採集履歴

“2006年 H市調査” 編 (1)



06.01.09
(Mon) Plain 「滑り出しは、ご近所から。。。」 
                                                                                                  

さて、めでたく2006年がスタートした。

早速、一年の目標なんぞを掲げておこう。。
昨年末の採集記にも 来年の抱負として、しっかりと記したものだが
あらためて...

地元のカミキリムシをできる限り調査し、正確に記録していく事

これに的を絞って行きたいと思う。
当然、合間を見て他のムシにも目を向けるつもりではいる。
ま、力まず、のんびりと楽しんでみたい。

で、本日は実家の近所(H市内)をぶらっと歩いてみようと思う。
と言うのも、昨日 おとうと が、昨年の、いわゆる「カッコウポイント」とは別の場所にて
2頭のカッコウメダカカミキリを確認したとの事なので
そのエリアを、再び観察しておきたいと思った訳だ。

「再び」というのは、一昨年の夏に、実は私も そのエリアを丹念に見回っているからである。
(ただ、当時の目的は クワガタ一点だったのだけれど... (^ ^ゞ )

因みに、これが昨日(06.01.08)、直径10mm程のアケビの枯れツルから出た成虫個体だ。

カッコウメダカカミキリStenhomalus cleroides BATES, 1873

昨年の「カッコウポイント」からは、10km程度しか離れていないエリアなので
まぁ、そこに存在しても なんら不思議はない話なのだが
こういった当たり前の出来事を、正確に記録し続ける事が、今年のテーマであり、重要なのである。

では、行きませう!


〜 第一ポイント 〜


昼過ぎに家を出る。
とてもいい天気だが、風は冷たい。

実家から車で10分程走ると、あっという間に目的地へ到着した。

町内を流れる七瀬川流域の、東側にどっしりと構える小高い台地...
その西側斜面には、コナラを中心とした雑木林が南北に延々と連なっている。
その一区画が今回の現場だ。

まずは おとうとに、先のカッコウメダカカミキリを採集したポイントへ案内してもらう。。
思えばここは、20年以上前に、オオクワ(♀)の礫死体が落ちていた場所でもある。

「ここだ!」

カッコウくんは、この古びたフェンスや、右手に見えるクワの樹に絡みついた
アケビの枯れツルから、数頭の幼虫と共に発見されたらしい。


ここにいたそうです。。


なるほど...
枯れツルの表面には、所々に脱出口が見受けられる。。

こうして考えると、カッコウメダカカミキリは
他のメダカカミキリとは違い、人里に程近い平野部に、ごく普通に見られるのかもしれない。

既採集種の為、今回は あまり気合いを入れて探す必要がなかったので
数頭の幼虫を確認したのみで、成虫の採集には到らなかったが
代わりに、こんなんが出てきたので、一応話のネタとして、載せておこう。


さぁ、これは何でしょうか?


上翅の紋様や大きさから考えて、ナガゴマフカミキリと判断される。
こんな か細いツルの中にも、脱出しそびれた個体が入ってるのね... (^-^;
それとも、羽化不全だったのかなぁ... (^-^;


-正解は...
-ナガゴマフカミキリMesosa longipennis BATES, 1873
-でした☆




〜 第二ポイント 〜


更に、そこから500m程離れた第二ポイントへ...
まぁ、先程の林の延長線上と言っていい。

こちらでも、やはり以下の様な、カッコウメダカカミキリ(死骸)を確認したそうだ。。


完全なる、カッコウメダカカミキリの上翅です。(06.01.08確認)


畑の向こう側に、何となくコナラの林が...


向こうの林に行ってみましょう。。


近づいてみると、林の縁の部分には
伐採されたコナラ材が、ズラズラっと積まれていた。

う〜む... これは楽しみだな。。

昨年の、「クリストフポイント」から割と近いので
ひょっとしたら、ここにも棲息しているかもしれない。
暖かくなったら、更にまた来なければならないね... (^ ^ゞ


いいタイミングで、伐採されましたね♪


この林の縁を、200m程進んでいくと...
先に掲載した、カッコウメダカカミキリの死骸を確認したという、アケビの発生地へ到達した。。

なるほど、複雑に絡み合う 枯れツルが沢山見受けられるが
カミキリムシの脱出口も、相当あいているようだ。

この(↓)様に、独特の種が付着している部分もある。


既に固まっていますが、アケビの種がベッタリと付着しています。


しかし、これなんかは
アケビのツルとはちょっと違って見える。。
それにしても、もの凄い脱出口の数だ。。


脱出口、多々あり... です。


お!?

気がつけば、おとうとが
またも何かを割り出したようだ。

ほほう...!

かすかに姿を覗かせた、腹の先端部を見た瞬間に
何とな〜く、トガリシロオビサビカミキリであることが分かった。

「多分そうだよ、もうちょっと割ってみぃ?」

どうやら死んでいるようなので
枝を折った瞬間に、残骸がどこかへ飛び散らないように
ゆっくりと、そして慎重に この枯れツルを壊していく おとうと。。
すると...

「ほら〜!やっぱりね☆」

ひっくり返して、上翅の紋様や形を見て、確信が持てた。



思った通り...


ふふふっ... やっぱりトガリシロオビサビカミキリであった♪


-死んじゃってますが...
-
トガリシロオビサビカミキリ
Pterolophia caudata caudata BATES, 1873



こいつは、フジの枯れツルに寄生する事で有名なカミキリムシなので
うなずける結果である。
当たり前の事だが、死骸とは言え、こうして時々確認作業ができると、何故か嬉しい☆

と言う事は、この枯れツルの中には、アケビ以外のものも混じっているかもしれないな...
その様に推測できた。

この後も、10分ほど、パキッ!パキッ! と、ツルを折り、表面をむしってみたが
本日はカッコウメダカカミキリの成虫個体を確認する事はできなかった。。

おびただしい数の幼虫が出てきたが
大きさから言って、先程のトガリシロオビサビや、ナガゴマフ、今回写真では掲載できなかった
ナカジロサビなどの、フトカミキリ亜科の幼虫であると思われる。


よし、それではこの辺でお開きにしようかな。。
結果、ボーズと言う事にはなるが
「ここにいた。」...と、
確実にそう言える場所へやって来られれば
充分満足である。

昨日おとうとが採集、および確認したサンプルや写真がある事だし
思い残す事は何もない。

やはり 「記録が大事」 である。


15:30... ここで突如おとうとが
とてつもなく腹をすかせ始めたので、久々に食ってから帰る事にした。

たまにはコンビニではなく、ラーメン屋へ寄ろう。。
そういえば今日は、昼食をまだとっていない。



本日は、これを食べて汗をかきました♪


注文したのは、二人共、塩バターコーン。。
あっさりとした味付けだったが、コーンたっぷり、アッツアツで、なかなか美味であった♪

採集記の〆に、ラーメンを食ってから帰宅するというパターン...

今となっては、ありきたりの展開だが
冷たい木枯らしの中を、とぼとぼと歩いてきたので
芯(心)までホットな気分になれて、ご機嫌だった♪

っしゃ! 額に汗をかきながら、何となく気合いを注入。

今年もやりますよん... ☆彡



〜 後記 〜

と言う事で、今回のお持ち帰りは何もなし。。

しかしながら、アケビや フジなどのツル性の植物には
カッコウメダカカミキリの他、当然入ってくるべきトガリシロオビサビカミキリ以外にも
ナカジロサビカミキリ、ナガゴマフカミキリなど
多様なカミキリムシが入っている事を確認でき
なかなか有意義なお散歩ができた。

初っぱなから、いきなり お気楽モードのようですが??... (^-^;

うんにゃ、冒頭にも記したように、今年はマジで行きますよ☆
滑り出しは、まぁこんなものでしょう。
(次回もこんなものだったりして・笑)

少しずつ、着実に行きます。

ですので、これまで同様、気長にお付き合いくださいませ。。
本年も、どうぞ よろしくお願い致しますね☆... m(_ _)m




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