたところ...




やった!遂に落ちました。 イボタちゃんです。

確認されたのは これ一頭のみでしたが、それで充分ですよ。


Sophronica obrioides (BATES, 1873)



北限は東北地方に至っている本種ですので
常緑照葉樹林帯のR地区なら存在して然りですよね。

以前にも記したように、鹿嶋市出身の Fuda くんは
もう随分前@中学時代から本種を採集・保管しています。

ならばこそ、少しでも多くのプロット@棲息真実を刻まねばなりません。

また一歩前進しました。


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12.07.08


晴天の日曜日となりました。

7月の上旬といえば、カミキリムシを調査するのには
かなり重要なタイミングです。

久しぶりに大好きな山へ!
という考えも浮かびましたが
今年は、あえてR地区調査に徹します。




既にベーツの存在を明らかにしている
環境保全地域に辿り着きました。




ここのテイカカズラも、以前から気になっていました。
前回のプロット地点より、大分北上してますが...
イボタちゃんは うまく見つかるでしょうか??

今回は、捕虫網で掬ってみましょう。




上に掲載した写真のように
高所から ぶら下がったテイカカズラが
かなり沢山あります。

ダメージを受けた蔓に目を配りながら、およそ20分が過ぎた頃。。

どうも ありがとうございます。 (^-^)

ようやく 1頭が見つかりました。


Sophronica obrioides (BATES, 1873)



いやぁ、嬉しいですね。 これで また少し前進です。

幸先良い手応えに満足しながら、マイ・カーの傍へ戻ってきたところ...


えっ??


何気に目をやった常緑樹 (モチノキ系?) の葉上から
突然 真っ赤なシルエットが飛び込んできました。。

もしかして!?




うわ〜っ!(>_<)

よくぞ来てくれました!



大袈裟な言い方ですが、クスベニです。

山間部で既に採集してますし、決して珍しくもないのですが...
R地区では調査不足のため 記録が少ない種類の一つだったんです。

[材採後の羽化脱出]、[海岸砂浜における死骸拾得] に続く
3例目になるでしょうか ( 厳密に言えば )。。

しかし、タブノキ、ヤブニッケイ、アブラチャンなど
寄主植物のクスノキ科が豊富な ここR地区では
元来広く分布して然りな種類だったと言えます。


Pyrestes nipponicus HAYASHI, 1987



今春、水戸の かにやで 高桑先生から ご理解を賜ったように
珍種であろうが、凡種であろうが
ありのままの事実を、正しく書きとめることに重きを置いてきましたから
ここでの出会いは、本調査における大きな前進でした。

一般的に高所に潜んでいることが多く、見つけにくいと聞きますが
暖められた車のぬくもりか何かを感じて降りてきたのでしょうか。。

いずれにしても、まず初めに ここを訪れて大正解でした。

ベーツに始まり、クスベニ、イボタちゃんなど、常緑照葉樹林の役者が揃い
この森に対するイメージが更に良くなりました。


ここで一息を入れ、yasu くんに電話を入れてみました。

やはり、彼もフィールドワーク中だったようです(笑)。

なんと、クリイロシラホシや ムネモンヤツボシなど
また乙なカミキリムシを沢山採集し、かなり興奮気味でした。
いやはや、凄いわ。。(^ ^;;

 ※これらの記録も、るりぼし41号の発行に間に合わせ投稿する予定だそうです。


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さてさて、調査再会です。

4月の上旬以来、ここは何度目の訪問になりますか。。
サクラがある場所へやってきました。


まずは、ヒメヒゲナガカミキリの登場です。。


Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873)



そして!

本命の、ヤツメカミキリ@R地区2例目 が現れました!


Eutetrapha ocelota (BATES, 1873)



どうやら♀のようですね。

数年前、鹿嶋市出身の Fuda くんから
太平洋の砂浜に程近い、コンビニの照明下で本種が採集されたことを
伺ったときは、本当に意外でした。

しかし、こうして 2例目をあげることによって
それが偶産ではなかったことを無事に証明できました。

よかった。。

山間地域でもないのに、1日でこれだけ意義のある成果があげられれば
御の字ですよ。


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12.07.14


この日も、サクラの様子を眺めにやってきました。

ヤツメカミキリは、やはり確実に定着しているようです。

こちらの♀は、産卵のため 樹皮に傷をつけていました。。



Eutetrapha ocelota (BATES, 1873)



樹上を見上げれば、ヒメヒゲナガカミキリのペアが。。


Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873)



そして、産卵管を入れる セミスジコブヒゲカミキリの♀です。


Rhodopina lewisii lewisii (BATES, 1873)



それにしても、今夏はちょっと暑過ぎますね。。

窪みに溜まった かすかな湿気の周囲に
アマガエルが群れていました。

この様な光景を、最近良く見かけます。




子供の頃、初夏のセミという印象があった ニイニイゼミが
果敢に鳴いていました。





夏の峠を越え、次世代の繁栄のために生きるカミキリムシの営みが
少し儚く 映り始めました。

子供達の夏休みは、まだ始まっていませんね。。



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12.07.21


近所のクワ畑。。
というか、10年以上放置された クワの林を覗いてみました。




お!今年も見つけましたよ。




トラフカミキリです。




こちらにも。。


Xylotrechus chinensis chinensis (CHEVROLAT, 1852)



樹上には...




キボシカミキリが溢れています。


Psacothea hilaris hilaris (PASCOE, 1857)



僕が小学生の頃、まだまだ養蚕が行われていた時代には
あちこちに クワ畑がありました。

そこで、縄文式土器のかけらを収集していた記憶が懐かしいです。

そんなクワ畑は、決して潰されてしまった訳ではなく
このように放置され、林や藪と化しているケースが多いんです。

相変わらず キボシカミキリが勢力をふるっています。
しかし、クワカミキリだけがめっきり減ってしまった印象です。。

近年は、ケヤキの人工林で勢力を盛り返しつつあるようですが
あのように大型のカミキリムシでさえ
見ることが簡単でなくなるのは、いささか寂しい心境ですね。。


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続いて... マツの幼木群をチェックしました。

ちょっと下草が伸びてきましたね。。




お、黒いのがいる!




でかいですね〜。
せっかくですから、勉強したことを 復習してみましょうか。。



Prionus insularis insularis MOTSCHULSKY, 1857



後肢脛節の上縁に沿って、くっきりと溝が入っています。
やはり、ノコギリカミキリですね。




ニセノコの件以来、繰り返し見つめてきたせいか
本種が大好きになっていましたよ。

久しぶりに、採集することにしました。



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12.07.22



翌、日曜日になります。

一昨年、歩行虫用の ベイトトラップを仕掛けた平原にやってきました。
最近、マキの粗朶が積まれたようです。




そろそろ見ておくべきかな?と思い、入念にチェックを入れてみました。

しかし、動くカミキリムシの気配は全くなし...
剪定された枝ですので、傷んだ箇所も見つけやすいと思ったのですが...
千葉県に侵入したトラカミキリの足跡は見出せませんでした。

これまで民家の生垣や 神社の植木などを再三見てきましたけどね。。
とりあえず異常なし、結果オーライということで 良かったのではないでしょうか。

しかし、下流域... 細長い 隅っこの方には、既に入っちゃってるかもしれないな。。
今後、もし発見されることがあれば、移入種 ( 外来種 ) 扱いとなります。




林縁に茂るクワの葉上には、キボシカミキリが沢山いました。

本当に良くお会いしますね。


Psacothea hilaris hilaris (PASCOE, 1857)



明らかに、こちらを見ております。。(^ ^;;



〜 後記 〜


以上、5日分の R地区調査 備忘録 になります。

8月を目前にして、カミキリムシの賑わいが 大分和らいできたようです。

しかし、じっくりと見つめ続ければ
月日の流れに応じた “ ならでは ” の種類が出現するものです。

遂に、R地区調査の総仕上げに入る機が訪れました。

昨年来の下見を踏まえ
これから、ベーツヒラタカミキリの分布調査を再会します。

最後まで抜かりなく、そして気負わずに参りたいと思います。




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