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- たおやかさ たおやかに生きる
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 生きとし 生ける物は 皆たおやかである
 硬直した物は砕けやすく 力強い物は転げ落ちる

生前、ブルースリーが、老子の言葉を引用して良く口にしていた言葉である。
彼は、ご存知の通り武道家であるが、これに良く似た例えとして次のようにも言っていた。

 
太くて固い樹の幹は、一見丈夫そうに見えるが、積雪によってたちまち折れてしまう事がある
 しかし、細く、しなやかな枝ならば、それを柔軟に振り落とす事ができる

また、こうも言っていた

 
心を空っぽにして水の様に、無形になりなさい
 水は、急須に入れれば急須の形になり
 カップに注げばカップの形になる。
 そして水は絶え間なく流れ、時に岩をも砕く事ができる。


…と。
 ある一つの物事に固執する事なく、周囲に対して柔軟に適応せよ…
そう言っていたのである。
さすが、中国拳法の独特の型にはまる事を嫌い、
ボクシング、テコンドー、柔道、合気道、ムエタイ、フェンシング、レスリング…etc
多くの格闘技に精通した結果
今や当り前となった
総合格闘技を、1960年代に(世界で初めて)創始しただけの事はある。

 人には皆違った個性がある。 顔も、体つきも、考え方も…
 だから、できあがる物が同じ製品であってはならない。

不器用なりに、武道に携わる私にとって、それらの言葉は強烈な印象を残した。
つまり、競技性を重視して、
一つの格闘スタイル(手段)に固執するのも良いが
本当に強くなるためには、柔軟に多くのスタイルを学び
それらをブレンドして
あらゆる境遇で(臨機応変に)、自分なりにどう活かしていくか
考えられる様にならなければならない…と言っているのだ。

私は、打撃しか知らない。
…が、知らないよりはいい。
ブルースリーは、映画「ドラゴンへの道」の中で言っている。
日本式でも、中国式でもやっておいて損はない!…と。
ただし、
信じるスタイルだけが絶対ではないと言う事を常に認識しておく事が重要だ。


自分を空っぽにして、他者の考え方を受け入れるゆとりを持ち、
それを
咀嚼して、自分なりにどう活かすか考える事は
人生においても同様に重要であると思う。

頑固な私は、たおやかに、柔らかく生きてゆく勇気を出さなければならない…。
2000年 10月

できる人
できた人
できた人を目指して

 ずっと昔…
力強い肉体、柔軟性、バネで
巧みな技を使う事が “
できる” ある人に憧れた。

いつの間にか
そんな人になりたくて始めた日々の鍛錬が
私を少しでも できた” 人間にしてくれたらいいな…
って、そう思う様になった。

未だ、“
できる” 人にも、 “できた” 人にも到達していないが
この社会が求めているのは
できた” 人よりも、 “できる” 人なのかなぁ…
2000年 9月

※「みち端で拾った“宝物”」表紙へ