採集履歴

“2004年 出張” 編(1)


04.08.16 (Mon) 晴れ Mt 「ヒメオオ求めて初遠征!」
                                                                                                   


〜 まずは腕立てから 〜



せっかくのくつろぎムードだったのに
夜中に幼少期からの持病である喘息の発作が...。
これは最悪である。

体を横にすれば、呼吸できなくなってしまうので
仕方なし、30分程上体を起こしていた。

大分ラクになったが、時計を見れば既に4:00を回っている。
今の内に腕立てをやらなければならない。

人目につかない廊下に出て、35分程インターバルトレをして汗を流していたが
さすが北の地、朝はとても涼しく、やりやすかった。

と、そこへ
どこかの高校陸上部の合宿に引率で来ている顧問が、早風呂をすべく通りがかった。

足音がした時点で、とっさにトレをやめて、平静を装ったが
汗だくだったので、何をしていたのか察しがついた様だった。

「おたくも合宿ですか?」

と聞かれたが、自信を持って

「ムシ採りです☆」

と応えてしまった・笑
顧問はきょとんとしていたが、後に失笑していた。

公共の場でお騒がせしましてどうもスンマセンっ...(^-^;

それにしても、あと10分で事は済んだのだが...。

仕方がないので、残りは寝ている相棒の横で失礼させて頂いた。
とりあえず、ノルマ達成。

私も朝風呂に入って、気合いを入れた。

さぁ、今日こそは採ったるぞ〜っ!!



〜 感動の出逢い! 〜


7:30、精算を済ませ民宿を後にした。
ど〜も、お世話になりました!

この民宿、我々と、某高校陸上部に貸し切りだった模様。
若人は、朝のトレを終え次々と民宿前に戻ってきていた。

昨日今日と、マラソンランナーを方々でお見受けするが
どうやらこの辺は、陸上部の合宿地としてメジャーな場所の様である。

しかし、我々はクワ採りに出かけるのだ・笑!

本日は、当初から目をつけておいた2本の林道のうち
昨日とは別の、左側の1本を目指す事にしよう。
因みにこの林道は、結構標高がある山の頂へと通じている。

割と平凡な、住宅が立ち並ぶ舗装道路を突き進んでいくと
すぐに状況は
くねくねと蛇行する綺麗な河川に沿った、美しい林道へと変わっていった。

午前中のため、昨晩から引き続き、空気が大変冷たかったが
太陽が眩しく、とても気持ちがいい♪

早速、進路方向右手に広がった河川敷に
かなり広範囲でヤナギが群生しているのが見えたので
そこへ潜入してみる事にした。

ふむふむ、今日は楽しくなりそうだぞ♪


まずはここから... 河川沿いへ近づいてみましょう。

自然豊かな所ですなぁ〜、蜂や蝶が沢山飛んでいます。


植生が豊富で、それだけヤナギも沢山生えていたのだが
クワガタの姿は一向に見つからない。

途中相棒が、土砂崩れした川岸から
向こうの方に見えるヤナギ帯へ降り立とうとしていたのだが…


やめとけ、やめとけって...。


ちょっと危険だったので
まぁ、これだけの規模の自然が残されているのなら
あえてここに拘る必要もなかろうと
ストップを掛けておいた...(^-^;


しかしこのエリア、確かにヤナギは沢山あるのだが
いかんせん、幼虫を育む為の、ブナ科を中心とした広葉樹が少ない。

それでは、少しずつ標高を上げて様子を見ようと
再び車に乗り込んで歩を進めると
辺りの状況は、「河川敷」といった雰囲気から
次第に「山林」の景色へと変わっていった。

だんだん、この山にはいるなぁ... という確信が湧いてくる。

気になったら、いちいち車を停めて
林の中の様子をチェックして行った。


ちょっと違うみたいですが、だんだん近づいてきました...。


途中、我々の車と同じナンバーの車を発見。
同じ穴の狢か??
ちょっと嬉しいかも。。。

更に歩を進めると、路面は舗装から砂利に変わった。
そして、一気に状況が悪くなった...(^-^;

車はグラン×2!と上下に揺れ
ゴゴ〜!ガゴ〜!と底の方から悲鳴を上げている...。

道幅も狭く
もし対向車が現れたなら、すれ違うのは至難の業だろう。

しかし、それに反比例するかの様に
周囲の植生だけは、どんどん良くなっていった。

おおぉ!遂にブナの巨木が姿を現し始めたぞ!

これなら、ヒメオオがいてもおかしくないでしょう!

申し分のない環境が、険しい道の周囲に広がっていく。
もはや、好奇心の方が先立って、前進する事しか頭の中にはなくなった。


いい所ですね〜!


かなりのガタ道だったが
8:53のデジタル表示を見て

「じゃ、あと7分だけ進んじゃおう!」

などと言いながら、適当な理由づけをして
ポジティブに標高を上げて行った...(^-^;

すると間もなく、少々開けた明るみに出た。
標高は1200m位だろうか、この山の峠付近と思われる。

なかなか雰囲気の良いヤナギが数本見えたので
当然チェックに入った。


道の状況が落ち着いて、明るみに出てきました。


ヤナギの樹上を真下から見上げ始めて
十数秒後の出来事だった...。

ん!?

クワガタだ!


これまでに見た事がない、色と形である。
明らかにアカアシではなく、ペアである事も分かった。
とっさに

おい!やす、来てみ!

と相棒を呼び寄せた。


樹上4m程の高さの所に

小さくも大きく見えるあのツヤ消しブラックは!?


1ペアいるなら
他にもいるな...。
という直感が働き、すぐさま別の枝上を眺めると…

おお!あれは!?


なんと、あっちにも!

間違いない、ヒメオオ♂です!


間違いない!100%ヒメオオ!

今度は♂の立派な大顎が見えたので、確信が持てた。

そうと分かれば、興奮が冷めないうちに
早速捕獲にチャレンジしようではないか。
まずは♂のサイズが大きそうな、ペアの方から行こう!

しかし、どうやって採ろう?
持ってきた道具といえば、長さ2mにも満たない、ショボイ捕虫網ぐらい。
これではとうてい届かない...。

仕方がないので、 蹴り採集を決行する事にした。
落下点を見失えば、まず見つけられない確率の低い方法だが
いつまでも指をくわえて眺めている訳にはいかない。
私が蹴りを入れ、キャッチングはそれに向いていると思われる相棒がスタンバイ。

気休めにしかならないが
白いシーツがトランクの中に積んであったので
想定される落下点には、それも敷いておいた。


では、いくぞよ! せ〜のっ!

ドンっ!

・・・・・・ あれ? (^-^;

大分揺れたのだが、これぐらいの蹴りでは、彼らは微動だにしないようだ。
ではもう一度、今度はやや強めに!

ドスンっ!!

あぁっ、落ちたっっ!


思わず叫ぶと
相棒は、即座に落下軌道を見極め、一歩後退し
額の真上で見事にキャッチした!

来た〜!!(>_<)

まず手中に収めたのは、サイズが大きい方の
ヒメオオ♂であった!!

相棒はこの時、黒い物体が眼前へ近付いてくる様子を、スローモーションで見ていたと言う。
凄い...。

それにしても、こいつはでかいぞ!
大型の♂を見るのは初めてだったので
つい感激してしまった☆

しかし、まだ♀が着いている。
どうせならペアで頂きたい。

相棒は、捕まえた♂を片手に持ったまま、さらにキャッチングに挑んだ。
私は先程よりも更に強めの前蹴りを幹に入れてみた。

バンっ!

さぁ、落ちたぞっ!


採れたか…!?

よっしゃ〜!!

相棒は
何と♀の方も、見事にキャッチしていた☆!


15.jpg ヒメオオクワガタDorcus montivagus montivagus :LEWIS, 1883):♂♀


その後、もう一頭残された♂も無事に手中に収める事ができたのだが
やはり、やや小ぶりであるのを確認し
気持ちよくリリースする事にした。

とりあえず、午前中から地元県外ならではの大きな成果を上げてしまった(^o^)/
こうなると気持ちに余裕が出てくる。
昨日の失意はどこへやら、車内は喜びに満ち溢れた。
早速、♂のサイズをノギスで計測してみよう♪

元気が良すぎて上手く測れなかったが
顎を開いて52mmあった。

過去に野外で目にしたヒメオオ♂は
後にも先にも地元で採集した1個体のみ...そしてそのサイズは44mmだったので
今回の8mmアップは、とてつもない貫禄を見せつけ、我々にとって充分すぎる手応えであった。
いやいや、興奮しちゃった...(^-^;


その後、この山の頂付近に現れた段差のある砂利道を目前にした所で
一時相棒を待たせ、徒歩で50m程先を見に行くと
突如岩壁が視界に広がった。

どうやらこの辺までかな...。

お宝も得られた事だし、あまり無理はしないでおこう。
これにてUターンし、下山する事にした。


この辺でUターンしておきましょうか...。


下山中も、元来た林道の自然を満喫していった。
ほんと、いい所だった☆


いい所でしたねぇ〜♪


また、タバコを吸いながら登山してきた釣り人と遭遇。
こちらを見つけると

「山頂の方で、仲間のワゴン車とすれ違わなかった?」

と尋ねてきた。

「もしかして、○○ナンバーですか?」

と返すと

「そうです!」

だそうな☆

「ああ!それならずっと麓の方にとまってましたよ。」
「すると、我々と同じ出身ですよね♪」
「何しに来られてるんですか?」

と、今度はこちらから尋ねると

「釣りです。」

だそうな。
なんだ、ムシ採りじゃなかったのか...考えてみればそうだよな...(^-^;
更に

「おたくらは何してんの?」

と聞かれたので、宿の顧問の時と同様に

「ムシ採りです!」

と応えた☆

「売んのけ?」

と○×弁で言われ

「そんなぁ、違いますよ〜(^-^; 」

と返した。

そんな、親近感湧く会話を交わし
大変楽しく下山して来られた。



〜 カメラもみっけ! 〜


麓の広い道路まで辿り着くと
まずは相棒の意向で
昨夕一度訪れた、綺麗な水辺周辺を目指す事にした。

彼が最後に撮影した覚えがある林へ
もう一度行ってみたいらしい...。
相棒は、無くしたデジカメの事がどうしても気になっている様だった。

さほど遠くはないので、本人に納得してもらうためにも
つき合う事にした。

現場へはすぐに到着。

イソイソと、土手を滑り降りて、林の中へ潜入していく相棒。。。
私は土手の上で静かに待っていた。
すると間もなく

あった〜♪

という声が聞こえてきた。

多少、夜露か何かで湿気っていたそうだが
電源はしっかりと入り、撮影もできるらしい。
いや〜、昨晩雨が降らなくて良かったねぇ〜。
これで、心おきなく採集にいそしめるよな!

ほんと、良かった×2☆


無事に撮影できるようです。良かったねぇ〜。


幸運にも、一度はあきらめかけたデジカメを取り戻せたついでに
アスファルト上で羽を休めていた一羽のアゲハを撮影。

カラスアゲハだと思うが、実に綺麗な配色である。
私が大学でお世話になった教授や
仕事でつき合いがある、歴史民俗資料館のHさんなど
知り合いの中にも蝶を集めている方は多い。

標本を見せてもらった事もあるが
何となく蝶好きの気持ちが分かる様な気がした。


蝶の愛好家が多いのが、分かる気がします。。。


その後、めちゃめちゃ腹が減ったので
昨晩訪れたコンビニへ向かい、今日初めてとなる食事をとった。
私は軽くやきそばを♪
気がつけば既に昼だった。

遠征の主要な目的だったヒメオオ採集に加え、無事にデジカメも取り戻す事ができ
午前中は上々のできとなった☆



〜 午後の部、開始! 〜


エネオスでガソリンを入れ
午後の部開始。

これまでずっと採集してきたエリアから、やや東方へ移動し
これまたなかなか標高のある山(1300m位)を見付け、南側の斜面から責めてみる事にした。

潜入できそうな林道の入口を目指す途中
広大なクヌギの廃材置き場を発見。
北に生息するカミキリでも見つけられるかな!?
と、20分程彷徨ってみたが
ノコギリカミキリが一頭いたのみであった...(^-^;
やはり、そう簡単にはいかない。


で、気になった幾つかの林道のうち一本に辿り着いた。

ダムの様な、コンクリート製の大きな関が現れる度に
ヤナギが群生している。
よっしゃ、ちょっと様子を見てみよう。


この様な大型の関の横には、ヤナギが群生していました。


あっ!クワガタだ!
高所にアカアシらしきコブが見えたので
すぐさまその様子を撮影。

しかし、うまく撮れてなかったみたい...(^-^;


この中にいるはずなのですが...。


一応、捕虫網を使ってポトリ!

たぐり寄せてみれば、やっぱり
アカアシだった☆
ペアだと思ったが、2♂であった。
ビックリさせちゃってごめんよぉ…。
勿論、キャッチアンドリリースである。


アカアシクワガタDorcus rubrofemoratus:VOLLENHOVEN, 1865):♂


アカアシがいたので、その後も一帯のヤナギを見渡してみたが
これ以上クワガタに出逢う事はなかった。
まぁ、もっと良く探せばいるんだろうけどね...。


その他には見当たりませんなぁ...。


ここはまだ山の中腹。
ヒメオオが見たいなら
山の頂付近を目指さねばならない。
ただし、ブナ帯が近くにある事が条件に入ってくるだろうが...。

そんな訳で、引き続き、徐々に険しくなって行く砂利敷林道を
蛇行しながらよじ登っていった。

しかし状況は急変し、見渡す限りのスギ帯になってしまった。
それにもめげず歩を進めたが
頂上付近に
かろうじて現れた広葉樹は、劣勢となる細めのミズナラや、カエデ類。
う〜ん、ここは駄目かな...(^-^;

せっかくのチャレンジだったが、さっさと見切りをつけてUターンする事にした。。
しかし、こういった場数を踏む事も大切な経験であると私は思っている。


麓まで降りて、先程とは別の河川のそばから新たな林道を臨んでみるも
川原石の地盤上に小規模なヤナギ帯が点在している様な感じ。
乾燥気味で、トノサマバッタが沢山羽ばたいておった。

ちょっと違うなぁ...。


ちょっと勘違いしました...。


この辺は、あまり期待できそうにないねぇ...。

日差しが強くなって
ようやく夏らしく、気温が上がってきたのだが
方々歩き回って、ちょっとくたびれが出てきたみたい...。
寝不足のせいもあるだろう。
とある駐車場の木陰を見つけ、そこで仮眠をとる事にした。。



〜 再び林道へ 〜


若干体力が回復した所で、更に南東へ移動。
また一つ、かなりの標高がある山を見つけたので
林道を彷徨ってみる事にした。

相変わらず導入部は、何のインフォメーションもない細道だった。
しかし、路面が綺麗に舗装されており走りやすかった。
初めは林道というより、農道といった感じである。

侵入して間もなく、左手の河川沿いに良さそうなヤナギ帯が見え始めたので
車内から目をこらして行くと
枝上に黒いコブを発見!
とっさに

「ストップ!」

をかけて、近付いてみたが
ありゃりゃ、カブトの♀だった...(^-^;

しかし、ここはクワガタがいそうだぞ!

直感で直ぐに分かった。
これをきっかけに林の中に潜入すると

ノコノココクワちゃんアカアシがいっぱいいた。

木を揺すればポトポト落ちてくる。

普通種だが、簡単にいっぱい採れるので
とても楽しい♪
では、ちょっとここで時間をとろう。


相棒、しゃがんで落ちたクワガタを拾ってます。

君ならまぁいいんですけど...

あなたは、ちょっとうっとおしいかなぁ〜


そんな中、残念な出来事も発生。
クワガタに夢中になっていると
突如目の前に
ヤツボシカミキリ(未採集)が飛来してきた。
慌てて捕虫網を振りまわしたものの、見事に空振り....
逃がしてしまった...(T-T)(T-T)(T-T)
当然ながら、撮影もしていない...

あ゙ぁ〜、これは痛い。。。
思わずうなり声を上げてしまった。


立入禁止ですが、ほら、目の前のヤナギの横に飛来したんですよ〜(T-T)


とりあえず、クワガタを撮影するため
何頭かにつき合ってもらった。
一部だが、まぁこの様な感じ。


こんな感じでいくらでも... このまま全てリリースですね。


ここへまた来る事があるのかは分からないが
それなりに楽しませて頂いた。
さて、クワガタをリリースして
更に歩を進めてみよう。

あぁ〜、ヤツボシカミキリ...(^-^;



〜 峠越え! 〜


初めは綺麗な渓流が、林道のそばを走っていたので
周囲には見事なヤナギが散見されたのだが
次第に水辺は遠のき
同時に、ヤナギの姿も消えてしまった。

やがて道は、これまでに登った他の林道と同様、砂利敷きに変わり
徐々に細く、険しくなっていった。

それにしても、良く晴れ上がったものだ。
青空が大変綺麗だったが
道は乾いて、若干のホコリが舞い、とても暑い。

延々と続くこの道を、普通車でノロノロと走っていると
何となく、ゴールは遙か遠くにある様な
そんな予感がさせられた。

今まで以上に、この山の規模はでかい...。

体力的に、随分余裕があった、昨日の出発時には
地元にはない自然界の広大さに目新しさを感じて
感動していた筈なのに
いざ、ちょっとでも余裕が無くなってしまうと
絶望に近い不安を抱いてしまうのだから身勝手なものだ...。

いずれにせよ、自然の壮大なスケールの前に
いかに私がちっぽけな存在であるか...と、言う事なのだろう...(^-^;
まだまだ修行が足りない様だ... (^.^ゞ


乾いた道のりですね〜。


とは言え、頭上を見上げれば
若いブナやカエデ類を中心とする広葉樹帯も見受けられる。

クワガタとは縁が遠くなったが
木漏れ日がなかなか綺麗だったので
決して飽きる事だけはなかった。


ああ、木漏れ日が…絶壁上には若いブナ帯が見えます。


林道に入って1時間30分、こんな所に珍しく人工的な小型社を発見。
何となく嬉しくなって寄り道してみた。
多分、誰も寄っていきそうにないし...(^-^;


賽銭箱(ば〜こ)にー!100円玉投げた〜らー!


更に歩を進めて行くと
ちょっとしたきっかけによって

疲労と不安で、下がり気味だった気分が
一気に上昇し始めた。

眼下に、とても綺麗な山々の景色が広がりだしたのである!( →ほんと、私は単純だ...(^-^; )

まだ山頂ではなかったが、近くにとても眺めがいい平原があったので
そこで記念ショット!

先輩がボルネオで撮影した写真をイメージして
つい私も同じ事をやってみたくなった... (^
.^ゞ
それにしても、捕虫網が小さいなぁ...。


つい先輩の真似をしたくなりました。自然はでっかいですね...。


う〜ん、素晴らしい!
何とすがすがしい光景!
そして自然のでかさなのだろう。
やはり、これまで何年か見てきた視野が、とても狭く、ちっぽけに感じるなぁ...。


その後も更に歩を進め、やがては山頂と思われる場所に出た。
標高は1400m弱。

全く人気が無く、殺風景で虚しい砂利敷の広場には
ポツンと、この道の開通記念碑が建てられていた。


開通記念碑を建てたんですね〜。


一帯の植生は、過去に植林された名残であろう、スギが主体となっており
ムシ採りができそうな環境は乏しく、麓の様子も全く見えなかったため
あまり長居はせず、さっさとこの地を後にした。

とりあえず、ここまで良く来れた…
という達成感はある...(^-^;


やはり、峠を越えていた様だ。
道は淡々と下りに転じ始めた。
しかし、これまでの長い道のりを考えても、まだ半分たらずしか走ってないのだから
腰を据えて、気長に行くしかない。


久しぶりに舗装です♪ガタコ〜ン、ガタコ〜ン♪


山頂付近はNG、中腹は、先程の登り斜面と同様に
若い広葉樹帯が見えてきた。
そして、相変わらず道は乾いていた...。


反対側の斜面も同じような状況です。


ぐねぐねと蛇行する砂利敷の山道を行くと
要所要所、一本のか細い滝を跨ぐ事になる。

滝の流れは一続きだが
何度となくそれを跨ぐ度に
その周辺には背丈の低いヤナギが数本ずつ増えていった。

しかし、クワガタの姿はない。

この山は
ヒメオオ採集にはふさわしくなかったみたいだ。
何と言っても幼虫を育むための、ブナやミズナラなどの巨木が見受けられないのが痛い。


とうとう麓の方まで近付いてくると
いつの間にか道のそばに走りだした渓流の幅が増し
久しぶりに立派なヤナギが群生している場所へ出た。

もはやヒメオオが望めるエリアでないのは分かっていたが
車を降りてクワガタ探しをしてみる。

じ〜っと、ヤナギの幹や枝先を眺めていくと...

おお、いた!


おお!クワガタですねぇ〜。

アカアシクワガタ♂の様です。


やっぱりアカアシクワガタの♂であった。
アカアシでこんなに喜べるなんて...
これだから、シロウトはやめられない...(^-^;
ほれ、あそこにも!


どこにいるのか分かりますか?

ほら、アカアシクワガタのペアです!


ペアを見て
こんなに心が和んじゃうなんて...(^-^;

素敵な事じゃ〜ないですか・笑!


ついでに何本かの枝をビーティングしてみると...

おお!カミキリ!?


ホソカミキリDistenia gracillis gracillis:BLESSIG, 1872


…に含めるかどうか、最近疑問視されているそうだが
ホソカミキリをゲット!
ほんと、どうみても姿形はカミキリですよね...(^-^;

あ゙ぁ〜!

つい逃したヤツボシカミキリの事を想い出してしまった...(^-^;


この山に関わり始めて約3時間が経ち
ようやく反対側の麓へ降りてくる事ができた。

入口と同じく、最後はやっぱり普通の農道だった。
なるほど!あれがゴールのゲートかぁ...(^-^;



あそこがゴール地点みたいです...。


約30kmの長い道のりだったが、その間目撃した車は
登りで追い越されたオーマイ・ジープ、それから下りですれ違ったワゴンの
2台のみだった。

ほぼ素通りで、物理的に得られたものは少なかったが
何というか、この上ない達成感があった。
経験値アップ?みたいな所である。
いずれにせよ、景色はとても綺麗だった☆



〜 栄養補給 〜


何とか麓まで降りてくる事ができ
ホッと一安心したせいか
ド〜ッと疲れが出てきた。

そういや腹も減ってきたぞ...。
そろそろ、エネルゲン補給と行こう!

それにしても、平坦で、広い道路を突っ走るこの開放感はいったい...(^-^;
これまで、何をそんなに押さえ込んできたのでしょうか・笑?


何?この開放感...(^-^;


必死になってコンビニを見つけ、まずはトイレ休憩した。
初めはここで弁当でも買うつもりだったが
同じ敷地内に美味しそうなラーメン屋さんがあったので
せっかくだから食事はそちらでとろう。
とりあえず、アートトラック雑誌(すずき工芸特集)と栄養ドリンクをゲットしてから
ラーメン屋へ移り、焼き肉丼付きのセットを注文した。

ぬ゙ぁ〜…くたびれたよ〜ん。

立ち上がる右隣のおっちゃんから、変なプレッシャーを掛けられつつも
お構いなしに、ぐったりパンダになってしまった...(^-^;

魂が抜けた様に顔を伏せていると、相棒に撮られてしまいました...(^-^;


死にそうだったそうです。


お待たせしました☆

おぅ!来たで〜!
こりゃ〜うまそうだ♪


油こってり!美味そうです♪


餌を目の前にすると、急に元気になってきた!
ブタ肉の脂身が、この上なく体に優しかった...(^-^;

相棒も同じ品を注文していたのだが、同意見。
疲れたら、やっぱ油でしょう!(^o^)

食後、コンビニで買っておいた栄養ドリンクをも注入し
17:50〜18:15まで、車の中で仮眠をとった。。。



〜 もうひと踏ん張り!夜の部 〜


さぁ!エネルゲンを補給した所で
もうひと踏ん張りと行こう。

今晩は、往路で高速利用した道のりを、下道に切り替えて
地元方面へ向け灯下をチェックしていく事にした。

採集しながら、明け方までには家に帰り着こうとする腹である。


昨晩がかなり寒かったので、それに比べれば今宵は若干暖かく感じたが
とは言え、依然として肌寒かった。

土地勘のない地域を、街灯を巡って走り回るのはとても楽しみだが
うまい具合にクワガタは飛んできてくれるのだろうか!?

で、初めは
ひたすら東へ、東へと移動した。

煌々と輝いた明るい街灯を見つける度に、それらを総チェックしてゆく。。
しかし、大きなミヤップ♂やカブトの死骸が見つかるだけで
なかなか生きた甲虫に出逢う事ができない。

“これが現実” というやつか...。やっぱり気温が低すぎるの!?

何度も道に迷いながら、県道を乗り継いで、○市へ突入。
山地の中の、真っ暗な谷間を行くも
期待した割に大した成果が上げられない。

遂に、田畑を背にした街灯下で
ノコノコの♀を発見できれば

いたいた!クワガタだ!

などと、喜びを感じてしまう有様だった...(^-^;
これだからシロウトはやめられない・笑!?


おおぉっ!?

ノコノコの♀じゃないですか〜!( byネズミの物まね(^-^;


迷いに迷った、○市内の郵便局でも
ノコノコ♀、またノコノコ♀。


ノコノコの♀ならいますよ〜。


〜 え゙っ!? また、峠越え... 〜


こんな風に戯れているうちに

何だか今宵も期待できそうにないなぁ...。

という気分になってきた。
樹液が出ている樹が、どこにあるのか分かっていれば話は別なのだが...。
ここは地元ではない。

そして
「明け方までには家に帰り着こう」とする予定を考えれば
この後、進むべき道のりが一本に絞られてしまった。

また、峠越えをしなければならない…(T-T)(T-T)(T-T)

時折現れる、裸電球のショボイ街灯以外は
民家の灯りでさえ視界に入らない闇の林道を
登って、下って…ほぼ直線的に、延々と南下する事になった。

じゃ、まずは山頂を目指して登って行こうか。。。

私は、眠くて×2仕方が無くなり
電源がOFFにならない様に

窓の外ではリンゴ売りー!声をからしてリンゴ売りっ!!

と、カーステから流れてくる井上陽水の曲に併せ
バカでかい声で歌いまくった...(^-^;

せっかく知らない道を走っているのに
ショボイ街灯さえもなくなってしまったので
もはやムシ採りどころではなくなり
ただただ、山頂を越え、再び麓へ降りられるまで
それを待ちわびるかの如く
相棒車のスピードと、歌のテンションだけがあがり続けた...(^-^;

ようやく麓の街灯りが見えてきた所で
これまで走ってきた道のりを地図上で確かめると
直線距離にして約25Kmあった。

良かった×2♪...(^-^;


〜 うつろ×2、高速道路へ! 〜


市街地へ入り、懲りずに迷子になると
精神的にホトホト疲れが出て
すがる思いでコンビニ休憩。 ショボイ...(^-^;

栄養ドリンクと、夏ならではのアイス、スイカバーの他
“眠眠打破” (みんみんだは)なる、大量のカフェインが含まれた
ドリンク剤を購入した。
値段も張るし、こりゃ効きそうだぞ!
しかし、これはとっておき☆
まずは栄養ドリンクで、回復を望もう!

その後も、市街地の中をぐるぐる走り回っている内に、ようやく高速道路の入口を発見!
良かった〜♪
もうこれ以上の無駄足は踏みたくはないよ...。
(ほんと何なんだろう、繰り返し訪れるこの安堵感は...(^-^; )

交差点の信号待ちでは、目前にいたパトカーのプレッシャーからも解放され
(突然サイレンを鳴らし、ギュ〜ン!と信号無視の車を追って行ってしまった・笑)

ようやく、高速道路に乗る事ができた☆
知っている道へ出れば、俄然強気になれる。また開放感がやってきた!
地元方面へ向けて、ぐんぐん車を飛ばした。



〜 主な確認種 〜

●ホソカミキリムシ科
 ホソカミキリ
●クワガタムシ科
 ヒメオオクワガタ 12♂♂ ♀ (1♂1♀のみ持ち帰り。)
 アカアシクワガタ 1n
 コクワガタ 1n
 ノコギリクワガタ 1n



→ 翌日(04.08.17)の採集記へ



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