採集履歴

“2007年 R地区調査” 編 (13)



07.03.24
Sat) Plain 「早春のカミキリ採集」 
                                                                                                  

暖冬×2... と騒がれている内に
いつの間にか、春が訪れてしまったようだ。

いくら早出のカミキリムシとは言え
2週間も前から、既にスギカミキリの採集報告が
世に出始めたらしい。

ならば私も、ボチ×2 冬の採集を切り上げなければ。。

例年、ムシの出現時期が比較的遅いと感じられるものの
気が焦るあまり、思わずフライングばかりしてきたR地区ではどうだろう??
やはり、こちらでもスギカミキリは出始めているのだろうか??

不自然な自然のサイクルを、素直に喜んで良いのか分からないが... (^-^;

今日は、昨晩知り合いの工場で
新しいマフラーを装着したばかりのマイ・カーに乗り
早速ドライブ感覚を楽しみながら、その辺の確認でもやっておきたい。

ついでに、チェックを入れておきたかった
緑地環境保全地域にも立ち寄っておこう。


〜 緑地環境保全地域 〜


まずは、かつて何度も傍を素通りしていた
緑地環境保全地域にやってきた。

まさか、こんな所にあるとは思わなかった... (^-^;

これまでに見てきた保全地域と比べ、とても鬱蒼とした社寺林である。
樹齢を重ねた各種大木が、ズラ×2!っと生い茂っているが
カミキリムシを採るには、あまり魅力的に映らない。。


暗いので、シャッター速度を落として
撮影しました。



ただ、お馴染みのブラックボードだけは資料として写真に残しておきたいと思う。。
一応、地元のムシ採り屋なので、せめてこれぐらいの内容は知っておきたい。


随分と高台にあった看板です。


むむ〜っ... 例によって、スダジイ、タブノキが筆頭に掲げられ
昆虫類では、やはりアオスジアゲハの記載があるな...(^-^;

同じR地区内でばかり見比べているのだから
毎度内容が似通っていても、当然と言えば当然なのだが...(^-^;

ここで話がいったん脱線するが、こういったボードの内容を沢山読んでいるうちに
この様なエリアが、どのような基準で指定されているのかを知りたくなり
ちょっと調べてみた。。
(少々長いですがご了承下さい...m(_ _)m )


その結果、どうやら茨城県内には、2005年3月末日の時点で
自然環境保全地域が34地区、今回のような緑地環境保全地域が44地区ほど指定されているらしい。
(→ 資料

で、これら保全地域の基準を要約すると...

まず、グレードが高い 『自然環境保全地域』は

- (1)
(2)
(3)

(4)

(5)
高山性植生、亜高山性植生が相当部分を占める森林または草原
優れた天然林が相当部分を占める森林
特異な地形や地質および自然現象を有しながら
これと一体になって自然環境を形成している区域
生存する動植物を含んだ自然環境が優れた状態を維持している
海岸、湖沼、湿原又は河川
前各号に掲げる自然環境に相当する程度を維持している
植物の自生地、野生動物の生息地

 以上のうち、その面積が規則で定める面積以上のもの・・・


と言うことだ。
これまでの訪問経験を振り返れば
隣り町にあるカクレミノの自生地などがこれに該当するが
自然度が低めのR地区内にはやはり数がそれほど多くなく
県北部に割と広大なものが分布する。

また、それに準ずる 『緑地環境保全地域』は

- (1)

(2)

樹林地、池沼、丘陵、草原等の区域が市街地、集落地又は周辺の地域と一体となって
良好な自然環境を形成している区域

歴史的、文化的、社会的資産がその周辺の地域と一体となって
良好な自然環境を形成している区域

 以上のうち、その面積が規則で定める面積以上のもの・・・


とされており、私個人的には、人間の生活エリアに非常に身近で
貴重な残存緑地を スポット的に指すものと受け止められる。
これまで私がチェックを入れてきた地域の大半がこれに当たり
R地区内にも19地区(全体の約43%)が存在している。。

数が多い事は嬉しいが、逆を言えば、R地区の全体的な自然度の低さこそが
この様な残存緑地の貴重性を増しているとも読み取れるので
ある意味、ちょっと寂しいかも... (^-^;

まぁ、だからこそ限られた自然と そこに棲息するムシを大切に見つめたい
という想いが生じるものなのだが。。



〜 ムシ採り 〜


さて、余談はこれぐらいにしておき
スギカミキリでも探してみよう。

羽脱孔があるスギはいくらでもある。
ただそれは、最近開けられた新しいものでなければならない。

シチュエーション的には
陽当たり、風通しが良い場所に生えた、太めの元気なスギ...
けれど、ややダメージを負っているようなものがあればよい。


湖を渡って、ブラ×2 と まだ知らない道をドライブしていると...
こんな場所が気になり、車を停めた。。



この様な、開けた場所がいいです。
それと、昨晩復活した マイ・カーです...(^ ^ヾ



さて、どんなもんだろ...
おぉ!? (◎。◎;

なんと、いきなり登場してしまった。

サシガメがいるところ、スギカミキリあり... か。。

よくあるシチュエーションとはいえ
今期初めてのご対面がこれじゃ、ちょっとビックリである... (^-^;


いじめられてました。(^-^;;


軽く息を吹きかけると、みんな 撤収。。


手にとって、改めて撮影してみる。
どうやら、まだ かすかに生きているようだ。
各パーツもしっかり残っている模様...☆



スギカミキリ
Semanotus japonicus LACORDAIRE, 1869



害虫の代表とも言える本種の分布ぐらい
おそらくは、既に何かしらの形で把握されているのだろうが

ムシ屋の分野からすれば、一応 未記録地からの確認になるので
ありがたく持ち帰ろう♪

とりあえず、こんな形とは言え R地区にも春がやってきたという事だろう。
今回は、フライングせずに済んだ... (^ ^ヾ


さて、数百メートル移動して
またもブレーキ。。


ここも気になりますね。。


林の角地、外周部分には、やはりスギカミキリの棲息の跡が多数見られた。


予想通り、新しい羽脱孔が沢山見られます。


しかし、残念な事に ここで大粒の雨が落ち始めた。。

すかさず、車に非難... (^-^;

まぁ、出ている事さえ分かれば
今日のところはそれで良しである。

無理をせずに撤収しよう。... (^ ^ヾ




〜 後記 〜

以上、午後の3時間ほどを要した お散歩コースであった。

やはり、今年は春の訪れが早いようで
このR地区にも、スギカミキリは発生し始めたようだ。

既採集種ではあるが、カッコウメダカやハイイロヤハズと同様に
せっかくなので、今後広い範囲から記録を残しておきたい。

環境保全地域について...
茨城県民の方で、もしご興味があれば。。m(_ _)m
(→ 資料


〜 主な確認種

●カミキリ亜科
 スギカミキリ 1ex





※採集記目次へ