採集履歴

“2008年 ラスト・スパート” 編 (16)



08.07.11
(Fri) Mt 「@コシアブラ」 
                                                                                                  

前回のソリダを モチベーションの糧にして
最後まで頑張ろうと思います。



今朝も早起き(5:00起き)して、バリ×2 とトレをこなしてきました。
気合を入れて行ってきます。


隣町を走り抜けます... @ 6:40



2時間 30分かけて、山登りの開始です。
梅雨が明けたとたん、ムシ達が活発に動き出したようです。
賑やかな場所へお邪魔する時には、胸が躍ります!


マメコガネ
Popillia japonica
NEWMANN, 1841



カミキリムシも、沢山見られます。


チャボハナカミキリ
Pseudalosterna misella
BATES, 1884



もう駄目だ... と言わんばかりに
のびているって感じです。。


どよ〜ん。。@ 9:27



ヨツは、沢山います。


ヨツスジハナカミキリ
Leptura ochraceofasciata ochraceofasciata
MOTSCHULSKY, 1861



浮遊するホソキも、多いです。


ホソキリンゴカミキリ
Oberea infranigrescens
BREUNING, 1962



お!マスダクロホシタマムシです。
足元の葉上に静止していました。
視点によっては、青緑色の綺麗な光沢が映えます。。


マスダクロホシタマムシ
Ovalisia vivata LEWIS, 1893



ほおお、小さなゾウムシを発見。
以前、福島昆虫ファウナ調査グループの、ロドリゲスこと斎藤さんから ご教授いただいた

コウノクモゾウムシのペアです!

ゾウムシは、小さくても身体の造形が大変複雑で、かつ美しく
改めて面白いムシだという実感を持っています。。


コウノクモゾウムシ
Euryommatus konoi
ZUMPT, 1937



さて×2、多くのムシに目を奪われていたら
いつの間にか、天然林の中へ突入しました。。


@ 11:04



林内は暗いので、とりあえず陽当たり良い尾根筋まで
登りきってしまおうと思います。

その結果。。

やりました!今度はオオトラフコガネです。
地面から90cm程の高さに生えた葉上で、静止しています。。

当地区ラベルの本種は、まだ採集してなかったので
ラッキーでした♪

いてくれて、ありがとうございます。。


オオトラフコガネ
Paratrichius doenitzi
HAROLD, 1879



オオトラフの追加に気をよくして
やや離れた場所にある、モミの立枯れや イヌブナの倒木をチェックすべく
登ってきた場所とは違う沢筋に降りてみることにしました。


このモミは大分古いですね... @ 13:29



こちらの斜面は、乾燥化が進んでいる上に、勾配が あまりにも急なため
樹齢を重ねた老木の 立枯れや倒木が 非常に目立ちます。
それ故、時折 ユニークなムシとの出会いも訪れるのですが。。


谷底になだれ落ちているイヌブナ... @ 13:35



特に、このイヌブナ材には随分期待しています。
しかし、今日は訪問者がなかったようです。

ここまでやってくるには、相当な脚力と
ブヨの奇襲に耐え続けるだけの忍耐力が必要になります。。

もう 2〜3年すれば、雑甲虫が一層増えると思われます。


ゾウの太もものようです。。



陽当たりが良く、10m程横には、沢の原点があり 水が滲み出ています。。


また来ねばなりませんね。



さて、尾根筋へ戻るために、またも新たな斜面にトライすることにしました。
今回は植林内を這い上がります。。


@ 14:10



踏み跡がないので、下草を掻き分けて標高を上げます。
勾配は、想像以上に急でした。。

息を切らしながら登っていくと
林床に生えたサワフタギの葉に、ニセシラホシの食痕がありました。
そしてラッキーな事に、付近から1頭を確認できました。

まぁ、当然いるのでしょうけど... また新産地が増えたことが嬉しくてなりません。


@ 14:25



で... 無事に 尾根筋へ舞い戻ってきました。。


再び天然林を見下ろします... @ 14:40



この 30分後に、思いがけぬ出逢いがありました。
とある明るみの下でたたずんでいたのは、なんとタテジマカミキリでした。


タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides THOMSON, 1864



人里からは全く無縁の、深山中@尾根筋にいた個体ですので
おそらく、完全な土着型だと思われます。
付いていたのは、本種のホストである コシアブラでした。


コシアブラ... @ 15:09



この様な葉をしています。。


5枚葉です。



付近のコシアブラには、羽脱した痕も見られました。


羽脱痕です。



驚きは、まだ冷めません。
数メートル先の藪の中で、もう一頭を確認できました!

茨城県下における、テジマカミキリ@コシアブラ の写真は
これまでに一度も見たことがないので
何枚もシャッターを切ったのですが...

光量が足りず、あえなくピンボケという結果のみを残し終わりました。。


タテジマカミキリ@コシアブラです。



上翅には、傷が見られます。
越冬虫でしょうかね。。
昨年、カクレミノで観察した際と同様に
近くにはボート状の越冬痕が残されていました。



タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides THOMSON, 1864



更に追加個体を探して 1時間以上付近を徘徊しましたが
後続は全くありませんでした。
しかし、コシアブラの幼木、若木、老木が、広範囲に
しかも割と沢山生えていることを知り
こういったところでも、細々と生きているんだなぁ... と実感しました。

さて、今日はいつも以上に多くの勉強ができたので
そろ×2 下山してみましょうか。。

最後は、朝登ってきた沢筋を折り返してみたいと思います。。

その途中では、ニホンカワトンボや...


ニホンカワトンボ
Mnais costalis
SELYS, 1869



再びオオトラフコガネを見ながら歩を進めました。。


オオトラフコガネ
Paratrichius doenitzi HAROLD, 1879




〜 後記 〜


梅雨が明け、多くのムシとの出逢いがありました。
想定内でしたが、当該地区から どうしても確認しておきたかったオオトラフコガネ(2♂)や
ちょっと想定外のタテジマカミキリ(1♂1♀)を コシアブラからホスト採集できたので
大分運が良かったのだと思います。
マスダクロホシタマムシも得ておきたかった種で、1頭目が現調査地であったことは
嬉しい限りでした。
さぁ、シーズンはピークに達しました。
“残り2つ” を目標に、どれだけ頑張れるでしょうか。


〜 主な確認種

●コガネムシ科 Scarabaeidae  ●ゾウムシ科 Curculionidae
 オオトラフコガネ  コウノクモゾウムシ
 マメコガネ ●カミキリムシ科 Cerambycidae
 ヒラタハナムグリ  チャボハナカミキリ
●タマムシ科 Buprestidae  ホソヒゲケブカカミキリ
 マスダクロホシタマムシ  ニセシラホシカミキリ
●コメツキムシ科 Elateridae  ホソキリンゴカミキリ
 オオアカコメツキ  タテジマカミキリ
●オオキノコムシ科 Erotylidae
 ミヤマオビオオキノコ
●テントウムシ科 Coccinellidae
 トホシテントウ


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