採集履歴

“2008年 R地区調査” 編 (22)



08.03.09
Sun) Plain 「ゴミだらけの暖帯林で」 
                                                                                                  

ご無沙汰しております... m(_ _)m

と言うことで、約 1ヶ月ぶりの採集記である。m(_ _)m ... (^ ^ヾ

2月中は、たとえ平日であっても 帰宅前に せっせと “みちくさ” をしながら
それなりに ゴミムシ類の成果を上げていたのであるが
休日になると、積雪の為に、山入りを断念せざるをえないような不運が続き
残念ながら、採集記を成立させられるだけの
ボリュームある ネタが少なかった。。

そこで今回は、これまでの実績、経験を活かして
“あそこなら沢山採れるでしょう!” と、容易に予測できる
実家付近のエリアで、手堅く ゴミムシ類を得ておきたいと思う。

とは言っても、公的なムシの記録が全くないR地区の某所を調査することには
カミキリムシの場合と同様、私なりに 重要な意義を感じているし
また、県内では産地が限られている 2種類のオサムシの棲息環境を
当該地区から 少しずつ模索していくことも、今回の大きな狙いである。

移動を含め、わずかに 4時間弱という短い制限の中で
果たして、どれだけのことができるだろうか??

いずれにせよ、楽しみだ。


〜 ゴミ密度、高し... 〜


暖かい!一気に春が訪れたような 素晴らしい陽気である。

今回 運転をお願いする yasu の花粉症がいささか心配だが... (^ ^;
実家から 南へ 20分程かけて
昨年の冬(07.02.17)以来、カミキリ調査の為に
何度か訪れているエリアを目指した。

湿地帯を抜け、徐々に、起伏が多い 粘土質の土壌から成る林内へ突入していく。。


こんなところから、入っていきます。。



で、最終的には、タブノキ、スダジイ、コナラ等が生える 暖帯性の雑木林に辿り着いた。(AM 11:30)
このシチュエーションから、いったいどんな結果が得られるのだろうか??


20分程の南下で、随分環境が変わります。。



さて、時間がないので 手際よく身支度を整え、調査を開始しよう。
まずは、真っ先に目に映った、道端の盛り土から様子を見ることにした。


花粉症の yasu も、はりきってます!



すると、1分も経たぬうちに、“ルイス” が出てきた!
よし×2、これは幸先が良い。


ルイスオオゴミムシ
Trigonotoma lewisii
BATES, 1873



そして yasu の方は、間髪いれず 2頭目のルイスに加え、アオオサもゲット!
予想通り、オサやゴミが 沢山眠っているようだ。


なか×2 立派な個体です。



あわせて、標本写真も掲載しておこう。。
普通種とは言え、いつ見ても アオオサは美しい。


カントウアオオサムシ
Ohomopterus insulicola kantoensis ISHIKAWA et UJIIE, 2000



どうやら、クワガタも濃いようだ。。


コクワちゃんも 2♂1♀出てきました。(^ ^;;



更には、真っ赤な頭の幼虫まで... (^ ^;;
大きさと言い、99% ノコだろう。
今回は、土中の根部が目のつけ所なので、出会う機会が多かった。


万が一の可能性もありますね... (^ ^ヾ



ついでに言えば、こんな “ゴミ” が一番濃いようだ... (^ ^;;

“不法投棄 厳重取り締り地区” とか、“●万円以下の罰金! ”

などと書かれた看板が、あちこちに建てられていたが...

テレビ、自転車、バイク、車のバンパーなどもまざっており
まさに やりたい放題であった... (^ ^;;


とてつもない不法投棄...
その、ほんの 一部です... (^ ^;;




〜 ひたすら土手崩し 〜


続いて、谷津田の方へ降りてみよう。。
緩やかな小道を下っていくと、両サイドに感じのいい土手が現れた。

わ〜ぉ... これは美味しそうだ♪


ここに いない訳がないでしょう!



フェ〜ックション!(>;;<)

花粉による症状が深刻化してきた yasu も
鼻水をたらしながら、夢中でこの土手に挑み始める。


教科書通り、上端の根部を崩していきます。。



すると... イエ〜ス!

難なく 黒いオサムシをゲット♪


どうやら、“トウホク” のようです。



当地は、トウホククロナガオサムシを多産するようで
この後も 何頭かを追加することができた。
決して華やかな種類ではないが、こうして並べてみると
渋みがあって、なか×2 カッコ良い。


...
トウホククロナガオサムシ
Leptocarabus arboreus parexilis
NAKANE, 1960



更には、本日 3頭目となるルイス、4頭目となるルイス、そしてまたルイス... (^ ^;;
どうやら、不法投棄された “ゴミ” に次いで多いのは、この “ルイスオオゴミ” らしい。。


ルイスオオゴミムシ
Trigonotoma lewisii
BATES, 1873



お!そんな中で、今度は艶消しブラックが美しい大型のゴミムシが零れ落ちた。


嬉しい初採集種です。



ネット採集記などで良く登場している、オオスナハラゴミムシである。


オオスナハラゴミムシ
Diplocheila zeelandica REDTENBACHER, 1868



このゴミムシは、大顎に特徴があって
左右の形状が対称ではなく、右片がやや幅広い。

理由は分からないが、実にユニークである。




“存在して然り”、の普通種なのだろうが
おそらく、R地区からは 初記録となる筈である。

・・・と言う事で、ラッキーだった♪ (^ ^ヾ



その他には、シデムシ系とか。。


オオモモブトシデムシ
Necrodes asiaticus PORTEVIN, 1922



こちらには、前胸背板にダニが這っているし... (^ ^;;


クロシデムシ
Nicrophorus concolor KRAATZ, 1877



越冬中のカエルさんも出てきた。。


パン×2 に太った、シュレーゲルです。



そうして土手を崩しながら下っていくうちに
やがて、陽当たりが良い谷津田の周辺に出た。


珍しく 先を行く、yasu...。



目に留まった小規模な崖には、マメにチェックを入れていく。


こういったシチュエーションが、豊富です。



こちらからは、1頭のトウホククロナガオサムシの他
各種アオゴミムシや、ゴモクムシ系、クビボソゴミムシ科のミイデラゴミムシなどが際限なく出てきた。
勿論、ルイスも。。(^ ^;;

林内に比べると、どうやら オサムシは少ないようである。


トウホククロナガオサムシ
Leptocarabus arboreus parexilis
NAKANE, 1960



手短ながら、谷津田の周辺に潜む ゴミムシ類を概ね把握し終えたので
最後に、高台上の林をチェックして〆括ることにした。

肝心な 2種類のオサムシのことも、忘れてはいない。


今度は、登ります。。
木漏れ陽が、眩しいです。。



引き続き、ひたすら土手や小さな崖を崩していく。。

まず始めに現れたのは、やっぱりルイスだった。

頭部、前胸背板の光沢が非常に美しく、好きな種類なのだが...
さすがに、もうお腹がいっぱいだ。。(^ ^;;



ルイスオオゴミムシ
Trigonotoma lewisii BATES, 1873



おっ!?

西側に面した、陽が当たる土手からは マイマイが出てきた☆

めちゃくちゃ普通種とは言え
前々回の エゾカタビロオサ、前回の カントウアオオサ、そして今回の ヒメマイマイを
生まれ故郷である R地区から、順調に回収し続ける事ができ、とても嬉しい。(^ ^ヾ


これまでに所有していたラベルは
全て河川敷産のものだったので
素直に嬉しいです。。(^ ^ヾ


ヒメマイマイカブリ
Damaster blaptoides oxuroides SCHAUM, 1862



更には、前述のオオスナハラゴミムシも出てきた。


オオスナハラゴミムシ
Diplocheila zeelandica REDTENBACHER, 1868



さぁ、残り時間は あとわずかである。

急いで林の中をさまよえば、このような土手や小さな崖が
想像以上に目についた。



なだらかな土手や...



小さな崖も見られます。



ただこちらからは、マルガタゴミムシの一種や、オオヒラタゴミムシなどの小型種が
それなりに出てくるものの、思ったほどの成果は上げられなかった。

また タブノキ群の林床には、程よく腐朽した赤枯れ材が多数転がっており
その殆どは ヨリトモナガゴミムシのアパートと化していた。


・・・と、くやしいが、残念ながらここでタイムアップ。。(^ ^;; (PM 14:30)

“2種類” の足跡は見出せなかったものの、次から次へと、オサやゴミが登場したので
充実した、あっという間の 3時間であった。

yasu の、くしゃみ 鼻水も限界に達したようだし... (^ ^;;
名残惜しいが、次回の調査に繋げるため、周辺の環境を観察しながら帰路に就くことにした。


また、来たいものです。




〜 後記 〜


今回選んだ暖帯林には、予想通り オサ、ゴミが沢山棲息していた。
特に、“ ルイス ” が 非常に濃いエリアであった。(^ ^;;
カントウアオオサ、多数のトウホククロナガオサに加え
R地区産のヒメマイマイを、手堅く ゲットすることもできたし
まず×2 の成果を上げられたと思う。

ただ、そんな状況下で、定番の “ エサキオサ ” を
1頭も確認できなかったことが とても不思議だった。
最寄の既知産地から、20分程 南下しただけで
随分と様子が変わるものだ。(水戸昆の札くんが言ってた通りかも。。)

また、気にしていた オサムシの手がかりを掴む事ができずに、残念だったが
過去には、同じ利根川水系からの記録があるので、可能性が全くないとは言えまい。

周辺には、今回と似たような自然環境が、まだ×2 沢山残されているようだし
今後も、地道に調査を続けていくつもりだ。

最後に一点...
数頭掘り出した ノコの幼虫は、ヒラタになれば!?と
万が一の可能性に期待しつつ 我が家で飼育することにした... (^ ^ヾ



〜 主な確認種 (目撃数)

...
●オサムシ科
 ヒメマイマイカブリ 1ex
 トウホククロナガオサムシ 7exs
 カントウアオオサムシ 1ex
 オオスナハラゴミムシ 3exs
 ヨリトモナガゴミムシ 多数
 ルイスオオゴミムシ 12exs
 オオヒラタゴミムシ 2exs
 スジアオゴミムシ 1ex
 キボシアオゴミムシ 1ex
 アオゴミムシ 1ex
 フタホシスジバネゴミムシ 1ex
●クビボソゴミムシ科
 ミイデラゴミムシ 多数
 オオホソクビゴミムシ 3exs





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