採集履歴

“2007年 今夏の課題” 編 (7)



07.07.28
Sat) Mt 「いつか自身の腕で」 
                                                                                                  

昨年の12月の話である。。
私は yasu と共に 水戸昆の大先輩である渡辺さん宅のムシ部屋で
「是非来年の目標に!」と、 大変魅力的な標本を譲っていただいた。
(詳細はこちら → 日記

今回のターゲットとなる そんなカミキリムシは、基本的に分布が南方系であり
関東地方では、飛び石的に我が茨城県でしか記録がない変り種である。

う〜〜む、姿形は勿論、存在価値も含めて凄く惹かれるなぁ。。(^ ^ヾ

前回のソリダ同様、地元のカミキリ屋を目指す者としては
何とか自分の目でその生態を観察し
できれば近い将来、採集に繋げてみたいと 常々思っていた。。

で、なんと今日は、時間がないところを大変恐縮だが
渡辺さんが、我々のカミキリ調査に お付き合い下さるとの事!
これは色々とご指導を受けられる、またとないチャンスである。

後日開かれる採集会の下見を兼ねての出撃だが
本当に楽しみだ。


〜 空中戦 〜


と言う事で、普段より早めの 7:20 に家を出た。

渡辺さん、それから yasu とは、本日の調査対象地で合流する予定である。

天気は曇り。気温は28℃ぐらい。
目標物を狙うには、やや気温が低めだろうか。。



今回も、意気込みが違います!



ジモピー(地元民)らしく、抜け道を使ってガン×2 に飛ばして行ったが
到着は、待ち合わせの時間ギリギリ... (^-^;;

既に渡辺さんと yasu は調査を始めている状況だった。 どうも、スミマセン... m(_ _)m

渡辺さんは、予定より1時間も前に到着し、早くも 本日の主役を ゲットされていた。。

わ〜ぉ!凄ぇ... 本当にいるんだ。。(◎o◎;

棲息事実は充分に承知の上でも、採れたてのムシを目の当たりにすると
改めて実感が湧いてくる。。

特に今回は、全く想定外の場所を選んでいるだけに尚更だ。

早速私も、先日デビューしたての捕虫網を持って身構えてみた。
だが、ムシが良く浮遊するという樹冠部にはとても届きそうにない。。(^-^;;

結局、見かねた渡辺さんが 長〜〜〜い捕虫網を貸して下さった。。
本当に、何からかにまで スミマセン!...(>人<)

準備が整い、上方を見上げながら歩き始めると、すぐに首が疲れてきた。。
(それぐらいは辛抱せねば... (^ ^ヾ )

で、待つこと、1時間。。

突然...

「あ〜〜!あれ、あれっ!」

という大きな声があがった。
指差す方向を見ると、まだ8部咲きの花の上に
プイ〜ンと旋回しながら浮遊するムシがいる!!

なんと、あれがそうか!(◎o◎)

「行った×2! そっちへ行った!!」

じっくりと眺めている余裕はない。
慌てて竿を振ってみたが、駄目だ... そう簡単には ネットインできない。。

二振り、三振りとやっているうちに
結局、逃げられてしまった。。(^ ^;;

かなり高所の空中戦を制するのは至難の業と言えよう。。

しかし、せっかく渡辺さんにお付き合いいただいているのだから
諦めるわけにはいかない。

ワン・チャンスをものにするため
時間をかけて後続を待ち、挑戦を繰り返すうちに
とう×2 yasu が手応えを感じた。

ちょうど、やや低位置の花にとまったので、ネットを上からかぶせてガサ×2 やると。。

うん、入った!

渡辺さんがそう言うのだから、間違いはないだろう。

私も すぐに歩み寄って確認させてもらうと。。

ジャ〜ン!


遂に来ました!


これが、今回のお目当て...
憧れの一種類だった、スネケブカヒロコバネカミキリである!


スネケブカヒロコバネカミキリ
Merionoeda hirsuta
MITONO et NISHIMURA, 1936



黒とオレンジを基調とする 大変ユーモラスな姿形。。
名前の通り、脛毛深なムシだ。

あぁ〜、マジで嬉しい。。(T^T) (ToT) (T^T)

渡辺さん曰く、「自分でネット・インさせなきゃ〜!」
との事だが、とりあえずこれで ホッと一安心である。(^-^;

私は、次の機会にて... (^ ^ヾ

以前のソボリンゴに引き続き、ここの所、先輩方からムシを採らせてもらうことが多い。
今回も、色々とレクチャーしていただきありがとうございました。
きっと、想い出の一頭となります。。m(_ _)m > 渡辺さん




〜 来年の課題 〜


今日は、以前から灯火調査をやってみたかった
某ブナ林へも訪問する予定だ。

しかし、陽が落ちるまでには、かなりの時間が空いたので
とりあえず、別な山へ行き
先日、ジャコウホソハナカミキリがいた「イケマ」をチェックしてみることにした。


今日も、アサギマダラが群がっています。。

ハート型の葉が特徴です。


狙いはジャコウではなくリンゴ系だが、どうやらここには姿が見えない。
しかし、今後のために しっかりと頭に入れておきたい蔓性の植物である。

また、こんな葉をつける樹にも着目して行きたい。
これをホストにするカミキリムシ...
何とか今夏中にと思っていたのだが、時機を逸してしまったようだ。。


来年の宿題です。



〜 仕上げはナイター 〜


その他にも、●●山と名が付くエリアを転々とハシゴしながら
19:30、完全な日没後に 目的のブナ林がある某山の麓へやってきた。

まずは林道の入口付近で、発電機や水銀灯など、必要な機材を総チェックし
yasu と手分けをしながらそれらを担ぎ上げ、懐中電灯を片手に登山を開始した。

しかし、いざ歩き始めると
これが、想像以上にキツい。。(^-^;;

特に、ガソリンを満タンにした発電機(約16kg)の重さが
時間と共に、ジワ×2 と腕や両脚の筋肉を蝕んでいく。。

呼吸は乱れ、脂汗と言うか、冷や汗と言うか。。
普通じゃない汗が、とめどなく零れ落ちてくる。。

つ、つれぇ... (^-^;;

で、ようやくの思いで辿り着いたところは、こんな(↓)森の中。。

既に 20:30 を回りそうだったので
休む間もなく、セッティングに取り掛かり
ライトを灯した。


正面はカエデですが、眼下には
ブナの高齢樹も生えています。



さぁ、どうだ!?

それなりの環境が整っているエリアなので
どんなムシが飛んでくるのか非常に楽しみである。

3分後。。

うぉ〜!

来た!

また来た!!


今宵は気温・湿度が共に高く、一気にムシが集まりだした。



早速始まった 弱肉強食のシーンです。。


これは、割と有名な ヒメツノゴミムシダマシ。
極小だが、♂には その名の通り なか×2面白い角がある。
私の日記では始めての登場だ。



ヒメツノゴミムシダマシ
Cryphaeus duellicus
LEWIS, 1894



カミキリムシについては、クロカミキリ、ホソカミキリ、キマダラミヤマカミキリなど。。
例え普通種でも、当地初の記録であれば 大切な資料である。

そんな中、これまた小さな 一頭のカミキリムシが飛来した。。


イボタサビカミキリ
Sophronica obrioides B
ATES, 1873



ラッキ〜♪ 何気に初採集である。
普段とは違った環境を選択すれば、それなりの “おまけ” がついてくるからありがたい。


これは、後日撮り直した標本写真。。
産毛に包まれた、大変可愛らしい
カミキリムシです。



その他にも、コガネムシ系、オサムシ系、ゴミムシ系を次々と確認し、結構楽しめた。

さて、時計の針が 10:00を回った。

最後の大仕事(機材一式を担いでの下山)が待っているので


今晩はこの辺で。。



〜 後記 〜

... 家へ帰宅したのは、23:40 。。
相変わらず遅くなってしまった... (^ ^ヾ

今回は、念願のスネケブカヒロコバネカミキリ(♂)を
採らせていただき、大変ありがたい一日だった。

実のところ、憧れの存在であった本種を
粘り強く追い続けてきたという経緯は まだない。

しかしこれまで、少ないなりにも色々なムシとの出逢いを果たし
毎回 私なりに “
一頭の重み
というやつを、身を以って感じとってきたので
例え未だ 自分で ネット・イン させてなくても
かなり満足している。 暫くは、お腹がいっぱいだ。。

けれど私は、今回の件に感謝するため
いつの日にか、何とか自身の腕で
もう一頭だけ採ってから 静かに幕を閉じたいと思う。
スネケブカヒロコバネカミキリ
Merionoeda hirsuta

M
ITONO et NISHIMURA, 1936


最後に改めて...
昨年末から色々とアドバイスを下さった
水戸昆の渡辺さんに 心より御礼を申し上げます。
ありがとうございました。。m(_ _)m


〜 主な確認種

●カミキリ亜科
 スネケブカヒロコバネカミキリ (初採集)
●フトカミキリ亜科
 イボタサビカミキリ (初採集)





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