調査履歴

“2009年 ラスト” 編



09.12.22
(Tue) Mt 「名残を求めて...その2」 
                                                                                                  

昨年は、長らく継続してきた “ ラストスパート 編 ” を
通常の定点調査@ムシではなく、広い稜線の縦走により 森の素顔を確認することで〆括りました。
08.09.13-19
調査エリアの北側。微々たるものでしたが、自然林の名残を 身をもって受け止めました。

そして今年は...
あえて、その延長線に乗り “ 楽しんで見直し編 ” を掲げてきたわけですから
やはり稜線の縦走についても、やり残した部分(
調査エリアの南側)を
しっかりと見極めておきたくなりました。

昨年と比べると、山塊の頂からは 随分遠ざかったエリアになるので
植林の面積は、より一層拡大されていると思いますが...
標高の幅は さほど変わりませんし
元来は、冷温帯性の針広混交自然林が生茂っていたはずですから
その様相を 少しでも垣間見ることができれば幸いです。

歩いて、空気を吸って、険しさを思い知りながら...
再び、過去の名残を求める小さな旅... 想い出づくり に出かけようと思います。



8:30に、ゆっくりと家を出発しました。

今日は、雲ひとつない晴天です。


清々しい陽気です。... @ 9:35



行きつけの magigo へ立ち寄り 100円のファイト一発を 2本ゲットしながら
約 2時間30分が経過...


いよ×2 山間部に入りました。



今回は、稜線の南方をスタート地点とし 折り返し地点となる北方の某ピークを目指そうと思います。

さて... どこから取り付いていきましょうか。。
これが結構 悩みの要因となりました。

暫く右往左往していると...

入口にバリケードが設置された 古いアスファルトの廃道があり
それが運よく 上方に伸びていたので
今回は、強引にそこを飛び越えていくことにしました。


まずは、路肩に相棒を駐車して 身支度を整えます。。

よし、では行くか... 静かに気合を入れました。



意を決して、ここから行きます。... @ 11:03



道端から、植林の中へと続く 細い踏み跡が見えたので
迷わず突き進むことにしました。


本日のスタート地点... @ 11:05



さぁ... この選択が、吉と出るか... 凶と出るか...

結果、踏み跡はすぐに消滅してしまい
ゴツ×2 とした岩が転がる沢登りとなりました。

ということで、大凶でしたね... (^ ^;;

おそらく、他にもっと素直な進入口があるのだと思います。

しかし、Uターンするのは嫌なので
上方に見え始めた稜線を目指し
急な斜面を直登することにしました。

この段階で、早くも息が上がってしまいました... (^ ^;;

で、本線ではないと思いますが 無事に赤柱のある稜線に乗ることができました。


とりあえず、束の間の一安心です。... @ 11:23



暫く北を目指せば、数ある稜線の全てが集約されると思い
特に何も考えず、より良き踏み跡を目指して前進しました。


前方が明るいです。... @ 11:27



おおお... アカマツやモミの大木が見え始めました。


眺めているだけで、楽しいものです。... @ 11:30



しかしながら、これまで前進してきた稜線の標高が
ぐん×2 落ち始めていきます。

気がつけば、北ではなく 西を目指している模様。。。

これはいかん!(>_<)

さすがに Uターンです。。

先程の分岐は、左(登り)ではなく...



黄色が正解... @ 11:42



右側(下り)を選択するべきでした。

約 15分間のロスタイムと、体力消耗です...

あ〜ぁ... (^ ^;

なおかつ、あまり受け入れたくない進路だなぁ... (^ ^;;;


赤テープが結んで ありますが.... @ 11:42



入山してから、約50分が経過。。。
ようやく、目印となる鉄塔が見えました。
このまま行けば、無事に本線へ乗れそうです。

何だか、非常に出遅れた気がします... (^ ^;;


安心させてくれた 巨大な工作物... @ 11:54



今回も、国土地理院発行の地形図を持参していますので
この様なチェックポイントは...


送電線の鉄塔 ... @ 11:56



全て紙面上へチェックしていきます。


巡視路標柱 ... @ 11:58



周辺の展望は全くありませんが...
ここは、一応名のある お山です。。


寂しいところですね ... @ 12:05



ここが、三角点になるようです。


581.3m ピーク ... @ 12:05



少し東へ脱線しますが、現在位置の再確認のため
もうひとつの鉄塔を見に行きました。


これも、地形図上にプロットします。 ... @ 12:07



自分がいる位置と進むべき進路を、完全に把握しました。


休猟区標識 ... @ 12:09



自信を持って、稜線を辿り始めます。


もう迷いはありません。
ここまで、長かったです。 ... @ 12:10



チェックポイントが増えてきました。
アップ・ダウンが激しい証です。


147号柱... @ 12:13



このあたりからは、基本的に 西へ、西へと、稜線を辿りました。


青テープです。 ... @ 12:13



歩き始めて 約 1時間30分が経過...
西方から、伐採地が登ってきていました。

吹き抜けの風が、とても冷たいです。
稜線周りにはアカマツが連立しています。


久しぶりに、日向へ出ました。... @ 12:28



西方の山々が、美しく映りました。


清々しい展望です... @ 12:30



日光連山〜高原山塊でしょう。。


やはり規模が... @ 12:31



とても雄大でした。
今日、この日が 晴天でラッキーでした♪


違いますねぇ ... @ 12:31



さて、素晴らしい眺めを前にしたところで、そろ×2 お昼にしましょう♪


ちょうど良い時間帯です。 ... @ 12:34



何気に、実家の食卓から お弁当を持参しました。


ちゃんと食べなきゃ... (^ ^ヾ
お楽しみの、ランチタイムです♪



食事を済ませ、更に稜線を北上しました。

すると、すぐに また新たな伐採地が現れます。


伐採地との境界が
辿るべき稜線となります ... @ 12:51



今度は、正面の展望が素晴らしいです。


N町 K町 方面でしょうか?? ... @ 12:54



さすが、お隣の山々ですね。。


あの辺りは、夜の街明りが
綺麗なんですよね☆ ... @ 12:54



で、後方を見ると...


あれ? 人里が見えますね ... @ 12:56



あ... あそこは知ってる... (^ ^;;

今回のスタート地点ではありませんが
現状、ここまで大して歩いてないことを思い知らされる場所ですので
かなり プレッシャーがかかりました。


かなりペースが遅いです... (^ ^;; @ 12:56



更に、正面 やや東よりに顔を覗かせたのは...


ひょっとして!? ... @ 12:57



この山塊の、根源でした。。


てっぺんでした ... @ 12:57



更に北上すると、3つ目の伐採地が現れます。

下から作業道が上がってきているようですので
もし陽が暮れそうになったら、最悪あそこから下山するのも手ですね。。

そういった展開は、あまり受け入れたくありませんが... (^ ^ヾ


主要な山道へ続くはずです。... @ 13:02



現在の時刻が 13:02... そして、日没の時間は 17:00が目安となります。
昼食の時間も含めますが、ここまで 2時間を費やしているわけですから
単純計算で、 14:00には折り返さねばなりません。。

しかし、目標の折り返し地点までは、ここまでの 約 2倍の距離があります。。
つまり、まだ 3分の 1しか来ていないということです... これはちょっとヤバイです... (^ ^;;

うっかり時間を忘れないように、携帯電話のアラームを 30分おきに設定しました。


ということで、早速 歩行ピッチをあげようとしたのですが...


灌木藪は 非常に歩きにくいです。 ... @ 13:03



伐採された灌木に随分邪魔されました... (^ ^;;


境界見出標を右目にしながら ... @ 13:05



チェックポイントも続きます。


境界見出標 ... @ 13:08



こちらは倒れてました。。


休猟区標識 ... @ 13:12



暫く西側 (あちら側) からの話題が続きましたが...

歩き始めてから、2時間 15分が経過したところで
遂に東側 (こちら側) から、過去の名残が見え始めました!


巨大なシデの倒木です。 ... @ 13:15



そして、本日初となる ブナも姿を現しました。


植林に囲まれてますけどね... (^ ^;; @ 13:16



しかし、これらの殆どは若齢で
いったんの伐採後、2次的に発生した樹々だと思われます。


更に進むと、東側の明るみに 20m×50m ぐらいの
狭い広葉樹林が現れました。。


何だか 楽しくなってきました♪ ... @ 13:16



そして... これ以降、植林内に ごっつい樹々が混じり始めます。


アカマツです。 ... @ 13:19



おそらく、相応のムシがいるでしょうね。。


モミも増えてきました。 ... @13:21



立ち枯れや 倒木には、甲虫が羽脱した孔が沢山あいていました。


ちょっと古い アカマツの倒木です。... @ 13:23



しかし、ゆっくりと ムシを探しをしている暇はないので
(とりあえず、ヒゲナガカミキリの食痕だけは確認できましたが...)
バン×2 撮影を済ませて、先に進みます。。


西側が植林、東側が 2次発生的な自然林...
昨年と同じパターンになり始めました。... @ 13:36



西の斜面下から、白テープが登ってきていました。
ここを降りて行くことも ひとつの考えに入れておきましょう。。


植林伝いに 括りつけられています。... @ 13:37



淡々と 登ります。


とにかく、時間がありません。... @ 13:37



そして登ります。。(^ ^;;



境界見出標です。... @ 13:39



こちらは、2番目に現れた ブナの若樹です。


これは撮って行かないと ... @ 13:42



おお... ようやく 東側に視界が開けました。

その昔、周囲の見張り番を立てていたといわれる山の展望です。


いずれは、あそこへも 行っておかねばなりません。
@ 13:43



モミの巨木が、頻度良く出現していきます。


つい×2、眼が食痕を求めてしまいます。... @ 13:45



時には、懸命に小ピークを目指します。


かなりの勾配です。 ... @ 13:53



やはり、チェックポイントとなりました。
ズラッと標識が並んでいます。

休猟区の標識は、また倒れていました... (^ ^;;


手前から...
休猟区標識...
公共大20標石...
境界見出標... @ 13:58



ここで、アラーム@14:00 が鳴り響きます。
とう×2、折り返すべき時間に差し掛かってしまいました。。

う〜ん、せっかくここまで来たのに... どうしよう。。(^ ^;;

ふと真正面に、再度 てっぺんが見えました。


山塊のMAXが映りました。... @ 14:01



これでは もう、心情的に 引き返す気にはなれません。
とりあえず、あと 1.5km 程で辿り着くであろう 目標の折り返し地点までは行ってみたくなりました。
完全なる妥協ですが、復路は 既知の植林・伐採用作業道を使って時間を短縮すれば良い話です。


小ピーク手前まで
青テープが連続します。... @ 14:02



小ピークで真東に目をやると、先程紹介した山の展望がありました。
ぐっと近づきましたが...
う〜む... やはり植林だらけですね... (^ ^;;


671.9m ピーク... @ 14:07



稜線周りは、相変わらずの パターンが続きます。。
2次的な林とは言え、これだけまとまった広葉樹林が繋がっていれば
ムシの相も、ある程度は豊かになると思います。



東側は、広葉樹林 時々モミ... @ 14:08



だん×2、足首や膝が痛くなってきました... (^ ^;;
重たい長靴が、最大のネックなのです。。


けれど、安全ではありますね☆


歩きやすい ゾーンです。... @ 14:09



また、倒れていますね... (^ ^;;


休猟区標識... @ 14:10



植林とは言え、そこに宿っているムシは沢山いるものです。
この見晴らし良い斜面で灯火をやったら、どんな結果が得られるのでしょうか。。。



緑色が植林... @ 14:11



若いブナが、頻度良く見られるようになってきました。


2次発生的なブナ林です。... @ 14:16



もう 200年もすれば、立派な巨木が連立する
深い森になるのでしょうか??



自力で森を再生していこうとする
若いブナが、次々と現れます。... @ 14:19



当然、私は死んでしまいますが...
そのときまで、この林が残っていてくれることを祈ります。。

さぁ、本日一番の登り坂を迎えました。



この急な登りの雰囲気が本日のベスト...
東側には、防火帯のように
2次発生的な自然林が連なります。... @ 14:20



ピークに立つと、さすがに息が切れ、1分程休みました... (^ ^ヾ


境界見出標... @ 14:26



先程の 671.9m ピークを、右斜め後方に確認します。


大分 北上しましたね... @ 14:26



せっかく登ってきたのですが...
ピークを越えたら下りに転じる。。。

この繰り返しが、縦走の定めです。
人気がない無名な山塊では、なおさら激しさを増すものでしょう。



西へ下ります。... @ 14:26



東側に現れる展望は、全て写真におさめて行きます。
勿論、稜線沿いに現れた広葉樹林の範囲は地形図上へ総チェックです。

あとは帰宅後に、写真と地形図、それから航空写真を照合して
少しでも リアルな緑地の範囲を割り出していく予定です。。



何となく、懐かしい雰囲気に
変わってきました。... @ 14:31



足元に、スズタケが群生し始めました。


スズタケ・ゾーンへ... @ 14:32



時折、胸の高さまで蔓延っている箇所もあります。


また、東側に展望です。... @ 14:33



くどいようですが...
稜線を挟んで、くっきりと緑地の範囲が 2分され続けます。



若ブナも多い林です。... @ 14:33



ふと、吹き上げの風が舞い込んだと思えば...


??... @ 14:34



東へ派生する 2つの稜線の谷間に、お行儀良く ヒノキの幼木が植えられていました。。


日陰には少々雪が残ります。... @ 14:34



なおも北へ進むと...

はぁ...

とう×2 ここまで来ましたか。。(T^T)

先程(↑)と ほぼ同じシチュエーションですが、こちらで間違いありません。
いつの間にか、2年前の夏に 重たい機材を運び込んだ場所に立っていました。


この時点で、これまでの全ての経験が
一つの線で繋がりました。... @ 14:38



そして、見覚えのある 懐かしいブナの登場です。


下ります... 過去の名残といえましょか...
ここまでで、一番の老齢といえます。 @ 14:39



なおも同じようなシチュエーションです。
当時は、この谷間を足掛かりに、上がってきたのです。



左の斜面を辿ってきたのです。... @ 14:44



西側に、南西へ派生する、長い稜線への分岐が現れました。
この先も、いずれは詰めなければなりません。。



もう、折り返し寸前ですね!... @ 14:49



スズタケは途切れ、ミヤコザサが目立ち始めました。。

お... 標識です。 
最後は、ちゃんと建っていました。。



休猟区標識... @ 14:52



そして、納得の折り返し地点を見ます。


692m ピークです。... @ 14:53



既に、ここまでで 4時間を費やしてしまいました。。
撮影をしたり、紙面上へメモしたりと 諸作業もありましたので
どうにも 仕方がありません。



陽が、随分傾いています。... @ 15:02



日没までのリミットは、あと 2時間...
体力的にも、さすがに辿ってきたコースを引き返す余裕はないので
やはり、付近に走る 緩やかな作業道に甘えることにしました。

急ぎ足で引き返しましょう。



何百年もの樹齢を重ねたブナは
格が違いますね... @ 15:04



懐かしい広場です。。


やはり、雪が降ったのですね... @ 15:17



約 6kmの単調な道のりを、黙々と歩き続けます。。

お... 路傍で、こんなものを見つけました。



トラップ発見!... @ 15:31



少しはムシネタが出せるかと思ったのですが...
覗かせて頂くと、中身はほぼ空っぽ... (^ ^;;

残されていたのは、せいぜいシデムシの頭部と、アオカナブンの上翅ぐらいでした。



久しぶりに見るミラーで、自分をパチリ☆... @ 15:46



折り返してから、約 1時間が経過すると...
だん×2 人郷のかおりが漂ってきました。。


薄暗くなってきたので
シャッター速度を落として撮りました。... @ 16:08



そして... 無事に降りてきました。。
やはり、こういった光景を目の当たりにすると ホッとしますね... (^ ^ヾ


懐かしい 茶畑です... @ 16:28



2009年内に、何とか間に合いました。。

もはや、歳ですね... (^ ^;;
両足首、両膝、股関節が硬直してしまい
最後の登り坂では、とてつもない試練を感じました... (^ ^ヾ


Oh my car!... @ 16:37



2〜30歩毎に、しゃがんで休憩をとりながら...
必死で 相棒のもとへ歩み寄りました。

踏破距離 14.2km, 累積標高 871m, 5時間 42分 の
誰にも出逢わない、とても静かな 想い出づくりでした。。


またひとつ、自分に課したノルマを終えました。
とても嬉しいです... @ 16:42




〜 後記 〜


19:20に、帰宅しました。
今年も、地形図とペンを持参して
頻回にメモをとり、そして撮影をしながら
稜線のUP・DOWNを繰り返しました。

植林地、伐採地... やはりこれがメインでしたが
こちら側には
、モミやアカマツの他
ブナを含む落葉広葉樹などの混生林 (2次林)が
ある程度まとまって残されていました。

手付かずの緑地は全く存在しませんでしたけど...
自然発生し、成長過程にある 若いブナやシデなどの樹々を見ていたら
遠く そして遙か昔、広く尾根筋を包んでいた
本来の森の姿を想像することができました。

道中では、獣一頭とも出逢うことがなく
本当に静かな旅でした。

歳のせいか、昨年以上に くたびれましたけど...
私なりに、ロマンを抱き、意義を感じて取り組んで来ましたから
本当に満足しています。

今年もまた、多くのムシ達と出逢えました。
そして最後に、納得のいく 〆括りができました。。m(_ _)m



11.22 花瓶山 高戸山 見張山

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