採集履歴

“2004年 猛暑のさなかムシ採り” 編(3)



04.07.17
(Sat) 晴れ Hill 「お庭のカミキリ〜でっかいミヤップ!」 
                                                                                                  

 日中、茨城県某町の住民意識調査票を作成している時だった…
我が家に至る坂道を

ダッダッダッダッ!

と、誰かが駆け下りてくる音が聞こえた。
相棒である。
余りにもの慌て様に驚いて
彼の元へ行ってみると
やや興奮気味に、指に摘まれていた1頭のムシを見せてくれた。

おおお!これはトガリシロオビサビカミキリではないか!

何と、実家の裏手に何本か生えているクリの葉上にて見付けたという。。。

こんな物を見せられてしまっては、仕事どころではない。
私も一緒にクリ畑へ出発だ!…(^ ^ゞ

本日の採集はこんな形でのスタート。

昨日の恵みの雨で、ミヤップの郷では一層活気が増した事だろう。
集中豪雨の後の、素晴らしい天気!何やら今日は、いい事が起こりそうである♪


〜 実家周辺にて 〜


 早速私も着替えて徒歩20秒のポイントへ…笑。
実に気軽な、お庭のお散歩感覚である。


どれどれ、私も行ってみますか…


で、これが先程冒頭に記したトガリシロオビサビカミキリ
私が好きなフトカミキリ亜科の種で
更に細分するならサビカミキリ属、体長は20mmにも満たない小さなカミキリである。


トガリシロオビサビカミキリPterolophia caudata caudata:BATES, 1873


写真の如く、クリの葉についていたそうだが、調べてみると 特にフジに集まる様だ。
実は昨年の採集記(03.08.23)にも一度登場しているが
こんなに身近な場所にいるとは思わなかった。


相棒は、引き続きお手製のネットを用いてビーティングをやっている。
では、私もムシを探してみよう。


お手製グッズを有効利用する相棒です。


ちょっと、先まで足を伸ばしてみる。


この辺はいかがでしょうか???


う〜む、テントウムシ、各種コガネムシ、カナブン、ハチ、アリ、ハサミムシ…
色んなムシが見受けられた。
快活に動き回るムシ達の姿は、実に面白い。

その後、横庭に植えてあるカキの樹を丹念に眺めていくと…


カキの樹には何かついているでしょうか…!?


いた〜!!

トガリシロオビサビに引き続き、やはりフトカミキリ亜科-サビカミキリ属の
アトジロサビカミキリ
である。


アトジロサビカミキリPterolophia zonata:BATES, 1873


体長は…1cmにも満たない。

トガリシロオビより更に小さいサビカミキリだ。
各種広葉樹の他、スギなどの針葉樹も好むという。


そしてそして、同じくカキの樹の一端には、何度も登場しているナガゴマフカミキリもいた。
一瞬飛ばれたが
前2者に比べやや大きいので
見失う事はなく、相棒がしっかりとゲット☆


ナガゴマフカミキリMesosa longipennis:BATES, 1873


それにしても相棒!爪が汚いぞ!!…(^-^;

何にせよ、いきなりフトカミキリ亜科の3種を採集してしまった。
いやぁ、こんな楽したムシ採りもたまにはいいでしょ。

実家の周辺も、採集ポイントとしては、なかなかのものである。



〜 手応え充分! 〜


 16:30、昨日に引き続き、本日もクワガタを探しに出かけた。

まずは明るい内に、昨日私が泥沼に足を突っ込んでしまった「水浸しヤナギ」ポイントへ。
今日は長靴があるから完璧だ!
この小川を飛び越える必要はない。

余裕を持って、先を行く相棒を撮影してみる。


昨日、飛び越えには成功、着地に失敗した小川です…(^-^;


さぁ、ヤナギ林の中はどうだろう??


何かいるかなぁ〜?


やった!クワガタが沢山いる!
ノコノコだけどね…笑)

ヤナギの幹を蹴飛ばせば、ボトボトと落下してきた。

おっ!目の前にはペアがいるではないか… ちょっと写真を撮らせてねぇ♪


ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusMOTSCHULSKY, 1857


ざっと見回っただけでも
6♂2♀のノコノコを確認する事ができたが
実際にはもっと沢山いた様だ。

内1頭の♂などは
流れの速い小川の中(当然水中)に伸びているヤナギの根部を平然と闊歩していた。
何故そんな所で素潜りしとるんじゃい!
呼吸しなくても平気なのだろうか…(^-^;

カミキリもいますよん☆

先程、実家の庭でも採集したナガゴマフカミキリだった。


ナガゴマフカミキリMesosa longipennis:BATES, 1873


よっしゃ×2!
ここに降り立っただけでも手応えは充分。
気温、湿度、共に言う事なし。
今宵は確実にクワガタが飛ぶぞ!
高まる期待感を抑えつつ、陽が暮れるのをじっと待った。。。



〜 待望の夜の部 〜


 そろそろいいだろう。 ちょっとフライング気味だったが
夜の部へ移行だ!

“今宵は絶対にムシが飛ぶ!”

今現在、そう確信している採集人は
他にも沢山いるであろう。。。

まずは、ポイント「ガラス」方面へ… 19:00。

先程とは別のヤナギ地帯に降り立ってみると
早速枝上に小型のカミキリを発見!
しかし、あっさり飛ばれてしまい、見失ってしまった…(T^T)

せめて何カミキリか、種の見極めをして、それでもって撮影したかったよなぁ…
小型のフトカミキリだというのは確認できたのだが… 残念、仕方がない…(^-^;

それ以外は、残念ながらカブトにカナブンしかいなかった。
しかし睨んだ通り、ムシは確実に出ているぞ!


 更に、やや標高を上げ、ポイント「ガラスクヌギ」へ… 19:25。
おっと、ここにはいてくれました!
ミヤップ2♂也☆

そう言えば、ここでノコノコを見た事は一度もないな…
たまにある事だが、完全に棲み分けしているポイントの様だ。


小型のミヤップ♂☆


先週あたりから、徐々にミヤップの確認数を増やしているが
今宵の絶好なシチュエーションから考えてみても
そろそろ大型の個体をゲットしておきたい所だ。

我が県内での70.0mm越えは難しいにせよ
65.0mmを越える様な、立派な♂を見てみたい。

そんな期待を込めて
先日は昼、夜と2度も足を運んだポイント「細道」へ行ってみた。

時計の表示は20:00ジャスト… 時間帯の調整もバッチリだ☆

街灯一つない雑木林の暗闇の中を、ゆっくりと車で流して行くと…

ややっ!クワガタが見えたぞ!?
車を停めて、そそくさと現場へ歩み寄り、太い根っこの樹液につくクワガタを確認してみた。

むむぅ…なかなか立派なミヤップの♂である。
よしゃ! まずは撮影、撮影!


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂66.0mm


先程の♂を相棒に手渡し
更にその上の、通直で2股に分かれたクヌギを覗いてみると
今度は♀がついていた。

お〜い、こっちにもいるよん!

…いるよん!? …あれ??

必死で相棒に呼びかけてみるも
どうやら彼は車の中にいた様で
全く声が届いてなかったらしい。
ミヤップ好きが、いったいどうした事でしょうか!?

不思議に思って車中に戻ってみると、相棒は先程の♂を夢中で計測していた…

再度見直してみると
へぇ〜、立派には見えたが思った以上にサイズのある個体ではないかい!66.0mmもあった!
それでは、久々に採集(お持ち帰り)させて頂こう♪

その後、付近の「根太」のクヌギへ行ってみると
やはりなかなか立派な♂が2頭程ついていた。
君らは、樹液を絶やさない様、少しでも長くここに棲んでいてね☆

それにしても、本当にミヤップが沢山いるポイントだ。
ノコノコは一頭もいないから面白い。


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂


そして、この「細道」ポイントの終着点、以前幼虫探しをやった林へ入ってみると…

いる×2!今度のはでかそう!!

一瞬だったが、懐中電灯の灯りごしに
おそらく今夏最大の個体となるであろう♂が♀を抱えてクヌギにとまっているのが見えた!

余りライトを当て続けると、ポロッと樹から落ちてしまう事があるので
付けたり消したりしながら
慎重かつ丹念に周囲を見渡してみた。

どうやら、他にもいる様だ。
何とこのクヌギ一本に、3♂3♀、3ペアがついている模様。

当然、最初に見えた最も大型の♂を持ち帰りたい所だが
その前に、是非彼らの自然体の姿を写真に納めねば!

“採る前に撮る!”

である。 まずは一枚!カシャッ!


なかなかいいですね… 下のペアをもう一枚!


よっしゃ、なかなかいいぞ。
最も大きい♂がいるペアに寄ってもう一枚行っとこう!

カシャッ!
あれぇ〜…(^-^;


思いっきりピンボケです…。


思いっきりピンボケやん…(^-^;
あぁ、なんだ、接写モードになってなかったのか…
よし、もう一枚!
う〜ん、暗くてなかなかポイントを絞りにくいな…

・・・・・。

後程知った事だが
この様に、流暢に撮影会にいそしんでいる私を側で見守っていた相棒は
獲物を採り逃がしてしまわないだろうか心配で、気が気ではなかった様だ…

おし、今度こそ大丈夫!

カシャ☆


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂69.0mm


おっけー!バッチリ撮影できました♪
OKUさんのお言葉をお借りすれば

ほんと、“恐竜の様である。

とりあえず、最も大きいこの個体は、ミヤップ好きの相棒の手で捕まえてもらい(待たせたね〜・笑)
本日2頭目のお持ち帰りとした。

ふぃ〜!ご苦労様でした…(^-^;


それにしてもこの個体、かなりの大きさだ!

入念な計測の結果、目標の70.0mmはちょっと厳しいにせよ…

確実に
69.0mmはあろう!


とすると、我が県内では自己ギネスサイズ。
国内では自己セカンドギネスに当たる個体ではないか!

実際に手にしてみて、なおもビックリであった…(@_@)

顎が細長く、腹部がボテッと図太い。
まさにずんぐりむっくり。
頭部の突起の形状も、これまでに採集した個体とは、やや違ったパターンである。

ミヤマクワガタは、地区によって、その体型に個体差が生まれるから見ていて楽しい。

不格好なやつほど格好良く見えるのは、私だけではないのではないでしょうか!?

しかし、右後足のかぎ爪を欠損している様で、それが何とも残念であった。。。

とはいえ、先程の66.0mmといい、この69.0mmといい、大型の2♂をゲットできて
今宵は本当にミヤップの大収穫であった♪

暫くの間、相棒共々興奮が冷める事はなかった。。。



〜 灯下は物凄い事に!? 〜


 本日は実家で晩ご飯を食べる予定になっていたので
そろそろタイムアップ。
少しずつ実家方面へ車を走らせながら
「ガラクタ」ポイントの灯下へ立ち寄ってみると…


明るい明るいガラクタやさんは…


うげ!羽アリが大発生。。。
他のムシも沢山いたのだが
背中や首筋に、一斉にまとわりついてきたので
あえなく撤退…( → ショボい。。)

このポイントは相当量のツル草が生い茂っており、ただでさえコムスン(小ムシ)が異常発生する。
我々の完敗だ…(^-^;

また、ちょうど1年前(03.07.20)、やはり羽アリが大発生した夜に
ポイント「石2」で、大型のミヤップ♀を採集したのを思い出し
そこへも寄ってみたが(また粘んのかい…(^-^; )
今宵は、中型の♀しか来とらんかった…残念。
そう何もかも上手くはいかないって…(^-^;


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♀


どこもかしこも羽アリが大発生。。。


分かりますか?無数の羽アリと、一頭のクロカミキリ…。


“羽アリが飛ぶ夜は、オオクワも飛ぶ”

この様なフレーズを、ネット上ではよく見かけるが
今頃オオクワを求めて、頑張っておられる方達が、大勢いるんだろうなぁ。。。

そんな事を考えながら、羽アリだらけの自販機でジュースを買って飲みつつ
今度こそ素直に帰路についた☆



〜 後記 〜

 いやぁ、やはり昨日の集中豪雨は恵みの雨だった様だ♪
それによって、より一層の樹液が溢れだし
著しい日中の気温上昇も手伝って、ムシが大発生していた。

みんなこの時を待っていた…まさにそんな感じだった。

各種サビカミキリ、そして県内ではマイギネスサイズとなる大型のミヤップ
久々にお気に入りのムシを持ち帰る事ができて
大変満足のいく採集行となった。

晩ご飯も美味しかったわん♪


〜 主な確認種 〜


●フトカミキリ亜科
 トガリシロオビサビカミキリ
 アトジロサビカミキリ
 ナガゴマフカミキリ

●クワガタムシ科
 ミヤマクワガタ8♂♂♂♂♂♂♂♂ 5♀♀♀♀♀
 (66.0mm、69.0mmの2♂のみ標本用にお持ち帰り♪)




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