採集履歴

“2008年 ラスト・スパート” 編 (20)



08.08.10
Sun) Mt 「ただ一点に、的を絞って」 
                                                                                                  

さて、今回は1年ぶりに 灯火採集を行いたいと思います。
環境指標としては申し分のない ブナ林のカミキリムシを
どうにかして、いつもの山から得ておきたいところです。

深夜にやってくるケースが多い種ですので
場合によっては、明け方まで ねばる覚悟でいますが...
はたして、どこまで燃料がもつかどうか。。
それが一番心配です。
単純計算では、日没後〜3:00 ぐらいまでが限度でしょうか。

念願達成へのハードルは...
機材を山頂付近まで担ぎ上げること。。

その他、願うべき諸条件は...
気候が良いことと、薄暗い森林内故に 見通し良い場所が皆無なので
選択したエリア付近に偶然本命が存在し
なおかつ、燃料が切れる前に なるべく早く飛来してくれること。。

昨年の3度にわたる経験をふまえれば、そう何度も トライできることではないので
1チャンスに かけたいと思うのですが...
これら全てがクリアされたなら、本当に ラッキーだと思います。

的は一本です。



涼しい。。(^ ^;;
今晩はあまり気温が上がりそうにありません。

それでも、時期や休暇のタイミングを考えれば
本日に全てをかけるしかありません。

必要最低限の食料を準備して
12:05 に家を出発しました。

足りないものは、追々買って行きましょう。。


今日のメインは夜ですので
昼からの出発です。



当初は単独で挑戦しようと思っていたのですが
23:00ぐらいまでならと、機材を所有する yasuも協力してくれることになりました。

往路だけでも手分けして荷物を運べれば、相当手間が省けます。

ということで、14:00過ぎに某所で合流しました。


前を行くのは yasu車。。
バナナなどを購入し、更に歩を進めます。
雨雲が気になりますね... (^ ^;;



道中、沼地のヤナギについていたノコのペアを掬いながら
時速10km前後のスピードで、植林・伐採作業道を進みました。。

さぁ、適当に広い土場を見つけました。

ここからは自分の脚で頂上を目指しましょう。。

手分けして、機材、燃料、食料、水、衣類を背負い込み
いざスタートです!


材採時にも役立つ “ しょいこ” には
ライトや三脚が入ります。



昨年と同じスタンスで... 左肩にはバッテリーを担ぎます。


燃料込み、16kgの発電機を担ぎます。



で、今回選択したのは、こんなコースとなります。。

暫く人が入っていないのか...
踏み跡は、雑草が蔓延っているため全く見えません。。

運良く 早々に目的が達成できたなら
いやおうなしに、暗闇の中を引き返さなければなりませんので
明るいうちに、通り道の草を しっかりと掃いながら前進しましょう。。


いずれにせよ、yasuは今晩引き返すことになります。


いささか勾配がありますが...
最短コースを辿ることにしました。



随分登ってきました。。

20〜30歩ずつ前進する度に、荷物を降ろして一呼吸置きました。
腿や腕が早くもワラっています。。
一気に無理をすると、スタミナ切れになってしまいますからね... (^ ^;;
気長に行きましょう。。

う〜ん... 傾斜が急になってきましたね。



昨年同様、ジグザグに登りましょう。。



やがて、稜線が見えてきました。
もう一息です!


最後の詰めが、意外にキツイです。。



遂に山頂付近へ到着しました!
第一関門突破・・・といったところでしょうか。

ただそこは、周辺の山々や眼下への眺望が全くありませんので。。
特に景色等を撮影する事はしませんでした。

鬱蒼とした稜線上で、いったん腰を下ろし休憩に入ります。。
ふと目の前に あったミズナラの立ち枯れに視線を送れば
コバネカミキリが数頭見受けられました。


コバネカミキリ
Psephactus remiger remiger
HAROLD, 1879



また、その10分後... 以前仕掛けておいたトラップをチェックしに向かえば
アルコールの匂いに誘われたのか??
周辺には、ス〜ジ〜とオオセンチが見られました。


リリースしましたが、甲虫の記録は
全てメモしておきます。



さ〜て、そろ×2 セットを組んでいきましょうかね。。
以前から 「やるならここで!」 と決めていた場所があるので
そちらへ移動します。

この様な、植林と自然林の境界線です。


整然と並んでいる植林は
シートを張るのには非常に好都合です♪



私は、この巨大なブナに いると睨んでいます。


勿論、以前の下見では 根部に新しい羽脱孔を
確認しています。



順調に準備を終えたところで、なおも休憩をとることにしました。
登山の段階で 随分体力を消耗してしまったようです。。
樹の根元を枕に、大の字になって 15分ほど目をつぶりました。。

で、19:30をまわった頃... 日没と同時にライトを灯しました。



今年こそは頼みますよ! @ 19:52



早速 ワラ×2 とムシが集まってきます。
ただ... 気温が低いためか、思ったほど 勢い・手応えが感じられません。。

しかも、期待している ブナの方向からは、殆どムシがやってこないようです。
(直面しているシートは真っ白。)

明らかに、別角度に張ったシート上に蛾やコガネムシ科、コメツキムシ科が増えていきます。

暫く大きな変化が見られなかったので、10分ほど現場を離れ
老ブナの根回りをチェックしたりして間をやり過ごしました。


しかし... 1時間が経過した頃に、いきなり。。


おおっ... w(◎。◎)w


何の前触れもなく、バシッと出現です!



来た〜!(>_<)

来たっ!
来たっ!!

それまで真っ白だった シートの上に、いきなり本命がやってきました!

嬉しいっ!やった!
自分で言うのも何ですが...
声に出して、ここまで興奮したのは久しぶりでした。

昨年より、絶対に存在しうると信じ続けながら
キツイ登山の末に、その答合わせができたのですから。。
なんと言っても、惚れ込んだ山の良好な自然度を
また改めて確信することができた訳ですから。。

度重なる下見を活かして
睨んだブナから飛来したことも、嬉しい要因の一つでした。

良く見れば、左中脚、右前脚の爪が欠損していましたが
そんなことは、正直どうでも良く感じました。


ヨコヤマヒゲナガカミキリ
Dolichoprosopus yokoyamai (GRESSITT, 1937



と言う事で... 興奮のピークは、早々 20:35に訪れてしまいました。
なんてラッキーな話でしょう。。(^ ^ヾ
これで、ホッと一安心です。。


目標が達成されれば、ホッと一安心です。 @ 21:12



一応、その他に集まった甲虫を列挙しますと...

トウホククロナガオサムシ、ツクバクロオサムシ
フタホシアトキリゴミムシ、オオツヤハダコメツキ、
ウスモンツツヒゲナガゾウムシ、オオモモブトシデムシ、コクワガタ
ウスバカミキリ、ノコギリカミキリ、トガリシロオビサビカミキリなど。。

・・・これらも全て大切な記録となります。

時刻は 22:20...。
さぁ、それでは引き返しましょうか!

本来は朝までやる覚悟でいましたが
完品ではないとはいえ ヨコヤマの棲息さえ確認できれば
もう充分です。何も言うことはありません。

時間の猶予は もう少しありましたが、早々に下山準備を整えました。


今年も、エンジンをかけっぱなしで
ライトを灯しながら下山することにしました。



今年は、軍手をしながら下山したことが仇となり...
(けっこう滑るんです... )
握力が一気になくなっていきました... (^ ^;;

しかしながら、適当に休憩をとりつつも
1時間後には、迷うことなく マイカーの元へ。。
往路での草掃いが功を奏しました☆


ここまでくれば、ミッション完了です! @ 23:22



あとは家まで 2.5時間ほどの安全運転です。
真っ暗な植林地帯の中を、低速で走り出しました。


四駆は ドン×2 行っちゃいますね... (^ ^;;



人里に近づき... 水田地帯へ出たところで、突然土砂降りとなりました。。
こんな状況の中、山頂付近で 一人夜明けを待つことを想像すると ゾッとしてきます。(^ ^;;
いいタイミングで、下山してしまったと思います。


アスファルト道は、もうすぐです。。



今夏は、本当に幸運が続いていると思いますよ... ホントに。。
ありがたいことです☆



〜 後記 〜


.. 今年も、根性入れて 挑んできました。
夜更けと 明け方を睨み
朝陽が昇るまで、明かりを灯し続ける覚悟でいましたが
大変運が良く、20:35 に お恵みが頂けました。。

左中脚、右前脚の爪が欠損していましたが
そんなことは、もう どうでも良く感じました。
昨年から数え、4度目の正直です。
やはり この山にもいてくれたのです。。
そのことが 嬉しくて、ホッとして 仕方がありませんでした。。

約 16kg の荷物を握りしめながら、車の傍へ戻ったときには
両腕が パン×2 に張り、握力も大分 なくなっていました。

良いタイミングで豪雨を免れ、AM 2:00 には、帰宅しました。。
この上ない達成感に、包まれた一日でした。。



〜 主な確認種

●オサムシ科 Carabidae ●カミキリムシ科 Cerambycidae
 ツクバクロオサムシ  ウスバカミキリ
 トウホククロナガオサムシ  ノコギリカミキリ
 フタホシアトキリゴミムシ  コバネカミキリ
●コメツキムシ科 Elateridae  トガリシロオビサビカミキリ
 オオツヤハダコメツキ  ヨコヤマヒゲナガカミキリ
●クワガタムシ科 Lucanidae ●ヒゲナガゾウムシ科 Anthribidae
 スジクワガタ  ウスモンツツヒゲナガゾウムシ
 コクワガタ
●コガネムシ科 Scarabaeidae
 オオセンチコガネ
 クロマルエンマコガネ


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