採集履歴

“2005年 冬のカミキリ観察” 編(2)



05.11.26 (
Sat) Plain 「カッコウくんはどこから来たの??」 
                                                                                                  

今日は、地元H市(旧H町)にて
以前から疑問に思っていた課題を解決しに出かけようと思う。

その課題とは「カッコウメダカカミキリの発生源」を明らかにする事である。

2005年5月28日、市内のとあるポイントにて
偶然サクラの葉の裏側につく本種を確認し
以来、計4日間の調査 ( 05.05.28
, 05.06.05, 05.06.17, 05.06.18 )によって
同じ状況の下、計7頭を得ているが
それだけの数を確認しておきながら
結局、その発生源を知ることはなく時は流れた。

-05.05.28 1ex.) -05.06.05 3exs.) -05.06.18 左および右 2exs.)

ほぼ全ての個体がサクラの葉についていたので
「サクラに集虫していた。」と理解するのが自然なまとめ方なのだろうが
それではどうも、腑に落ちない。
これまでの採集記で何度も記述したように
サクラの幹に絡みついていた、枯れツルの事が非常に気になる。

本日は、サクラに集まってきたのか?、それとも枯れツルから湧きだしたのか?
はたまた、側にあったソダの山からからのおこぼれか??

それを確かめておきたい。

2005年、本格的にカミキリ採集を始めて以来
この生まれの地、H市内では計36種類のカミキリムシを確認している。
その中でも、クリストフコトラカミキリと、このカッコウメダカカミキリには特に思い入れがある。
前者に関しては、るどるふ先輩により
沿岸部における希少性などを見いだして頂いたが
後者については、ネットなどによる情報も少なく
まだ分からないことが多い。

一昔前までは、「ニセアリモドキカミキリ」などと呼ばれていた
この小っちゃいカミキリムシに、ここへ来て再び着目してみたいと思う。

今回は、同様に興味を持ち始めている行動派のおとうとからの強い後押しもあり
久々にやる気が湧いている。


〜 やっぱりね! 〜


いわゆる、「カッコウポイント」までは
実家から、車で約10分。

あっさり到着だ。

ポイントの前を横切る事は しょっちゅうだが
立ち寄るのは、7月上旬以来である。

今日は明確な目的を持ちつつの 久々となる訪問だけに
とてもワクワクする。... (^ ^ゞ


4ヶ月ぶりになりますかね。


で、これがそのサクラの樹。
この所、この辺りでは平地林の開墾が盛んに行なわれていたので
既に伐採済みかな? と、ちょっぴり心配していたが
どうやら ご健在のようだ。


サクラ、枯れツル共に健在でした。


相変わらず、こんな風に 枯れツルが巻きついている。
あらためて見ると、実におびただしい量だ。
どうやら、このツルのみが意図的に根元から切られている模様。。


こんな感じです。 どうやらアケビのようです。


切られてから大分時間が経過しているが
木肌の様子、および、節々が膨らんでいるのでアケビと判断できる。
(これに関し、もし間違いにお気付きの方がおりましたら、大変恐縮ですが御一報願えれば幸いです。)


そして、こんな枯れツルを眺める事、わずか20秒。。
あっさりと 脱出口らしき穴を発見!

う〜む...
サイズ的に、カッコウメダカカミキリのものである可能性が高そうだ。。


むむむ!? これは脱出口じゃないでしょうか??


を゙!?... (◎o◎)

よく見れば、沢山あいてるではないか。。
益々真実味が出てきたぞ☆


あちこちにあいてるじゃないですか!


よし、中に何が入っているのか確かめてみよう!

直径約15mmの枯れツルを、適当に 長さ10cm程いただき
指先で樹皮をむしり取ると...

ややや!?

今度は食痕が現れたぞ!
間違いなく、これはカミキリムシのものだ。

よし×2♪ トントン拍子に事が運んでる。とても良い傾向☆


カミキリらしい食痕ですね♪


食痕は、この様に樹皮の下にびっちりと詰め込まれていた。

更に、パキッと枝を折った途端...

ポロッ!と小さなムシがこぼれ落ちた。。
それが何であるかを確認する前に
すぐに私は、
来たな!と思った。

ふっふっふ...

やっばりね!現れたのは、予想通りカッコウメダカカミキリであった♪


-カッコウメダカカミキリ
-Stenhomalus cleroides
BATES, 1873



この様子をすぐ側で凝視ししながら
でかした!と叫ぶ おとうと。

いや、どうも... (^ ^ゞ

この時期に、再びカッコウくんに会えるなんて
何だかとても新鮮な気分である。

どうやら材芯部分に作られた蛹室に入っていた模様。。

これだけの脱出口、および食痕の量だ。
そして、こんなにもあっさりと成虫が出てしまうようでは
これら枯れツルの中には、まだ相当な数が潜んでいるものと思われる。

同じ様に、おとうともパキパキやってみると...

ほほう!?

早くも追加個体が出たようだ!


あ... 出た!とおとうと君です。


そして、「
ちょっと、急いで写真を撮ってくれ!」 との事。

ほぉ〜、これはなかなかいい!
「蛹室から出現した!」という様子がリアルに伝わってくる。
先程の個体よりも一回り大型だ。


これは、いいですねぇ!


次いで、おとうとも撮影にトライ。

最近購入したばかりのデジカメだが
小っちゃいカッコウくんを
とっても大きく写せちゃうのだ☆

私のカメラよりもはるかに高性能。
なのに、超スリム型... 凄いなぁ〜。。


接写機能性が高いニュー・デジカメでトライ中です。


で、こんな感じに撮れた。
もとの写真では、無数に集まった複眼までバッチリ写っていた☆


なるほど、よく撮れてますね♪


ややぁ??

ふと気が付けば、3m程離れたところに
もう1本サクラの樹が生えているではないか。。


いつの間にか、撮られてました、私... (^ ^ゞ


こちらにも、アケビのツルが絡み付いている。
そしてやはり、しっかりと根元が切られているようだ。
完全に枯れている。


今まで気付きませんでした... (^ ^ゞ


てことは、当然 あるよね...??

ねぇ〜、あるよね♪ 脱出口が☆


こちらにも 脱出口を発見しました!


おとうともこちらへやってきて
早速、枯れツルの一部をパキッと折ってみる。。

すると、芯部から何かがモゴモゴと動き出した!

はぁ〜。。 これまたいともあっさりと.... (@o@)

まさに、百発百中、ハズレなし!といった感じ... (>_<)


蛹室の中からうごめき出した3頭目です。


いや〜本日は、家を出てわずか一時間程度で、抱えていた疑問をクリアーにし
それだけではなく、冬場ながらにお気に入りのカッコウくんとご対面できた♪
この上なく満足である。

うむ、お腹いっぱい!
本日の観察行はこれで閉幕としよう...☆



〜 後記 〜

今日は、長い間 うやむやにしておいた
カッコウメダカカミキリの発生源を明らかにすることができた。

文献、ネットなどの情報により
おおよその見当はつけていたが
やはり、サクラに巻きついていたアケビの枯れツルをホストにしていたようだ。

因みに、1♂2♀♀、 計3頭の成虫個体を確認し
幼虫、蛹は見ていない。

いずれにせよ、材芯部で羽化し、その後越冬するようである。

もともと、側に積んであったソダの山を目にした事がきっかけで
このエリアへ足を運び始めたわけだが

今考えれば、偶然サクラの葉の裏につく本種が目にとまって
本当にラッキーだったと言える。

H市は、それほど自然度が高いエリアとは言えない。
しかしながら、昔から馴れ親しんだ地であるだけに
カミキリムシを通して新たな魅力を見出している。

こういった地味な調査は、素人ながら今後も少しずつ続けていき
なんら珍しくない当たり前の出来事であっても、正確に記録していきたいと思っている。

※現在は市内の別な地区でもアケビの枯れツルを調査中。。


〜 主な確認種

●カミキリ亜科
 カッコウメダカカミキリ ×3





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