調査履歴

“2013年 再出発” 編 (1)



13.12.09-
(Mon)  Mt 残されたブナ林へ
                                                                                                     
.. 今回は、6年ぶりに 残されたブナ林へ 材採に出かけました。

自然林の面積は、かなり小さいですが
初めて登頂したときに 目の当たりにした ブナの巨木は
それはそれは 見事なものでした。( → 2007.05.04

懐かしいな。。 当時 現場へ脚を運んだきっかけは
カミキリ特集号 の続編を作成するために
少しでも 新たな産地を 見出したかったからでした。。

また、茨城県のカミキリムシ相の解明に
先駆的に ご尽力された 沼田 稔 先輩のスタンスを
引き継ぎたかったという 個人的な思い入れもありましたね。。
むしろ、そちらの方が強かった気がします。

それ以降は、yasu くんが 甲虫相解明のために
コツコツと通い続け、今年 ( 2013年 ) も、短報を
水戸昆の会誌 “ るりぼし ” に投稿しているようです。
  
彼のお陰で、現地の自然環境を指標する 40種類の甲虫が
記録されることになりました。

温暖化により、冷温帯性の天然林が 刻々と減少していると
予測されますからね。。( yasu くん 談 )

やれるときに、少しでも多くの 棲息種を
把握しておきたいところです。

という訳で... こんな お弁当を食べてから 山登りしてきました。
 
山頂付近に 到りました。

残念ながら 青空は見えませんでしたが
巨大なブナの健在ぶりに、胸が躍りました。
  
写真では、細く見えますけど...
どれも かなりの樹齢を重ねていると 思われます。
  
近寄れば、やはり大樹ですよね。。
  
ただ如何せん、森の面積が小さ過ぎます。
沢がないので、乾燥気味です。
それ故に、昆虫相の幅も 狭まるのでしょう。。

しかし、“ ならでは ” のムシも 辛うじて
棲息するかもしれません。

大好きな山の 報文(4) でも綴ったとおり...
そこの見極めが、重要な部分です。
可能性を模索するところが、やり甲斐なんですよね。。
  
いやぁ... 見事な ブナです。

裾野にかけた広い山肌が 手付かずであったなら
どれだけ豊かな森だったことでしょう。。
 
とある場所で、サクラの褐色腐朽材を見つけました。

あれれ... 誰かが割ってる?
いや、切り株が傍にあるから
切り倒されたのでしょう。。

赤枯れといえば、ピンときますね。。

今夏、yasu くんが 成虫を見つけて報告済みなので
おそらく、ここにも入っていると思います。

ボコッと 手で崩してみると...
 
いた!クワガタムシ科の幼虫です。
 
そして、成虫も。。
かつて あ〜兄さんが、“ つぶこしょう ” と呼んでいた
マダラクワガタ です。

やはり、棲息域は 低山帯に広く及んでいるようです。
Aesalus asiaticus LEWIS, 1883
 
立派なブナを 見つめるたびに、撮ってしまいます。
 
土中に埋もれた 赤枯れ材からは...

おお、第1号 ホソアカガネオサムシ!
1992年に、現地から初記録 ( 月刊むし 誌 ) された甲虫です。

茨城県では 最も南の記録になるのかな??

不思議なことに、西側の主要な山塊からは
今のところ発見例がないようです。

本種を最後に、現地からの甲虫の記録は 暫く途絶えましたが
近年、yasu くんが中心になって 2種類目以降を
積み重ねてきました。
Carabus vanvolxemi vanvolxemi PUTZEYS, 1875
 
ブナ、ミズナラ、シデの混生林を 徘徊しました。
 
ハリギリは、老木が 2本生えていました。
 
見上げれば、立派な生えっぷりです。。
 
いいですね... これは 落ちて 間もないようです。
 
周囲の景色を 見渡してみました。

低山帯が、360度 視界いっぱいに広がります。。
これが、我が故郷の山々です。

緑の部分は、主に植林で。。
茶色の部分は、アカマツか 広葉樹の二次林など。。

しかし この中には、まだまだ注目すべきエリアが
幾らでも 残されていると思いますよ。

個人で やれる範囲には 限界がありますけど
これからも、少しずつ 探求していきたいものです。
 


 
.. 持ち帰ることができた材は、いつもより 少なめになりました。
やはり、山のキャパに 応じてしまいますね。。
内容は... ミズナラ、シデ、ホオノキ、ハリギリほか。。
楽しみです。



■標本写真
 
ホソアカガネオサムシ
Carabus vanvolxemi
PUTZEYS, 1875
ジュウニキボシカミキリ
Paramenesia theaphia
(BATES, 1884)
※2014.4.22 ハリギリ材から羽化脱出



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