採集履歴

“2004年 猛暑のさなかムシ採り” 編(6)



04.08.07
(Sat) 曇り〜雨 Mt〜Hill 「未採集のカミキリがいっぱい」 
                                                                                                  

 “夏空のもと、ムシ達が自然体で活動する様子を動画で記録しておきたい。”
これは昨年暮れからの相棒の希望であった。
理由は単純で
“冬季に夏季のムシ採りで味わった興奮をリアルに想い出したくなったから…”
である。
そんな訳で本日は、相棒が随分前から購入、準備しておいたビデオカメラの出番となった。

それではどこへ行こうか!?
山へ行こう。
カミキリ、クワガタ、水物の全てが行けそうなフィールドだからね♪
天候は下り坂だが、相変わらず猛暑が続いております。。。


〜 釣りを楽しまれる方々を見ながら 〜


 12:00きっかりに自宅を出発し
1時間後には本日登る山の麓へ到着した。
暫くは立ち寄る事ができないコンビニで食料を調達して
早速標高を上げて行った。

ん?
今日はいつもと違って、道路際がやたらにぎやかだなぁ…。
あたかも申し合わせたかの様に、沢山の渓流釣りの方々が見受けられた。
普段からある程度の姿はお見受けするが、今回は特別多い。

いっぺぇいんなやぁ〜。。。

釣りをやる皆様にも、「今日は釣れる!出かけよう!」
という気分になる様な、気候による判断基準とかがあるのかな??
前日の雨によって水かさが増しているだろうとか...
季節的なものとか...??

本日の私のムシ採りの場合、曇っているが、気温、湿度は高め…
その他に考えたとすれば月齢ぐらいか…。

単に土曜日、休日だから…だったりして・笑!

とりあえず皆さん、とても真剣な顔で頑張っておられた。

人それぞれ、余暇の過ごし方も様々なものだね〜。


そんな事を考えながら
さらに山道を登り、標高700m位のエリアで、いつものヤナギを蹴飛ばし

パチパチパチパチパチン!☆

…と、13頭のアカアシクワガタが一気にアスファルト上へ落下してくる様子を相棒がビデオカメラで撮影した。

なるほど、冬季にコタツへ入りながら、キックでクワガタが降ってくる様子をテレビの画面で眺めるなんて
なかなかおつな物である☆

とりあえず、おどかしちゃってごめんよ〜m(__)m > 13頭のアカアシくん。



〜 カミキリ採集 〜


 暫く走って、とある林道へ入った。
途中からひどい砂利道となるが
周囲の環境は普段まわっているフィールドの中では、ピカイチである。
ブナ、ミズナラ、カエデ、ヤマザクラ、山地生のヤナギ…などの大規模な樹林の谷間に渓流がある。

確認はしてないが、当然ヒメオオなんかもいるだろう。

ガタガタと超低速で車を走らせていると
フロントガラスの前をパタパタと、黒い甲虫が羽ばたいているのが見えた。

その甲虫、そばにあった大量の材置き場へ向かって飛んできた様だったので
ノコギリカミキリかなんかかな?
と思ったが、車を降りて手で叩き落としてみると

あらら、こんな所で会いましたか…

ミヤップの♀であった☆
相棒、すかさずこれをも撮影!


飛んできたムシは…

ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♀



当然、その材置き場をチェックしてみた。
ブナ、ヤマザクラ、ミズナラなどの各種広葉樹材が沢山積み上げられている。

すると間もなく相棒が、あっさりと黄色に目立つカミキリを発見した!


おお!何か見付けましたね!


肉眼では、若干グリーンを帯びている様にも見えたが
間違いない。
以前(04.05.04)にも採集した事があるヤツメカミキリだ♪


ヤツメカミキリEutetrapha ocelota:BATES, 1873


既に地元で採集した個体よりも一回り大きいぞ。
綺麗なフトカミキリ亜科なので当然お持ち帰りだ♪

モモ太で、腹部の断面が逆台形と、なかなか面白い体型をしている。
何となく、バナナな感じ・笑。


サイドビュー!


さいさき良く、なかなかの手応えを掴めたので
ここで暫く時間を費やす事にした。

直ぐに、お約束のナガゴマフカミキリも発見!
一応撮影しておこうかとレンズを向けてみると…

あれれ!??


ナガゴマフカミキリMesosa longipennis:BATES, 1873


初めは気がつかなかったが、すぐ横には、ぐったりしたトラカミキリが落ちていた。

ややや!?
これは相棒が以前から憧れていたウスイロトラカミキリではないかい??

どうやら間違いない様である☆

でも死んじゃってるの???
残念…(^-^;

しかし、触覚、脚、各パーツがしっかり揃っているので
これも標本用にお持ち帰りだ♪

こりゃ大収穫だぞい!

すると間髪入れず、釣りに用いるウキの様に色鮮やかなシマ模様のトラカミキリ
目の前を走っていった!

おいおい、ここ、色んなカミキリが湧いているぞ!!

興奮しながらも、手堅くそのトラカミキリを2頭程ルアーケースに確保してから
撮影に移った。
気がつけば沢山いる様だけど、すばしっこくてピントをあわせにくい…(^-^;


ニイジマトラカミキリXylotrechus emaciatus:BATES, 1884


ふぃ〜、ようやく撮影できた…(^-^;
この子らはどうやらニイジマトラカミキリの様だ。

確か何年か前に、るどるふ先輩もこのニイジマトラと、先程のウスイロトラを同時に沢山捕まえていた。
色彩や身体の文様は全く違えど、数ある“トラカミキリ属”の中でも同じ属に分類されるだけに
その生態は似ているのかな…???

ちなみに、両者の表情はこれまで採集した事のある
エグリトラや、ホソトラ、キイロトラ等の各トラカミキリとは全く違うものの、そっくり瓜二つであった。
面白〜い☆

…と、言う事はウスイロトラの生きムシも得る事ができるかな??


相棒、ここでもしっかりビデオ撮影です。


大量に積み上げられた材のあらゆる箇所を丹念に眺めていくと…

いた〜!ウスイロトラカミキリ

今度のは元気に走り回っている。
やっぱり君らはセットなのかな〜?

“ニイジマある所にウスイロあり” …か(笑)?

いやいや

“ウスイロある所にニイジマあり” …か。。。


ウスイロトラカミキリXylotrechus cuneipennisKRAATZ, 1879


指に摘んでしっかり撮影♪

あぁ…こんな簡単に未採集のトラカミキリを、しかも2目も追加できるなんて…(T^T)
嬉しすぎである。

そしてそして、そんな感動もさめやらぬ内に
更には車のフロントガラス上で、シラホシカミキリと、中型のカミキリ亜科、一気に2頭を発見!

この上まだ未採集目を追加できるのか!?
慌ててカメラを構えてみる!

・・・・・。

しかしながら、そう何もかも上手くはいかなかった。
彼らにはあっさり飛んで行かれてしまった…(^-^;
しかも撮った写真はピンボケ。。。
かつ、逃げられたカミキリ亜科については種の確認もできず。。。


ピンボケでしたが、明らかにシラホシカミキリ…。


う〜ん、カミキリムシの「採る前に撮る!」 これは難しいなぁ…(^-^;
特に小型種はやたら飛びまくるし。。。

気分を取り直して、別のシラホシの姿を追って材置き場を見渡してみたが、残念ながらお留守であった。

それにしてもこの材置き場では、初めて見るカミキリ3目に出逢う事ができ
その他ノコギリ、ヤツメ、ナガゴマフ、未確認のもの等を加えれば、一気に7目のカミキリがいた事になる。

何にせよ、本日はここへこれて、めちゃくちゃラッキー☆彡であった♪
ビデオ撮影の方もバッチリの様だ。



〜 ゲンゴロウ採集 〜


暫く流し、お次は良さそうな休耕田へ寄り道。
山間部は水が綺麗なので、この辺りでも中〜大型のゲンゴロウが多数生息しているらしい。
実際以前にもここでハイイロゲンゴロウや大型ゲンゴロウの幼虫(多分クロゲンゴロウ…)を採集している。

網は常備しているので
早速相棒共々水棲昆虫探しに転ずる事にした。


雑草がはびこってます…


いた!

上に掲載した写真の休耕田の、更に奥に見える1枚で
大型ゲンゴロウの幼虫を発見♪
おそらくはクロゲンゴロウであろう。
成虫とは似ても似つかない体つきをしているが
一応、こんなんです。↓↓↓


ミルウォームの体液を吸う大型ゲンゴロウの幼虫です。


当然この子はお持ち帰り。
羽化するまで、大切に育てたい。



〜 クワガタ採集 〜


 水棲昆虫採集から、ヤナギにつくクワガタ採集へ。。。
この辺りのヤナギの量たるや、それは物凄い。

しかしながら、これまでにアカアシミヤップノコノコ等、実績があるエリアまでの移動中に
出鼻をくじかれるが如く大雨が襲ってきた。

本日の天気予報は予め認識していたので
いつ来るか?まだもつか? …などと、ドンヨリした空の様子を常々眺めていたのだが
遂に来てしまった。
大洪水である。
恵みの雨だと信じ、車中から暫し様子を見る事にしよう。


ワイパー全開です…(^-^;


暫くすると、幸運な事に、雨は大分小降りになった♪
相変わらず空はドンヨリしているが
これぐらいの雨量なら支障はない。充分に行けるでしょう!

期待して来たヤナギのエリアを目の前にし
まずは道路際からルッキング。
すると相棒がヤナギの枝先につくコブを発見。
むむむ、あれはゴマダラカミキリの様である。


ゴマダラカミキリAnoplophora malasiaca:THOMSON, 1865


さらに、下草をかき分け
グシュグシュとヤナギが群生する湿地帯の中へ入っていった。

林の外周からチェックして行くと
晴れていれば、とても陽当たりが良さそうな場所に生育している
か細いヤナギのてっぺんから
大歯型のノコノコが3頭ほど闊歩している光景が飛び込んできた。

相棒を呼んで2人でそれを眺めてみる。

頭からびしょ濡れになる事を覚悟の上で
下草を潰し、そのヤナギを揺すってみると
ボタボタと5♂1♀のノコノコが降ってきた☆


ピンポイントに、ノコノコくん達が降ってきました☆


でかい!
うち1頭の♂は、66.0mmある立派な個体であった♪
自己ギネスサイズだったので当然お持ち帰りである。


ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusMOTSCHULSKY, 1857):♂66.0mm


しかし、羽化不全のためか右足の爪が退化しており、一見ちぎれている様に見えてしまう。
チョビッツ残念。。。

その後は、当たり前の様にアカアシクワガタの姿を何頭も確認できた。


やばい! また雨あしが強くなってきたゾ…(^-^;
早く車の中へ避難!避難。。。

これをきっかけに、相棒との相談の結果
本日はこの山とおさらばする事にした。

しかし、カミキリ、ゲンゴロウ、クワガタと
この山にて確認できるムシ達を、しっかりと採集、かつビデオ撮影できた。
相棒も、それなりに満足気な表情を浮かべている。
いやぁ〜、本日はここへ来れて良かった♪

山の麓付近まで降りてくると、ほんの束の間だが雨が上がった。


雨上がりの麓を一枚写真に収めてみました。


 さぁ陽も暮れてきた。
最後の仕上げに、ミヤップの郷に寄って「今宵のミヤップ」が何頭に至るのか
確認しつつ帰宅する事にしよう。。。


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861


その結果、今宵は「ガラスクヌギ」、「ガラスヤナギ」、「水浸し」、各ポイントにて、3♂1♀也。
今日一日では、昼間の1♀を加えて3♂2♀という計算である。
全て小粒なので、撮影だけさせて頂く事にした。。。

わざわざ寄り道しつつも
結局はリリースして行く訳だが
こうして小マメにチェックしていかないと
いつになっても70.0mmクラスには出逢えない。。。

我が故郷県内では
2004年7月以来、♂81頭、♀56頭、計137頭のミヤップを確認しているが
このうち60.0mmを越えた♂の個体はわずかに10頭ほど…。
採集して持ち帰った65.0mmオーバーはまだ3頭だけである。

数は多いんだけれど
大型個体が非常に少ない。
いや… 少なくなったのかな??
昨今の気候の変化あたりが影響しているのでは…??

まぁ何にせよ、遠い存在である地元での70.0mmオーバー、きっとそのうちに出逢える事でしょう。
ぼ〜んやりとそんな事を考えながら、本日の採集行を閉幕した。



〜 後記 〜

 21:30、実家に帰宅。
本日は悪天候だったものの、多彩なカミキリに、大型のノコノコクロゲンゴロウの幼虫と
色んなムシを採集できて大変楽しかった。
飼育、標本作製…etc、またやらなければならない仕事を増やしてしまった…(^-^;

相棒の方は、嬉しそうな顔でノコノコにノギスをあてたり
本日ビデオ撮影してきた、一連の採集模様を早速テレビ画面に映し出して
父に解説していた。
そして

父 : 「手がぶれすぎじゃね〜か?」
相棒 : 「しゃ〜ね〜べよ!」

などと、楽しそうに問答している様子だった・笑。
パチパチパチン!と、アカアシクワガタがアスファルト上に降ってくる様子などは臨場感たっぷりに撮れている様で
私も感心して見入ってしまった。

趣味、楽しみ方というのは、人それぞれに色んな形があるものだねぇ〜。
そう言えば、日中釣りを楽しまれていた皆様は、雨に濡れなかっただろうか。。。

とりあえず、本日採りこぼしたシラホシカミキリは、後日何とか採集しておきたいものである。


〜 主な確認種 〜


●カミキリ亜科
 ウスイロトラカミキリ
 ニイジマトラカミキリ
●フトカミキリ亜科
 ヤツメカミキリ
 ナガゴマフカミキリ
 シラホシカミキリ
●クワガタムシ科(ノコギリ1♂66.0mmを除き、全てリリース)
 アカアシクワガタ いっぱい
 ノコギリクワガタ 18♂♂♂♂♂♂♂♂ 2♀♀
 ミヤマクワガタ 13♂♂♂ 2♀♀





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