調査履歴

“2013年 R地区調査” 編 (53)



13.06.18
13.06.23 Plateau 「R地区のアオカミキリ」 
                                                                                                  

今回は、アオカミキリに触れてみたいと思います。

我が茨城県における 従来の記録地点を概観してみると
然るべき棲息地である山間部から
市街地均衡の平野部にかけて 幅広く分布しているようですが
とても散発的で、個体密度は少ない印象です。

ここR地区においては、2003年に
札くんのお父様が採集した1例があるのみでした。

しかし本種は、植栽用のカエデ類を加害することで知られるようになり
近年では、公園緑地や街路樹などからの採集例が増えているそうです。

昨年の11月に、千葉にお住まいの takao_bw さんと 息子さんのkeizi くんから
本種に加害されたカエデ類の特徴を教えていただきました。

それ以降、早速 各地を下見してきましたが
意外にも あちこちで分布していることが予測できました。

ようやく成虫の活動シーズンが訪れたので
答え合わせをしておきたいと思います。



13.06.18


まずは、昨年の 11月に takao_bw さんらと訪れた造園地へやってきました。

カエデの幹には、このような羽化脱出孔が沢山あいています。

ただこちらは 少々古いもののようですね。。
新しい孔ならば、樹液が水のように溢れ出しているんです。




上方に目をやりながら、暫く園内を徘徊していると...

いた〜!

まずは飛翔中の2個体を、ネット・インできました。


Schwarzerium quadricollis (BATES, 1884)



ここでは、現場を管理する業者さん ( 若いご夫婦 ) と
お話をさせていただく機会もありました。

幼木から育てることはあまりなく
いつも ある程度成長した苗木を購入しているので
どうしても その段階で入り込んでしまうそうなんです。

“ 頼むから、全部 持っていってよ!” とのこと。。


相当に手を焼いているみたいでしたが...

スミマセン!僕は これで充分なんです。。m(_ _)m

ご親切にしていただき、どうもありがとうございました。



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13.06.23


昨年 ベーツヒラタカミキリの分布調査のために訪れた とあるお寺にやってきました。
ここでも、アオカミキリの食害痕が目立っていたんです。




道路際に植えられたカエデに 陽が当たっていたので
じっくりと 樹冠部を眺め続けることにしました。





暫くすると、フワッと 緑色のカミキリムシが宙に舞い上がりました。

やはり いました!

一瞬の出来事で、撮影など とてもできませんでしたが...
写真 (↓) の中央から向こう側へ舞い降りていきました。





ジリジリと照付ける陽射しの下で、40分ほど粘り...
ようやく、この地へのプロットを確定しました。

ただ... やはり植栽樹から発生している個体です。
あくまでも、人為的な移動により もたらされた分布でしょう。。

しかし、美しさだけは確かなものです。


Schwarzerium quadricollis (BATES, 1884)



ふと見ると、水色のカミキリムシが低空浮遊していました。

お!今度はラミーだ。。

付近にカラムシは見られませんでしたが
もうわざわざ探す必要はなくなった... ということでしょうか。。

因みに、現場は R地区の2産地目となります。

茨城県へ侵入してからの北上ペースは非常に早かったんですよ。。
しかし、湖や河川、海洋に阻まれた R地区への進出は、1テンポ遅れた気がします。



Paraglenea fortunei (SAUNDERS, 1853)



6月ですので、アジサイの花を。。




ヨツスジハナカミキリが 訪花していました。
カミキリムシは白色が好きみたいです。


Leptura ochraceofasciata ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861)



ググ〜ッと 移動して、実家の裏手... 食品製造会社方面へ。。

ここにもカエデの植木が 整然と並んでいるんです。
しかし残念ながら、成虫を確認することはできませんでした。

足跡が残されているので、どこかにいると思います。
また来ましょう。。





〜 後記 〜


この夏を利用して、R地区における アオカミキリの発生地を
幾つか把握することができました。

見つけ方を知ることができた途端に
意外にいるもんだ...という印象を受けました。

R地区のような沿岸平野部でさえ見られたわけですから
市街地近郊での採集例が増えているという噂も
妙に納得できた気がしました。

調査中に知り合った造園屋さんのお話では、本種のおかげで
仕立てたカエデが 売り物にならなくなり 困り果てているようです。

全てが植栽されたカエデから発生しているので、自然分布型とは言えませんけど...
( R地区における自然立地型の緑地は、シイやカシなどの常緑照葉樹林です。 )
これも、一時代の記録として いずれ書き留めておかなければなりません。
総じて善し悪しは分かりませんが、少しでも故郷の現状把握ができればと思っています。

それにしても、美しいグリメタですね。 姿形も素晴らしい。

takao_bw さん、keizi くんらに本種の羽化脱出孔や糞出孔の特徴を教えていただいたお陰で
冬季には充実した下見ができました。
それが この 6月になってしっかりと実を結んでいます。 どうもありがとうございました。m(_ _)m


Schwarzerium quadricollis (BATES, 1884)
13.06.23 採集





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