調査履歴

“2010年 悔い、なきように” 編 (12)



10.08.27
(Fri) Mt 「締め括り」 
                                                                                                  

連日、報文 @2010年度分 の原稿を作成しています。。

去る 24日に、提出のリミットは今月中!... とのお知らせを頂きましたので
急ピッチで データを整理し、文章のまとめを考えています。

大した分量ではないのですが
4年間の “ 想い ” を、この短期間で どう表現したらよいのか...
考えて、考えて、そして 考えてしまいます。。

OH... 脳みそが破裂しそう。。

ということで今回は、息抜きです。
時間がないのに “ あえて ” 北の調査地へ
脚を運んでみたいと思います。

シーズンは ほぼ終了していますが、改めて現場に立てば
良いイメージが湧いてくるかもしれません。




5:00 のアラームで、目が覚めました。

若干 曇っていますが、気持ちの良い朝です。


朝陽が昇ります。 @ 5:32



さぁ、いつも通りのルートで 軽快に飛ばしていきます。

普段から すいている道ではありますが
今回は特に他の車が見えませんでした。


どこまでも... @ 5:54



この一本道... 約 20km 区間で、信号付きの交差点は
たったの 6ヶ所しかありません。

偶然ですが、それにすら 引っ掛かることなく...


そして どこまでも...



あたかも、これから離陸してしまいそうな

ハイスピードの滑り出しとなりました。


すいてました。






3時間後... 徐々に調査エリアへ歩み寄ります。

ふと路傍に目をやると...

あぁ、昨年と 同じ光景ですね。。

植林地帯の沢筋に生えたクワが、なおも加害されていました。。



クワカミキリが 5頭ほどいました。
@ 10:06



やがて、自然林の入口へ到着です。


太いミズナラが出迎えてくれます。
@ 10:21



一番目の沢筋を、登ります。。

お... 目の前の倒木に、クワガタの姿が見えました。



オニでしょう... @ 10:18



一昨年は、かなり沢山のオニが張り付いていたのですが...

今回見かけたのは、この 1♂だけでした。


全般的に、今夏はムシの発生量が少なかったですね。。


オニクワガタ
Prismognathus angularis angularis
W
ATERHOUSE, 1874



稜線に乗りました。

さて... これまで @コシアブラ の写真ばかりを掲載してきましたので
今回は、同じウコギ科である
@タカノツメ Evodiopanax innovans (Sieb. et Zucc.) Nakai
の写真も 一枚添えておこうと思います。


中央の枝、やや下の方に
しがみついています。 @ 10:43



このタテジマカミキリについては
例年と比べ、個体数が非常に多かったと思います。

上の方についている齧り痕も、セットで良く見られました。。


タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides THOMSON, 1864



晩夏〜初秋のタイミングですから、最後に期待している場所へ向かいたいと思います。。


しばらくのうちに、様々な変化が
見られました。 @ 11:45



しんどい思いをして、急斜面を伝ってきたのですが...

あらら... とうとう折れてしまったのですね。。
大きなハナムグリが棲むのには、とても良い条件だと思っていたのに。。

この4年間で 唯一 1♂を確認できた発生木は、ここから随分離れた場所にあります。

わずか10数ヘクタールという狭き自然林内にて
第2、第3の可能性がある場所は、他に思いつきませんので ちょっと残念でした。


朽ち果ててしまいました... @ 10.08.27 11:47 初確認時のブナです... @ 10.05.16



しかし、大汗をかきながら鬱蒼とした斜面の藪をかき分けているうちに
数々の懐かしい記憶を、リアルに想い出せた気がします。

今回は昆虫調査がメインではないので
これにて下山することにしました。。

行っておきたい場所が、他にもまだ幾つかあります。





2時間後...

付近の山へ車で移動し
午前中に さまよっていた森を含む
長大な尾根筋を、改めて眺めてみました。


ここから、調査範囲全体の
約 6 / 15 km が眺められます。



眼前に広がるのは、見渡す限りの植林です。。

しかし私は... 全長 15km 程の稜線沿いに広がる 樹林の現状を把握しながら
昆虫調査や、地域の皆様から学んだ歴史的な背景などを手がかりにして
かつて存在していた、本来の森の姿 をイメージすることができました。

そして最後に、一番お世話になった Sさんご夫妻のお住まいへ。。


本当にお世話になりました。。



過疎化により、商いなど 周辺地域間の交流は衰退しているそうですが...
ここは私にとって とても温かく、脚を運ぶ度に穏やかになれる場所でした。

次回は、完成した報文を携えて参りたいと思います。
これで終わりというわけではありませんが、長い間 どうもありがとうございました



〜 後記 〜


4年間、夢中で通い詰めた調査地への訪問日数は
いつの間にか 3桁に達していました。
あっという間の歳月でしたが
それだけに、沢山の想い出づくりができた気がします。

現地の環境を指標してくれる、良きムシ達との出逢い...
かつての森の名残を求めた、長い長い稜線の縦走と樹林調査...
そして、沢山の昔話を聞かせてくれた、あたたかな人々との出逢い。。
多くの記憶を、振り返りました。

期限までには、全力の4年間を 〆括っていきたいと思います。


 そして最後に、もうひとつ。。
御礼を伝えに。




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