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“2008年 ラスト・スパート” 編 (19)



08.08.07
(Thu) Mt 「最後のカミキリを求めて」 
                                                                                                  

今回から、2008年中に何としても確認しておきたい
最後のカミキリムシを、気にかけていこうと思います。
春先には、そのカミキリムシのものと思われる
黒化した上翅を見つけているのですが、絶対にそうか?
と言われると、確証はありません。
また、ブナ・イヌブナの根部にはそれらしき羽脱孔を多数確認しています。
・・・と言う事で、生体を見出しておきたいのです。

もし確認できれば、現地の環境が良好であることの裏づけにもなります。
少しでも手がかりが得られれば嬉しいのですが...

勿論、その他のカミキリムシにも目を向けていくつもりです。



5:00には起床し、あれこれと出発の準備を整えました。
今回は結構気合が入っております!

2時間後... 眩しい朝の陽射しを受けながら
実家の裏手より快調にスタートしました。

清々しいですね。とても暑くなりそうな予感がします。


右は同級生だったKさんち。 行ってきまーす!
ちょっと飛ばしすぎでしょ... (^ ^;; @ 7:06



さて、10:30過ぎから 順調に登山を開始しました。

アジサイの花上には、ヨツが沢山見受けられます。
早々に賑やかな雰囲気を目の当たりにし、心が躍ります。

そんな滑り出しの中、こんな所で いきなり リンゴカミキリを得ました(写真はナシです...m(_ _)m)。
本種はどちらかと言えば、人里周りで見つかるケースが多いのですが。。
SWする前は、いつものホソキかな??と思ったので、ちょっと ビックリでした。


ヨツスジハナカミキリ
Leptura ochraceofasciata ochraceofasciata

(M
OTSCHULSKY,1861)



沢筋を、どん×2 登っていきます。


鬱蒼とした林内にも、眩い陽射しが
届きます。。@ 11:05



1時間ほどかけて、ようやく稜線へ近づきました。
早速、イヌブナの根部を 次々にチェックしていきます。

むむむ!?
これは怪しい。。

割と新し目の羽脱孔です。
最近空けられたものでしょうか。。


それらしい羽脱孔です...@ 11:56



尾根筋付近の斜面を再三徘徊し
これ以外にも、新旧に関わらず沢山の羽脱孔を見つけました。

しかし、夜行性の種を 真昼間に探し当てる事は、やはり相当難しそうです。
まだ産卵時期には早いのか... 根周りには姿が見えないようです。
この時間帯は、高〜〜い樹上で休んでいるのでしょうか??
目が届く範囲で、樹幹や枝先を見つめ続けますが、全く駄目。。
されど、もはや これ以上はやりようがありませんでした。
首が疲れて、終了。。

夜中にここへやってくるのなら、昨年のように一大決心が必要ですが...
後悔しないよう、やはり再チャレンジしておかなければ ならないでしょうね。。

ぼんやりと、そんな事を考えていた お昼時でした。。

とりあえず、斜面を徘徊中に出逢った甲虫類を ここで少し紹介しておきます。。

まずは、脚が赤いクワガタくんと。。


アカアシクワガタ
Dorcus rubrofemoratus
VOLLENHOVEN, 1865



昨年は灯火にも飛来したオオキノコムシ科。。


ミヤマオビオオキノコ
Episcapha gorhami LEWIS
, 1879



それから、ノコギリカミキリ、ビロウドカミキリ、ニセシラホシカミキリなどを見ました。


ノコギリカミキリ
Prionus insularis insularis
(M
OTSCHULSKY,1857)



ここで、今回は目的種の調査を断念し
モミ林のチェックへスイッチすることにしました。

北方の植林内を歩いてみると、スギの伐採木や切り株には
アカ、ヨツ、オオヨツ、各種ハナカミキリが大発生していました。


オオヨツスジハナカミキリ
Bellamira regalis
BATES, 1884



次いで、南側の陽だまりへ出ました。

暑い... 歩くのをやめれば、途端に汗が噴き出してきます。。(^ ^;;;

とある伐採地へ出ると、遠くからチェンソーの音が響いていました。


どこで鳴っているのでしょうか...@ 13:11



あの辺りと...


中央に見える樹の向こうで
作業をしているようです。。



あの辺りに... あ!見えました。


中央やや左寄りに 3名ほど見えます。



暫くの間 じ〜っと眺めていたところ、何と、こちらに気付いてくれたようです。
両手で大きく手を振ったら、チェンソーをとめ、手を振り替えしてくれました♪ \(^▽^)/
お仕事中なのに、ご迷惑をおかけしてスミマセンでした... m(_ _)m


さてと、ようやく モミの頻度が高い林へ突入です。
すると間もなく、表面がズバッと削られた 1本のモミを見かけました。



雷でも落ちたのでしょうか... @ 13:25



こういった生木の傷口には、カミキリムシが良く集まります。
歩み寄ってみると... 案の定、ここにもオオヨツがいました。


撮影をしていたら、ブ〜ン!と
大きな羽音を立てて飛び去りました。



で、傍の皮をめくってみると...

おお!今度はヨツではなく、

オ、オオクロ。。w(◎。◎)w


結構 でかい個体です。 光量が足りず、あまり良い写真が撮れませんでした... (^ ^;;



モミやマツ類などの針葉樹食いですので、存在も納得はできますが
あまり出逢う機会がないムシですので、嬉しい限りです。

他県では、高標高地での記録が目立ちますが
本県では、低山帯のここより なお低いエリアからも、チラホラ確認されています。


オオクロカミキリ
Megasemum quadricostulatum
K
RAATZ,1879



本当は、触角が長〜〜いカミキリムシの足跡を見出したかったのですが
とりあえず、今回も当該エリアから新しい種を確認できたので、ホッと一安心しました。

時間的には まだ大分余裕があるので
早めに下山して、たまには 別の山へ回ってみましょうか。。


ちょっと曇ってきましたかね... @ 14:03



下山中、ブナの樹根部に 必死で産卵をしていた ゴマダラカミキリの♀を見かけ...
これまで見てきた羽脱孔は、全てこいつらのものだったのだろうか??
・・・と、今後の展開に いささか不安を抱きながら車の所まで戻りました。。(^ ^ヾ


1時間後には、無事にマイ・カーを走らせ、車窓から まだ×2 明るい西の空を1枚。。
下方にはコンクリートの関が見えます。 ここでも植林・伐採が繰り返されてきたようです。。


この辺も、山林火災に
あったのでしょうか... @ 15:13



山麓では、いつもお世話になっている Sさんの奥様から
魚、野菜といった山の幸を頂いてきました。
こういうのって、本当に嬉しいものですね。。
帰ったら、味噌汁に入れて食べたいと思います♪


では最後の山へ。。

適当に流していくと、頂上付近に差し掛かったところで
とあるムシ屋さんにお会いする事ができました。
ご存知の方も多いと思いますが、私は初めてお目にかかりました☆

Hさんは 大変ご親切な方で、ムシの採り方を色々とレクチャーしてくださり
さらには、“お好きなのをどうぞ。”
・・・と、遠征中に採り集めてきた沢山の甲虫を見せてくれました。

凄い... (^ ^;;
これなんかは我が県にもいますが、滅多な事では採れませんよ。。


凄い... (^ ^;; @ 17:23



“ちゃんと完品をとってくださいね。”

と、促してくれたもので...
お言葉に甘え、状態の良い ♂♀1頭ずつを頂戴しちゃいました♪。。(^ ^ヾ
ありがとうございまーす!


オオアオカミキリ
Chloridolum thaliodes BATES, 1884



この後 Hさんは、夜通しナイターに挑むそうです。
狙いは... 今の私と同じでした。(^-^)

私の場合は、いつもの山から 1頭得られれば御の字なのですが...
よっしゃ、来週は私も頑張ってみたいと思います!

今回は、多くの方々と心が通じ合えたような、大変楽しい一日となりました。



〜 後記 〜


20:30に、無事帰宅しました。
昼食を抜いていたので、腹ペコでした... (^ ^ヾ

今回は、新産地にオオクロカミキリを加えられただけでなく
多くの皆様との出逢い・交流もあり、大変充実した内容となりました。

“最後のカミキリムシ” については...
う〜む... ナイターしかないかな、やっぱり。。


飛来する頻度は、かなり遅めの時間帯ですので
1チャンスにかけるのであれば
朝までやる覚悟で臨まねばなりません。

しかし、さすがに夜明けまでは燃料がもたないでしょうね。。
けど、やっておかなければ一生後悔することになるでしょう。

・・・と言う事で 次回は、1年ぶりに機材を担いで山登りをしようと思います。


〜 主な確認種

●クワガタムシ科 Lucanidae
 アカアシクワガタ
●オオキノコムシ科 Erotylidae
 ミヤマオビオオキノコ
●カミキリムシ科 Cerambycidae
 オオクロカミキリ
 ヨツスジハナカミキリ
 アカハナカミキリ
 ウスイロトラカミキリ
 ビロウドカミキリ
 ニセシラホシカミキリ
 リンゴカミキリ


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