採集履歴

“2005年 秋のカミキリ採集” 編(3)



05.09.10 (
Sat) Hill 「タテジマくんと、ご対面!」 
                                                                                                  

さぁ、待ちに待った週末だ。
今回は、運が良ければ、秋のカミキリ採集編の節目が訪れる。
2003年の秋に 「
野外成虫越冬することで有名」と、るどるふ先輩から紹介して頂き
カミキリ採集を本格的に始動して以来、ずっと憧れていた
ウコギ科のカクレミノにつく、タテジマカミキリ(フトカミキリ亜科)と
遂にご対面できるかもしれない♪

これまで、図鑑やネットなどの情報を頼りにしながら
山間部、沿岸部、湖畔部など、様々なフィールドでカクレミノの調査を続けてきたが
先週末、ようやくその実態を確認することができた。 ( →
05.09.04

これにより、カクレミノがどういった姿形をしており、そしてどんな場所に生えているか
概ね把握したつもりである。

そして更に本日は、先輩の助言も借りながら
茨城県内にてタテジマカミキリの記録がある地を
ほぼ正確に絞り込んでいる。

久しぶりに、追い求めてきた特定のムシを、採るべき “機” が訪れた。


〜 まっしぐら! 〜


以前から目をつけていたエリアだったが
まさか、本当にそんな所にいるとは思わなかった。

早くタテジマくんに逢いたい一心で
どこへも寄り道はせず、 現場までまっしぐらである。

やがて海に程近い、小高い山中へ到着し
早速周囲を散策してみた。

遂に、フィナーレを迎えるかもしれないのだ。
ドキドキする。... (^ ^ゞ

さ〜て、カクレミノはどこかな??

発見までに、思ったよりも時間がかかったが
視界に入れば、すぐに分かった。

おっ!あったぞ☆ あれだ×2♪


早速発見!カクレミノです。


ほ〜、 なるほど...
林の中には、どうやら大小入り乱れて
数十本のカクレミノが生えているらしい。

それも、大きく2つのエリアに分かれているようだ。

ほら、先週もご紹介した独特な形の葉っぱ。
間違いない☆


もう、お馴染みとなった緑の葉っぱです。


で、遂にお目当てのタテジマくんを探し始める。
さぁて、どこだ〜??

・・・・・。

おとうとと、2人がかりで探してみるが
これがなかなか見付からない。
思ったよりもてこずる。 ... (^ ^ゞ

林道を散歩していた老夫婦から

「何探してるんですか〜??」 と問いかけられ

「いや〜カミキリムシです ... (^ ^ゞ」 何て返答しながら

20分ぐらい過ぎた頃
頭上に、“らしき”コブが目に入った!


高〜い所に、コブが見えました!


「おい、あれじゃねぇ??」

高〜〜い所を一生懸命に指差して
おとうとに説明する。

「あれ、そうだ... 間違いない!」

写真では何度も眺めていたが
実際に見てみると、噂通り、本当に枝と同化してるって感じだった。


間違いないでしょう!


やった〜!遂に来たっ!(>_<) (>_<) (>_<)

なるべく大きく撮影しようと
思いっきり両腕を上に伸ばし、カメラを構えたが
結果は上に掲載した通り... このようなピンボケ写真が精一杯だった。... (^ ^ゞ

それにしても、実にいい登場の仕方だ。
全く違うムシだが
東北の某山中で、ヒメオオを発見したときの感覚によく似ている。

「巡り会えた」って感じ☆ ... (^ ^ゞ

両腕を全開に伸ばさなければ写真に収められないなんて
こいつ、やってくれるじゃないか。。
最後まで手こずらせるよなぁ... しかし、そう来なくてはいけない☆

で、あまりにも高所にとまっているので
撮影はこれで打ち切りとし
捕虫網を用いて、手元にたぐり寄せることにした。

では!

・・・・・。

あ、網を忘れた ... (^ ^ゞ

自動的に、駐車場所まで走るおとうと... 任せたぞ〜っ!


そして10分後、無事に「御用!」と言う形となった♪

林の中は薄暗いので
日向へ出て、マジマジと眺めてみる。。
勿論、改めて撮影会の始まりだ☆

お待たせしました!
これが追いかけてきた
タテジマカミキリです。



-タテジマカミキリ
-Aulaconotus pachypezoides
THOMSON, 1864



はぁぁぁ〜なんと素晴らしいフォルムなんだろうか...
上翅上端、下端のスジ紋様が、「タテジマ」と命名された由縁だろう。
白とココア色の絶妙な配色もいい。

そして、このツッパリ兄ちゃんのリーゼントを思わせるような
イカした触角がたまらない。


なかなか渋みのある顔つきです。


おまけに、いい面構えと来ている。


サイド・ビュー☆


こらこら、噛むなっ!... (^-^;


爪や指先を囓ってます... ちょっと痛いです。... (^-^;


う〜ん、せっかくなんで
カクレミノの枝にしがみつく、自然体の写真もおさえておきたい。

先程のような、小っちゃい写真じゃ物足りないぞよ。。

そんな訳で、追加個体を得るべく
引き続き林の中へ入り、カクレミノの樹上を見上げ始めた。

ややや? これは明らかにタテジマくんの仕業だろう。
枝が途中で折れて、ダラリと下がっている。


幼虫の食害の跡と思われます。


時折、こういった状況が確認されるが
おそらく、枝の中に幼虫が食い入っているものと思われる。

で、これが羽化後の脱出口だろう...。


脱出口と思われます。


お!あれもそうだ。。


あれも、そうでしょう。


これだけの足跡が残されているのなら
きっと、他にも成虫が見つかるはずだ。
俄然やる気を出し
丹念に一本×2の枝を眺めていく...

すると...

おおおっ!

また来た〜!!!!!


今度はおとうとが発見。
やった!結構低い位置にとまっているぞ...
こりゃ〜、いただきだな♪

しかし、周囲が暗いので、夜景モードに設定し
シャッター速度を遅めなければうまく撮影できない。
手ぶれに注意!である。

ふふふ、よしよし♪
ちょっとばかりピンボケだが
まぁ×2の写真が撮れた。



-タテジマカミキリ
-Aulaconotus pachypezoides
THOMSON, 1864



この辺から、立て続けにタテジマくんが見つかりだす。
因みに先程の個体と、これから見つかる個体は
全て、一番初めに紹介した、高所の個体とは別のもう一つのエリアで発見している。

こちらのエリアの方が、カクレミノの低木がやや多い。

おお! あのシルエットは!?


このシルエットは...


正解です☆


やっぱりそう、タテジマくんですよ♪


そして、通算4頭目の個体が登場。

これはいい!

本日最も低い位置にとまっていてくれた♪


この子が一番最後に現れた個体でした。


しかし、周囲が暗いので、フラッシュが自動的にたかれてしまい
自然のままの色が出せないのが残念であった。

まぁ、仕方がなかろう。。

それにしても、この子ら、揃いも揃って本当に面白い格好だよなぁ〜。
顎を目一杯退いて、枝にぎゅ〜っとしがみついて、触角をま〜っすぐに伸ばして
実に個性的である。 可愛らしいぞ☆

何度も×2撮影を繰り返した後は
これらの中から2頭を記念に頂いて、引き上げることにした。

あ〜、今日は心の底からタテジマくんを満喫できた♪
長らく探し続けてきた甲斐があったといえよう☆


その後。。。


せっかくなので通い慣れた近くの山へ登ってみる。 ... (^ ^ゞ

しかし、いつもとは視点を変えて
ブドウ類の葉っぱを探したり
マメ科の植物を見つけてはビーティングしてみたりと
少しでも今後に繋げようと、あちらこちらをうろついてみた。

何も採れなかったけどね... (^-^;
それで、おっけーなのである。

あ、でもビロウドカミキリなら一頭見かけたかも。。
(う〜む、まだいるかぁ... (^-^; )


-ビロウドカミキリ
-Acalolepta fraudatrix fraudatrix
BATES, 1873



あぁ、もうすぐ陽が落ちるね。
随分と昼の時間が減ってきたなぁ...。
やっぱり、秋なんだろう。

今日は、「秋のカミキリ採集編」をとても良い形で〆くくる事ができ
ホント、嬉しかった...☆彡


今日は思い出に残る一日でした...☆彡




〜 後記 〜

今日は、遂に憧れていたタテジマカミキリと出逢うことができた。
まずはホストとなるカクレミノを、あちこちで探し歩く作業から始まり
先週、ようやくその実態を把握したところで
最終的には、るどるふ先輩からのもう一押しがあり
無事に採集に到った。

ヒメオオのときにせよ、いつも遠くから見守ってくださり
ありがとうございます。。。m(_ _)m

久しぶりに、採るべき “機”に採る事ができた。
これは本当に嬉しい事だ。

今になって考えれば、計4回(採集記では3報分)目にして採集でき
非常にラッキーだったと思っている。

そして、待ち望んだカミキリムシは、大変個性的で、期待を裏切らない風格があった。
独特なフォルム、渋みのある色調、紋様を兼ね備えており
表情(面構え)もなかなかであった。

文献調査、各フィールド調査の段階から、一連のプロセスを踏んだので
達成感がある。満足度が上がる。
少々大げさに聞こえるかもしれないが
これまでに幾度となくこなしてきた採集履歴の中でも
大変印象に残る採集行であった。

しかし、これで終わりではない。
今後は、県内で、まだ報告のない地において
本種を確認できれば嬉しい。


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●フトカミキリ亜科
 タテジマカミキリ ×2
 ビロウドカミキリ





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