採集履歴

“2004年 節目” 編(2)



04.04.18
(Sun) 快晴 Mt 「ケリをつける!」 
                                                                                                  

 待望の朝が訪れた。
今日もいい天気だ♪
一人起き出して、7:00〜トレを始めた。
シャワーを浴びて、それとなく出発の時を待っていた。

相棒は9:00頃起きてきたが
とりあえず、10:00開店のDoCoMoショップへ新しい携帯を買いに行く様なので
ならば焦ってもしょうがないと、仮眠をとりながら待っていた。。。

30分後、間もなく、機種変した相棒が帰ってきた。

そして早速私と母の携帯に、試運転として初メールを送ってきた。
それに対し

「今日は採集に出かけちゃ駄目で〜す!」…と母・笑

それではと、私は…

「早く、○▲×■※●に行くべよ〜!」

とレスしてやった・笑

相棒は笑っておった。
きっとこれで、昨日携帯を無くしたショックをリセットできた事だろう…。

本日も運転役の相棒には申し訳ないが、少々強引に私の意向(山)に添って貰う事にした。
悪いけど、水棲昆虫のタイミングじゃないんだよん☆

私の予感が間違っていなければ
今日は、幾度も回数を重ねてきた地元クワガタ採集行の、一つの節目となるはずである。


〜 昨日の余韻を求めて 〜


 出発は11:00。
途中コンビニで食料を、100円ショップで幼虫を収める為のケースを調達しつつ、高速移動した。
目的地、目的の材は既に決めている…。
ただただ、昨日(04.04.17)の続きを求めての、何の迷いもない往路となった。
 
そして13:30、2時間以上かけて、再び例の谷間がある、とある山の頂へとやってきた。
辺りには駐車場などないので、細い林道の目一杯片側に路駐…。
そこからは徒歩による上り下りの移動となった。

目的地まで一直線! しかし気持ちがはやるせいか、結構遠く感じる。
相棒は、ふざけてワザと息荒げにし、しんどい事をアピールしていた…(^-^;


立派なブナも生えてるんですよ。



〜 感動の遭遇 〜


 暫く歩き続けて、ようやく昨日のブナ材の在処まで辿り着いた…(^-^;
昨晩ここを離れてから、まだ20時間弱しか経過していないと言うのに
とても久しぶりに感じる…。

さぁ、続きと行こう!

ただ本日は、昨日最後の最後で失敗した、固くて乾燥した表面〜材芯部分をいじらないで
土中部分に着目してみる事にした。

特に理由はない。 何となく直感である。
単に“ミヤップ掘り”の名残かもしれない…(^-^;

何メートルもあるこの巨大な倒木を見渡して行くと
直ぐに、幹から分かれた、太い枝の根本が、土中奥まで埋まっている部分を発見した。

よっしゃ、ここを掘りながら削ってみよう…。

すると、おおおっ!

昨日と全く同じタイプの食痕があっとういう間に出てきた!
つまり、太くて、目が細かく、かちんこちんに詰まっているというやつだ…
間違いない、ヒメオオがいる!

そう予感した。
すると…おっ、出た!?

出た?

出た出た出た!


昨日程ではないが、これも大きい!

背部にいた相棒を呼び寄せて、とりあえず観察…そして撮影!


出ました!

昨日見たのと同じタイプの幼虫です!


このムチムチしたボリューム、朱色の頭…アカアシコクワちゃんとは大分違う…
この辺りならミヤップの可能性もあろうが
その風体は全くかけ離れている。

だとしたらヒメオオとしか考えられない!?

消去法からそう確信しつつも
やはりまだ信じられない気持ちで、丁寧に幼虫の寝床を造りつつ、ケースにしまい込んだ。

そして引き続き、この材の土中部分を削り始めた…すると、いきなりポカッと空間が現れた…

おおっ!?今度は 蛹室だ!!!

たかが蛹室の出現でこんなにドキドキした事はない。

あぁ、やっぱり…(T^T)

 「おい、やす!」

今度は、私の右斜め前方にいた相棒を呼んだ。

 「見ろよこれ・・・ やっぱりだよ!」


羽化不全の
ヒメオオの♂のお頭です!!!


蛹室内から、羽化不全のヒメオオ♂が出た事で
これでようやく実感が湧いてきた…。
やっぱり、さっきの幼虫はヒメオオだったんだね〜(T^T)

相棒は私以上に感動していた!

 「画期的だ!」

とか

 「おぉ〜っ!やったっぺね〜!」

等と声を上げていた・笑。

素人の我々にとって、生涯初の、しかも屋外でのヒメオオとの遭遇
言葉にならない程の感動する出来事だった。

それが、たかが死骸であっても …(^-^;

そして何と言っても極度に薄い地元からの採集だ…。
山地に飛びつかないで、粘っていて本と良かった。
多分、このフィールドからの発見は、他に例がないだろう。。。

そんな訳で、この小汚いくも神聖な(?)お頭をしっかりとケースにしまい込んだ…(^-^;



〜 とどまらない感動… そして遂に!〜


さてさて、仕切直そう。

やはり土中には、より多く潜んでいそうだ。

そんな訳で続いては、先程のブナ材ではなく
その下側を、クロスした状態で、半ば土に埋もれている材に目をつけた。
太さは50cm程で、表面は湿っており真っ黒である。

表面の柔らかい部分から少しずつ剥いでいくと、アカアシクワガタの新成虫(♀)が沢山出てきた…。
そして、固い材芯部分に近付いて行くと…

まただ!先程の様な太くて目の細かい食痕が出てきた!

そして、これまた出た!蛹室だ!
しかも中には、脱出できず☆になってしまったヒメオオ♂が入っていた…!


また!先程よりやや小さめですが、続きます!



むむ… こうやって羽化不全であったり、脱出できないまま死んでいく個体も沢山いるんだね〜。
蛹化する時ぐらい、材の表面付近に出てこなくちゃ駄目だよ〜
大半はそれをやってるんだろうけど
たまに忘れちゃう子もいる様だ。。。

二度目のお頭との遭遇時は、多少慣れたせいもあって、落ち着いた解釈ができる様になっていた…(^-^;


さぁさぁ、そんな自己に感心している暇はないよ。
この材に走っている食痕の両たるや、決してこの一頭だけの物とは思えないぞ!

その後は、指も使って慎重に崩していった。
昨日の様な失敗には、ホトホト懲りているせいもある…(^-^;

すると、芯中の芯、いわゆる木材の随の部分から、またまた小さな蛹室を発見!

先程の死骸が入った蛹室から20cm程しか離れていないが… また、死骸かな???
そう思った…

しかし、ゲゲッ…マジでか!?

今度は、中で何やら動いたぞ! 間違いない、クワガタだ!

しかも黒い!節々の造りはアカアシよりも太そうだ…!

「!?」

おっと、しかし待てよ…!?
この感動は、相棒と2人で分かち合わねばなるまい…

答えの確認もせず、半ばヒメオオがいた事を確信し
一端間をおいて、相棒を呼んだ。

相棒は間髪入れず飛んで来た!
何も告げてないが彼も何が起こるのか半分気付いている模様…

さぁ、行こうか…

「これは、何だ〜!?」


さぁ、出てきますよ〜!ここで一端撮影しました…。


相棒共々、見つめる視線の先は一箇所…
ドキドキしながら、人差し指でこの黒いクワガタをお尻側から掘り起こしてみると…

「来た〜〜〜!!!! (>_<)」

100%ヒメオオ♂


ヒメオオクワガタDorcus montivagus montivagus :LEWIS, 1883):♂


生涯初!しかも地元採集の願いが本日ここで叶ったぁ♪

何よりも、相棒が嬉しそうに興奮していた。

それもひっくるめて、私だってそうだ…
こんなに嬉しい思いをした記憶は、ここ数年身に覚えないぞ!

私が書いている様なヘッポコ採集記を読んでくれている方は、学生や後輩に多い様だが

なかなか伝わらないだろうなぁ…この嬉しさは。。。

たかがクワガタ…結局は自己満足なんだけど、とりあえず、凄い事なんですよ…(^-^;

この想い、一生忘れまいゾ♪ > 相棒!



〜 我に返って少し考察 〜


 ところで先程のヒメオオ、こんな食痕だらけの材芯部分から出てきた訳だが…


詰め込まれた食痕…この中にいました!


その食痕は、乾燥した粘土の様で、坑道にびっちりと詰められており、やや緑色に変色している部分もあった…
これで何となく、ヒメオオの幼虫が成育している環境と、その足跡の特徴を学習できた気がする。


この様に、固まった粘土の様な、でっかい食痕です…。


それにしても、本日運良く採集できた先程のヒメオオ♂といい、こんな所で羽化しちゃってて、良かったのだろうか?
この子がいたすぐ側からは、脱出もできないまま死んでしまった同♂がいたというのに…。

その後、落ち着いた所で、もう暫く周囲を削ってみると
バラバラと、墓場の如く、☆になった個体が幾つも出てきた…

まずこれは、菌糸まみれになったヒメオオ♂の死骸…


菌糸にやられてしまった特大ヒメオオの♂


これは超ビックなアカアシ♂の蛹!
…だった筈なのだが、材表面の蛹室内で、☆になっていた。
こういうのが、50mmを有に超える様な個体に変身するんだろうな…。


超ビックなアカアシクワガタ♂の蛹(死骸)も出てきました…。


結局この後、ヒメオオの成虫を追加する事はできなかったが
最終的に、トータル5頭ものヒメオオ♂の死骸が出てきた。
大分死んじゃうんだねぇ…。


〜 帰ろう! 〜


 ここへやってこれて、本当に良かった。
色々と、お世話になりました☆
また、宜しくお願い致します…。


陽が沈む前に…車まで、辿り着かなければ…


 市街地へ入ってから、閉店間際のエネオスを見付けてガスを入れつつ、一端実家へ …20:30。
そして毎度ありがたく、晩ご飯を美味しく頂いてから、各自のアパートに散った。

日付が変わってから、無事に千葉のアパートへ到着 …0:20。
汗まみれで、とてもくたびれたが、それが何となく、心地よかった。

今週中にあった、ゴチャゴチャした問題が、ほんのひとときとは言え、どうでもよくなった。。。



〜 後記 〜

 後日、先輩からお祝いのメールを頂きました。
思えば、ただただ、アドバイスのみをくれた事もありました…心から感謝しています。
ありがとうございました!

正直、今だあまり実感が湧かないのですが、ホントに嬉しいです♪
でもお伝えした様に、その傍ら、複雑な気持ちでいっぱいです。

この採集記を書こうか書かまいか、相当悩みました。

しかし、私にとって“節目”となった大事な採集行だったので、思い切って書く事にしました。

いずれにせよ、「機」が訪れた時、つまり…
決めなければならない時に、決める事ができました。

この感動の想いを生涯忘れる事はないでしょう…☆彡


主な確認種 〜

●クワガタムシ科
 ヒメオオクワガタ
成虫1幼虫× 死骸×5




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