採集履歴
“2006年 ご褒美” 編 (1)
06.06.01 (Thu) Mt 「クリストフの日」 |
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〜 出発前夜 〜 るどるふ先輩から吉報が入った。 なんと、地元茨城県の某所にて、クリストフコトラカミキリが発生しているらしい! クリストフと言えば、昨年 ( 05.06.12 ) 私も たまたま一頭確認する事ができ 採集地の意外性から、先輩のご配慮で水戸昆虫研究会の報文集に記録が掲載された経緯もあり 非常に思い入れが強いカミキリムシである。 で、県内においては、けっこう珍な存在とも言える そんな本種を 今回先輩は、一気に7頭も採集されたというのだから 私も うかうかしては いられなくなった。 まさに、前例がない出来事と言えよう。 採集地は、昨年おとうとがルリボシカミキリを確認した伐採地と関連するので できれば私も現場へ赴き、そこで良き想い出づくりをしておきたい。 明日は、今年これまでで一番の暑さになるらしく カミキリムシを採集するには、絶好の日和となるはずだ。 これは、またとないチャンスである。 と言うわけで、早速出かけちゃおうかな☆...(^o^ゞ ん? でもちょっと待てよ、大丈夫かそれで。。 チャンスとは言え、一つ重要な問題が... 明日は木曜、お仕事の日ではないか...(^-^; 偶然、勤務先の創立記念日と重なってはいるのだが。。 さぁ、どうする??? > 私 う〜ん... カミキリムシの発生期間というのはそう長くは続かないし... せっかく絶妙のタイミングをお知らせいただけたのだから... よし、決めた! 奮い立つ想いを封印する事などとてもできず、結局休暇をとる事にした。... (^ ^ゞ 病み上がりで、疲労も大分溜まっているが、これは行っておかねばならない。 “機が訪れたときに 動く” これは私がずっと貫いてきた拘りのスタンスなのだから。。 |
〜 行ってきます! 〜
さぁ、待望の朝が訪れた。
休暇とは言え、いつも通り5:30には起床し
ライフワークをこなして、出発の準備を整えた。
そしてとりあえず、寝起き状態のおとうとに
一言電話連絡を入れる。
「やっぱり、そっち行くわ!」
今回の出陣には、「行けるものなら行った方が良い」 という
おとうとの強い後押しもあったのだ。
7:00 ジャスト、マイカーに乗り込んでいざ出発♪
私が住んでいるアパートです。(どれでしょう??)
そっかぁ...
出発時にメーターを眺めれば、これまでの走行距離が 99,781km であった。
本日をもって、遂に私の愛車も6桁へ到達しそうである。
こんな事で縁担ぎをするのも何だが、本日が想い出に残る記念日となれば良いと思う。
あと、219kmですね。。
Yさんスマイルの看板を眺めながら、いつもの渋滞道を抜けていく。
あ〜、懐かしいなぁ。。
数年前、よくこの道を辿って地元へ夜回りに行ったものだ。
ゆっくり行ってらっしゃいよ〜 (^-^)/~
因みにこの道では、1時間で たったの22kmしか進まなかった。... (^-^;
でも、ここからは一気に6倍速!
これまでの遅れを取り戻すべく、ガンガン飛ばしちゃえ!
一気に移動です!
家を出てから3時間が経過... おとうとの職場がある街を右手に見ながら
「遂に通過!」
と更なる一報を入れて、この道路を走り去った。
〜 来たぜぃ! 〜
さぁ、遂に緑の中へ突入だ。
細くとも走り慣れた林道を、前へ×2 と ギュン×2 突き進む。
ついつい、気持ちが焦ってしまいます... (^-^;
そして、無事に目的地へ辿り着いた。。
ここまでの所要時間は3時間40分。結構くたびれたかも。... (^ ^ゞ
しかし、これからが本番だ。
おのずと静かな気合いが入る。
なるほど... 噂通り、昨年とは比較にならないぐらい伐採面積が増えている。
ここならクリストフがやってきてもおかしくはないだろう。
こんな素晴らしい場所とタイミングを教えていただき
改めてありがとうございます... m(_ _)m > るどるふ先輩
本当に素晴らしい条件です!
うししっ! ワクワクしちゃうね〜♪
少々風が強いのが気になるが、これだけ明るく気温が高ければ
採集に差し支えはないだろう。
早速、現場へ入って太めのコナラ材を中心に見て回ることにした。
するとすぐに... ん?
んん〜!?
いたっ!!(@o@)!?
遠くにいても、すぐに分かった。
この瞬間に、心拍数が急上昇する。。
間違いない、あのコナラ材にとまっているのは、クリストフである!
しかも、超でかい! さすが本場物だ。。
(これにより、昨年私が発見した個体が極めて小さかった事に気づかされた。...(^-^; )
それにしても、実にあっけないご対面ではないか...
よし、こんなにすんなり見つけられるのなら
「採る前に、撮る。」
これを実行させていただこう。
しかし...
あれれ? まさか!?
ヤバ!上翅が開いたっ!
あああぁ... (ToT)
モタモタしているうちに、まんまと逃げられてしまった。 ...(T^T) (ToT) (T^T)
な〜に やってるんですか!(ヘイポー風に小声で自分を叱咤する。。)
はぁ... 虚しい。。 (T^T)
心拍数、急降下である。。
ところがどっこい!
あ?
あ゙っ!(@o@)!?
肩を落とす間もなく、またもクリストフが出現した!
よし、今度こそ撮ったる!
なのに...
え゙っ!?
(T^T) (T^T) (T^T)
な〜に やってるんですか!(ヘイポー風に、なおも自分を叱咤する。。)
またもや飛んで行かれてしまった。
相手は茨城産クリストフなのだ、写真撮影で こんなに余裕を見せていること自体
本来不謹慎な話なのかもしれない。。
それにしても、皆様 すこぶる元気である。
コナラ材に着地して、ほんの数秒間駆けずり回ったあとは
強風などもろともせず、あっという間に飛び去ってしまう。。
♀だ、産卵場所を探している♀よ現れてくれ!
(産卵中とか交尾中の個体は、そうでないものに比べ随分動きが遅くなる。)
で、そんなこんなで採集開始から20分が過ぎた頃...
あぁっ、来たっ!
しかも、待ち望んだ♀である。
やはり産卵場所を探しているのだろうか?
先程までの個体とは違って、上翅を開くことなく
材の上をオロオロと歩き回っている。
3度目の正直、今度こそ撮らせていただこう。
よし、うまくいった♪
空が充分に明るいので、なかなかいい写真がとれたぞ。
ようやく写真をお見せできますね... (^-^;
アップ!
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.クリストフコトラカミキリ ..(Plagionotus christophi KRAATZ, 1879) |
ついでにもう一枚!
あぁ、美しい。。。
よし、もう充分だろう。
良かった... ようやく本日の主役の写真を頂戴できた♪
それでは、採っちゃっていいよね?
記念すべき一頭目は、捕虫網を使って確実にしとめさせていただこう。
(既に2頭逃してるんだけど... (^-^; )
Yes!遂に来た♪
指につまんで、改めてその美しい文様、色合いを楽しむ。
それに、カッコイイですよね!
あ〜、やっぱいいよなぁ... クリストフ。。
この時点で、今日はここまでやってきた甲斐があったと思えた。
(因みに、時計のデジタル表示は11:00ジャストであった。)
では、更に追加個体を狙ってみよう。
その場でじっと待っていると...
ブ〜〜〜ン!
図太い羽音を立てながら
先程と同じコナラ材に、またも♀がやってきた!
こいつも産卵場所を求めてやって来たのだろう。
樹皮が削れている部分を右往左往している。
しっかり写真を頂戴した後に、手堅く採集させていただいた。
産卵に来た♀です。
この後も一頭追加し、無事に3頭ものクリストフを手中に収めることができた。
ちなみに、この様な何の変哲もないコナラ材上での出来事であった。
手前と、右上の材が大人気でした。
ついでと言ってはなんだが、ちょっくら記念撮影...。
こんな感じで採集してました。
自分大好き! セルフタイマー撮影にて... (^ ^ゞ
自分が大好きなのです... (^ ^ゞ
ではこの辺で、他のカミキリムシにも目を向けてみよう。
前情報通り、これほどまでにクリストフが出現している割には
他種の賑わいが見られないのは不思議だ。
それならば、じっと “待つ” のではなく
こちらからあえて “探し” に出なければなるまい。
ほんの少し場所を変えて...
斜面を駆け上がってみました。
積んであるソダに着目してみる。。
美味しそうな枝も、いっぱい転がってます。
およ!よ〜く見れば、ちゃんといるではないか。
まずは、定番のゴマフくん。。
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.ゴマフカミキリ ..(Mesosa japonica BATES, 1873) |
それから、実家周辺では見ることができないタテスジゴマフや...
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.タテスジゴマフカミキリ ..(Mesosa senilis BATES, 1884) |
カラカネハナなんかも、それぞれ一頭ずつ見られた。
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.カラカネハナカミキリ ..(Gaurotes doris BATES, 1884) |
ここは、昨年おとうとがルシボシを捕まえた場所。。
しかし、今日はムシがお留守のようだ。
雪崩のように、材が流れ落ちています。
でも、かろうじて一頭のキスジトラがいた。
何気に今年初かも...
ん?キスジ!?
そっくりだけど 一回り小っこいし、何かちょっと違うな。。
後程調べた結果、これまで未採集のアカネトラカミキリであった。... (^ ^ゞ
ブドウ類を好む本種に、こんな所(コナラ材)で出逢えたなんて
実にラッキー☆彡 である♪
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.アカネトラカミキリ ..(Brachyclytus singularis KRAATZ, 1879) |
ふむふむ、まだ数は少ないが、入念にチェックすれば
それなりの顔ぶれは揃っているようだ。
ルアーケースがいっぱいになってしまったので
新しいケースを取りに
一旦車のところまで引き返そうとすれば... お!シロトラカミキリ☆
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.シロトラカミキリ ..(Paraclytus excultus BATES, 1884) |
この写真の撮影直後に飛び去ってしまったが
色々と思い入れがあって、好きなカミキリムシである。
こうして、大興奮の午前の部が終了した。。
〜 午後の部 〜
車のトランクを開けながら
ルアーケースの中に入った これまでの成績を振り返ってみると
つい表情がゆるんでしまう。... (^ ^ゞ
でもありゃりゃ??
3頭のクリストフのうち、1頭は前足のフセツが欠けているではないか。。
標本好きの私としては、ちょっと残念である。
う〜ん、せっかくここまでやってきたのだから
もう少しだけ追加しておこうかな。。
それに、まだ時間もあるので
あと一種類ぐらい何かお土産が欲しい。
と言うことで、新しいケースを携え、再び伐採地へ向かった。
さぁ、午後の部の スタートである。
仕切り直しと言う事で、まずは遠方に見える山を一枚。
何気にここ、結構な標高があるんだよね。。
ちょっと殺風景ですが... (^-^;
で、その場から後ろを振り返った時だった。
切り落とされたコナラの枝上に
いきなり3頭の小さなカミキリムシが見える。。
何だろう??
ん?ヒメクロトラでしょうか??
ほう!シラケトラである。
既に採集済みの普通種とはいえ
何気に県内では初なので、ちょっと嬉しかった♪
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.シラケトラカミキリ ..(Clytus melaenus BATES, 1884) |
はて?
先ほどまでは全く姿が見られなかったのだが...
な〜んだ、よく見ればあっちこっちに沢山いるじゃん!
どうやら急に湧き出てきたようだ。
せっかくなんで、6頭ほど頂いて帰ることにした。
あと一種類のお土産は、これで充分だろう。
さて、肝心なクリストフの方も もう少し追加しておきたい所だが...
不思議な事に、1時間前と違って、その姿が全く見られなくなってしまった。
きっと、気温、太陽光の当たり方、風の強さ、向きなど
何らかの自然的作用が影響しているのだろう。
仕方がないので
暫くの間、やつらが再発生するのを待つことにした。
きこりの様に、切り株の上に座って待ってました。。
そして約30分後...
お? 来た!
何と、また来た♪
一ヶ所だけではない、あちらこちらでポツリ、ポツリとクリストフが出現し始めた。
どんな状況変化があったのかは分からないが
時間の経過と共に、確実にクリストフが増えてきた。
ならば、まずは写真を撮らせてもらおう☆
こいつなら、いい写真が撮れそうです。
アップ!
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.クリストフコトラカミキリ ..(Plagionotus christophi KRAATZ, 1879) |
幸運な事に、後半戦は相当数のクリストフを目撃する事ができ
その中から3頭も採集できた。
おそらく、この時間帯が発生のピークなのだろう。。
不思議と、11:00頃に 5頭ものクリストフを確認(うち3頭採集)したコナラ材の上には
全く姿を現す事がなかった。
うむ、午前中のものを含め合計6頭か... これだけ採れればもはや何も言うことはない。
気持ちよくこの場を後にできる。
時刻は13:30、ここへ来て約2時間半の滞在であった。
か〜っ!満足♪
休暇をとって遊びに来たのに、なんだか大仕事を終えたような充実感に満たされた。
おそらくこの材場には
今季、これから何度もお世話になる事だろう。。
〜 ゆっくり時間をかけて、終了 〜
帰る前に、もう一ヶ所だけ寄り道してみた。
久々に ブナ林を覗いてみたくなったのである。
う〜ん... 素晴らしい。 実に荘厳なイメージである。
ただ、ちょっと鬱蒼とした雰囲気もあり
何となく カミキリ採集とまではいかなかったが
山へ来たんだな... という実感を、しみじみと味わう事ができた。
樹齢何年なのでしょうか...??
では、帰ろう。。
帰路も、やはり長い。
山の麓まで降り、次第に学校やGSが見えてきたところで
遂に私の相棒も走行距離が6桁に達した。
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→→→ | ![]() |
今までご苦労さん! これからも、よろしく頼むぜよ☆ > 我が愛車
コンビニやSAに立ち寄って、おとうとに今日の成果を報告したり
夕刻の渋滞に阻まれながら
4時間半かけて帰宅した。。
ひゃ〜くたびれたぁ...。
こうして、茨城産クリストフのために設けた1日は
疲労度Aだが、満足度もA級の素晴らしい旅となった。
〜 後記 〜
今回は、るどるふ先輩からの貴重なインフォメーションにより
茨城では珍しい、クリストフコトラカミキリを多数採集することができた。
納得がいく自然体の写真も何枚か撮影できたので
実に満足である。
わざわざ休暇をとって、出かけた甲斐があったというものだ。
やはり、本場物は違うな。。
数の違いも当然あったが
平野部の個体とは違って、凄くでかかった。...(^-^;
全て、バックグラウンドのポテンシャルの違いによるものだろう。
最近は、ずっと東南地区の調査に没頭していたため
今回のような絶妙なタイミングに気づくことができないでいた。
例え同じ気候条件下でも、10日ズレてしまったら、この様にうまくはいかなかっただろう。
そんな訳で今日は、私にとって いわゆるご褒美のような
ボーナスステージにも感じられた。
また、「茨城県産カミキリムシの、一時代における正確な記録を残す」といった
明確な目的を持ちあわせた今となっては
綿密な情報交換が非常に重要であるという事を感じさせられた一日でもあった。
往復移動距離 396km 、時間にして 7時間30分の運転にはくたびれたが
これまでの走行距離も、ようやく100,000km に到達し
快晴の夏日に、 とても気持ちが良い一人旅ができた♪
〜 主な確認種 〜
●ハナカミキリ亜科 | ||
カラカネハナカミキリ | : | ×1 |
●カミキリ亜科 | ||
クリストフコトラカミキリ | : | ×6 |
シラケトラカミキリ(県内初採集) | : | ×6 |
アカネトラカミキリ(初採集) | : | ×1 |
シロトラカミキリ | : | ×1 |
●フトカミキリ亜科 | ||
ゴマフカミキリ | : | ×1 |
タテスジゴマフカミキリ | : | ×1 |
アトモンサビカミキリ | : | ×1 |