採集履歴

“2004年 初夏の昆虫採集” 編(3)



04.06.26
(Sat) 快晴 Mt, Hill 「季節外れの材割りで再び感動をゲッツ♪」 
                                                                                                  

 今日は珍しく涼しい。
ムシ採りに影響は出ないだろうか!?

なんちゃって…(^-^;

昨夏の経験を思い起こせば、とても贅沢な心配である。
まだ6月ではないかい…(^ ^ゞ
(いやいや、もう6月が終わろうとしているのだ・笑)

…とは言え、本日はこれと言った目標など定めていない。
ただ、何となく山へ行きたくなった。

そんな漠然とした動機しかないが、昼過ぎからふらっと出かけてみる事にした。


〜 おさらい 〜


 標高を上げる前に、春までに見付けておいた気になるポイントへ寄り道して行こう。

まずは樹液を出すには時期早々の「Sポイント」をやり過ごし、主の家の横から細い路地に突入した。
奥には春先に見付けておいた雑木林があるはずだ。

因みに主は、家の前でお孫さん2人と楽しそうに遊んでいた。。。
実に1年振りにお顔を見た事になる。

で、路地を進んでいくと
今度は行く手を阻む猫chanと遭遇…

可愛いのだが、いくら車で近寄っても、どこうとしない厄介者であった…(^-^;


お〜〜い!

お゙ い!!


柳が群生している湿地帯を抜けて
ようやく目指してきた雑木林に辿り着いた。
水棲昆虫探しの際に見付けておいたポイントである。


雰囲気は良さそうです。。。


う〜む…
良さそうなクヌギやコナラが何本かあったのだが、樹液は不発の模様。

ただ、前回は気付かなかった栗の木に、あちこちから樹液が垂れている事が分かった。
夏が本番になってから、またやってくる価値がありそうだ。。。


 続いては、「ミヤップの郷」へ。
前回とは別の材置き場にて、またキイロトラカミキリを発見した。
今頃がピークなのだろう。。。今回も沢山いる!
せっかくなので、彼らの元気な姿を写真に収めておくことにした。


キイロトラカミキリDemonax notabillis notabillisPASCOE, 1862

ペア〜♪

写真を撮る私を、相棒が撮ってました…(^-^;


 お次は「細道」…根太クヌギへ。
急斜面をあっと言う間によじ登っていく相棒を今度は私が撮影・笑


どんどんよじ登る相棒です…


うぉ〜!
相変わらずの樹液の量!


煤が着いた様な、壮絶な樹液跡です。


今回の根太は、スズメバチンが1頭しかいなかったので
安心して洞や、周囲の落ち葉の下を覗いてみると
コクワちゃん6♂やス〜ジ〜4♂がワラワラと出てきた。
多分、もっと沢山潜んでいるのであろう。

ス〜ジ〜の一頭は、31mm程の大歯型だったので一度は採集。。。
しかしよく見れば中足が欠損していたので、後程リリースする事にした…(^-^;



〜 山へ…そしてお宝をゲット! 〜


 方々寄り道を重ねる内に、思い入れのある山の一つへ到着した。
もう夕暮れ時である。
てっぺん程ではないにせよ、実に景色が綺麗だったので何枚も撮影をしたのだが
残念ながら掲載はできない。。。m(__)m

標高は、さほどではないにせよ、ここにも立派なブナがあり
以前アカアシオニルリなどの高山種を確認している。
よって今回は思い切ってヒメオオを探してみる事にした。

そう易々と見付けられるクワガタでない事は分かっている。
しかし、わずかな経験ながら、ヒメオオが産卵する材の特徴や環境が何となく分かってきた。

大分暖かくなってきたので、成長した背の高い下草をかき分けながら、山の斜面を歩き回り
じきに、もってこいの巨大な倒木を発見した。

ヒメオオは、材芯部分を好む。
よって、この固くて太い材を根気よく削っていかなければならない。

季節外れに材割りなんてやるとは思わなかったので
軍手などは持ってこず、すぐに手がマメだらけになってしまった。
ひぃひぃ…(^-^; (→ショボい。。。)

頑張って削っていると
遂に太い食痕が現れた。
間違いない!このカチンコチンで緑色を帯びた食痕はヒメオオの物だ♪

丁寧にそれを追っていくと、直ぐに埋め戻しのないトンネルが現れた。
運が良ければ、この先にヒメオオがいる筈だぞ!?

さてさて…
結果はいかに!?


この食痕、坑道…間違いないです。。。

ヒメオオでしょう!


やった!

どうやら正解の模様です♪
ある一定の広さがあるトンネルの中には、ムチムチと太ったヒメオオの幼虫がたたずんでいた。

っしゃ〜 (>_<)!この材には、ヒメオオが入ってる!

伝わらないかもしれないが
それを確認できただけでも、非常にラッキーな事なのである。

とりあえず、運良く幼虫が出てきた所で、私はリタイヤ。。。
手にできた9箇所のマメが痛くて痛くて、それはもう泣きそうだった…(^ ^ゞ
そんな訳で、後は相棒に託す事にしよう(→ショボい。。。)


暫くの間、私が柔らかい材にてオニの幼虫を見付けて喜んでいると、相棒が

おっ!?

と歓声を上げた。

ちょい待ち!俺にも見せて!!
イソイソと、相棒の側へ歩み寄って見てみると…

おめでとう !!!!

前回(04.04.18)の♂に引き続き、今回はヒメオオクワガタの♀がおった!


ボコッ!っと外界に顔を出した新成虫 : 相棒撮影

ヒメオオクワガタDorcus montivagus montivagus :LEWIS, 1883):♀


よっしゃ×2 (>_<)!

産地さえ違えど、これにて我が故郷で、1ペアを採集した事になる。

気長に待っていた念願がようやく達成されたと言えよう♪
あー…感無量。。。

そしてその後も、わずかながら元気な幼虫が数頭出てきた。
その反面、前回同様に、お亡くなりになった無念な蛹たちも沢山出てきた。

前回のポイントしかり、一般的にヒメオオは、無事に羽化できる蛹が少ないのだろうか…
合掌。。。


今回も、無惨な蛹の死骸が出てきました。


頑張ればまだ出てきそうだったが、これ以上の深追いは止める事にした。
県内では貴重なヒメオオである。。。
出してしまった幼虫は慎重に持ち帰り、飼育する事にしよう。


さぁ、夜の部にでも行ってみましょう。



〜 夜の部 〜


 かなりの距離を走って下山してきたというのに、気温がグングン下がっていった。
本日の出発時にも感じていた事だが
平野部の気温は一向に上がらなかったらしい。

結局、その影響が出たのか
行きつけの各ポイントでは…

「OB」→だめ
「がらくた」→ノコノコ1♀
「水浸し」→キックによりノコノコ1♂パチン☆!、カブト、どすん!…(^-^;

…と、何とも物足りない成績となってしまった。

しかし、期待の灯下ポイント「Sきょく」では、相変わらずムシの飛びは悪かったものの
側溝の蓋の下をライトで照らしてみると

つい〜!…っとタガメが水面を泳いでおった☆


ややや!?側溝の中には…

タガメ!そして、またもや♂です…


とりあえず、雌雄の確認だけしてみると、前回に引き続き、またもや♂であった。
これで、今年に入って目撃したタガメ9頭のうち、8頭が♂だった事になる。
どうも、初夏の♂は活動期らしい・笑!?


 さて、本日の夜の部はあまり期待できそうにないんで
これにて閉幕する事にしよう。
今晩は帰ってから、貴重な幼虫のケアが待っている☆



〜 後記 〜

 今回は、季節外れに材割り何ぞをやって手にマメを沢山作ってしまった…(^-^;
しかしその成果は、ヒメオオクワガタというこれ以上にないものであった。

終齢幼虫も数頭出したので、責任を持って飼育したいと思う。
帰宅後、食事をしてすぐに、1頭1頭の飼育環境を丹念に整えたのだが
今後、無事に羽化した成虫は、保存用のより大きい1ペアを残して、もといた自然に放してくる事にしたい。

当然、用いたマットは、幼虫が成育していたブナ材のブロック、そのままである。
ヒメオオの幼虫飼育は難しいと聞くが
既に終齢幼虫なので、後は蛹化、羽化を待つのみと予想される。

我が故郷では、希少種なのだから…私の娯楽によって無駄死にさせるのは辛い。

以前あ〜兄やんが、オオクワの♀を子孫繁栄の事を考え、採集せずに逃がしてきた事があったが
そこまで大それた事ではないにせよ、何となくその気持ちが理解できる。。。

いいムシが採れると、なかなか感慨深い物である。。。


〜 主な確認種 〜


●クワガタムシ科
 ヒメオオクワガタ1♀ 幼虫数頭

●カミキリ亜科
 
キイロトラカミキリ

●水生半翅類 : カメムシ目コオイムシ科
 タガメ1




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