採集履歴
“2004年 竹林採集” 編(1)
04.10.23 (Sat) Hill 「心残りのカミキリを求めて」 |
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ご存じの通り、今年は春から少しずつカミキリムシを採りためているが もはや10月、シーズンも終わり 最近では、それらを標本にしてニンマリと眺める平和な日々を送っている。 しかしそんな中 今更ながらそのコレクションに ちょっと物足りなさを感じてきた。 材採集、樹上ルッキング、ビーティングなどをやって集めた 大切なカミキリの標本だが 中には、灯下や、日中思いもよらぬ所へ突然飛来した個体など 偶然採集してしまったものもある。 ベニカミキリ (04.05.04採集)や、ハイイロヤハズ (04.05.29採集)もその部類だ。
双方、結構好きなカミキリであるだけに 「偶然採れてしまった。」 …というのでは、どうもスッキリしない。 つまり、少しでも生息状況やその周囲の環境を知った上で 「採集した。」 …と納得してみたいと思う様になった訳だ。 そう言えばこれらカミキリの幼虫は、竹材を食する代表的なカミキリである事を 何年か前に先輩の採遊記を読んで知っていた事を思い出した。 そんな訳で、先週末から2度程、これらカミキリを求めて竹林を歩き回っている。 しかし結果は、見事にボーズ... (^ ^ゞ 地元の水辺周辺を攻めてきたのだが、どうやら南部には少ない様だ。 ![]() 本日は、以前(04.05.29)灯下でハイイロヤハズを採集したポイント付近に 竹林があったのを思いだし そこを狙ってみることにした。 やはり、少しでも実績のあるエリアで探すのが一番だろう。 |
〜 竹林へ 〜
家を出発して1時間、ハイイロヤハズを発見した街灯の元へやってきた。
ベトナムの風邪を患っている相棒も
現場に降り立てば、目の色が変わったようだ。
では、行くぞ!
この辺りは、付近に大きな河川が流れており、貯水池なども豊富でタガメが沢山生息している。
とりあえず、よくチェックしている街灯付近に小さな側溝を見つけたので
中を覗いてみると、案の定入っていた。
タガメ(Lethocerus
deyrollei:VUILLEFROY, 1864):♀
どうやら♀の様だ... 当然、リリースね。
沢山いるとは言え、いるうちが花なのかもしれないなぁ...。
本日の目的は竹林のカミキリだったが
まずは周辺の環境をざっとチェックする事にした。
日中ここへ来るのは、実はこれが初めてとなる。
なるほどぉ... ここは、色々な生き物が棲んでいそうですね〜っ!
夏期の灯下における莫大なムシの量も、うなずけるわ...。
この小川にも、確実にいるでしょうね...。
…で、目を付けておいた竹林へ心躍らせ侵入してみた。
中は薄暗く、非常にひんやりしている。
水脈も走っており湿度は高い。
前回、前々回に引き続き、本日も似た様な環境なので
こんな所にいるのかなぁ?
と初めは思ったが
ちょっとウロウロ歩きまわると
すぐに脱出口らしき穴が多数あけられた竹材を
何本も発見(@_@)!
早速その内の1本を割ってみれば...
うんしょ... バキッ!
バラバラ〜!っと何かの食痕が...。
バラバラっと、目の細かい食痕がこぼれ落ちてきた。
いったい何のムシの仕業だろう??
これは少し古そうだが、この様な竹材が沢山転がっていた。
穴のサイズは口径5〜6mm程度でした。
季節的なものか? この林自体が既にくたびれており
もぬけの殻状態なのか? 理由は分からないが
同じ様に材を割り続けるも
これら脱出口の主を知るための手がかりは何一つ出てこない。
しかしながら、カミキリのものらしき坑道と、そこに詰められた目の細かい食痕が
竹筒の中心部ではなく、周囲の隙間に走っている事が次第に判明。
よってそれに気付いてからは
この様な感じで、丁寧に表皮を剥いで行く事にした。
明らかにカミキリムシの食痕です...。
カツカツ、行きましょう。
竹筒の周囲に所狭しと坑道が走っています。
材は豊富にあれど
相変わらずスカ(脱出後)ばかり...。
大抵の材に脱出口があいているのだから当然といえば当然なのだが... (^ ^ゞ
日没までには、せめて手がかりだけでも欲しいと思い
ナタを振るピッチをあげていく...すると
やや!?
突然、ポロッと赤いムシの姿が現れた。
むむむ!ついに!?
うお〜!
間違いない、ベニカミキリのご遺体だ!!
間違いなくベニカミキリの上翅でしょう!
早速相棒を呼び寄せる。
可愛そうに、カビにやられてしまった様だが
私にとって見れば、ボディの一部でさえ出てきてくれれば
もはや目的は達成された様なもの!
ラッキ〜☆彡
とりあえず、この発見によって
これら脱出口は皆、求めてきたベニカミキリにあけられたものだという事が確認できた。
それにしても相当いたんだな、ここには... (^-^;
そもそも、ハイイロヤハズの採集経験をヒントにこの地へやってきたのだが
先にベニカミキリの足跡を確認してしまった。
そう言えば、ハイイロヤハズは
本日割った様な太いマダケではなく、親指程度の細い竹筒の中に潜んでいるという...。
見つけるには、視点を変えねばならないのだろう。
いずれにせよ、彼らもこの近くにいるはずだ。
その後も、付近の竹材を割り続けたが、残念ながらそれ以上の成果を上げる事はできなかった。
しかし、例え死骸であっても、3度目にしてようやく掴んだ手応えであったため
これはこれで相当嬉しいものであった♪
〜 帰り道 〜
竹林の中での材割りを無事に終えてからは
週末、Yナンバーが集結してくるという騒がしいポイント付近に初めて足を踏み入れ
15分ほど雑木林のチェックを行った。
いい腐材が多数転がっており、なかなか興味深いポイントであったが
あっという間に暗くなってしまったので
素直に帰路につくことにした。
もはや10月下旬、夜の部などない。
ベニカミキリのしっぽを掴んで気を良くしていたので
道端に、今季売れ残ったブトウが安値で出ているのを見つけ、実家へのお土産用に一袋購入♪
(関係ないが、私の母は大のブドウ好きである。)
しかし、車内で袋の中の巨峰を覗いてみれば
え゙っ!? 何じゃこりゃ?
今日の竹材ではないが、相当傷んで穴だらけであった...(^-^;
しかも、まともな粒でさえ、あんまり甘くない。
まぁ時期外れだし、値段も値段だったので
仕方がないと言えばそれまでかな...(^-^;
ハズレちゃった... 残念。
巨峰のムシ食いは余り歓迎できなかったけれど
採集行の内容からすれば、本日は大変実りのある一日となった。
めでたし、めでたし♪
〜 後記 〜
19:00過ぎに実家へ帰宅。
ショボい巨峰であったにも関わらず
両親は一応喜んでくれたようだ。(良かった×2…(^-^; )
本日は生きたカミキリムシこそ見つけられなかったが、竹材から
ベニカミキリの幼虫があけた坑道や、そこに詰められた食痕、羽化後の脱出口を多数確認し
3度目にしてようやく彼らの生活の跡をかいま見ることができたので
大変満足であった。
これで、暫くは安心して標本を眺めていられる事だろう...(^ ^ゞ
因みに、本日歩き回ったポイントを縦断する国道沿いには
河原石で地盤を形成する大規模な竹林帯が延々続いているのを知っている。
ムフフ♪ 春になったら、再びあの地へ行ってみよう。
ハイイロヤハズも、是非その時に...☆彡
〜 主な確認種 〜
●カミキリ亜科 | ||
ベニカミキリ | : | 1☆ |