採集履歴

“2005年 師走” 編 (6)



05.12.30
(Fri) 〜 31 (Sat) Plain 「今年の〆は、ご近所で。。。」 
                                                                                                  

楽しかった2005年も、いよいよフィナーレを迎えようとしている。

近年恒例となった、大晦日に開催される格闘技イベントの仕事は
競技内容の関係上、また
年末年始に片付けなければならない仕事が多く
今年はお休みさせて頂くことができた☆

一昨年は名古屋、昨年は大阪だったが
そんなわけで今年は、久しぶりに茨城の実家で
ゆとりを持った年末を過ごしている。。

そういえば私の生まれ故郷は、今年の開幕時には 「H町」 だったのに
途中から 「H市」 に生まれ変わった。
最近よくある市町村合併というやつだ。

それぞれの町村に、それぞれの味があっただけに
何となく寂しい気もするが
考えてみれば今年は、この「H市」と言う所で
カミキリ採集を通し、様々な想い出づくりができた。

いつの間にか採集していたカミキリムシの中には
茨城県をフィールドに、ずっと以前から活躍されている先輩から
高く評価して頂いたものもあり、大変感激している。

前述の通り、やらねばならない仕事は山積みなのだが
近場なら休憩がてら出かけてくることが可能である。

今年の〆括りは、この 「H市」 内での想い出を辿りながら
来年へ向けての布石づくりでもできれば嬉しい。


05.12.30 (Fri) Plain 快晴


〜 想い出を辿る前に 〜



夕刻前、2時間程 散歩に出かける事にした。
空は晴れ渡り、大変暖かい。
ブラブラするには、もってこいの陽気だ♪

冒頭には、これまでの想い出を辿る事を、狙いの一つに掲げたわけだが
近頃急に気になりだした事があるので
まずは、そこに触れておこう。

1995年(12月)発行の文献によれば
茨城県南部のタブノキにつく、真っ赤なカミキリムシの採集報告が
それ以前の報告も含め、2例ほど紹介されている。

最近、これを知った時点で、「大分北上してるんだなぁ...」 という認識はしていたが
ちょうど10年後となる今年、2005年11月末日に発行されたばかりの最新号では
それより随分北方からの採集報告が追加されていた。
当然、「H市」など優に通り越えている。

これを知って、落ち着いていられるわけがない。
今回の報告を見た途端、「ならば、この辺にもいる可能性が高いな...」と感じ
いてもたってもいられなくなってしまった。
しかしながら、時期が時期であるだけに採集はできないので
せめて、今後の展開へ向けての布石づくりでもしておきたい。

うししっ♪ 課題がまた一つ増えてしまった☆ ... (^ ^ゞ

で、タブノキをキーワードにするのなら
沿岸部を調査しようという事になり
東へ向けて田舎道を突き進んだ。

この辺りでは、そんなに珍しい樹木ではないので、案外簡単に見つかるだろう。
実は、心当たりもある。



〜 天狗山 〜



暫く行くと、たまたま小学時代に 「歩く会」で辿った道のりとなった。

「歩く会」とは、H小学校から 某海岸までの片道7kmを全校で歩く
年に一度の大イベントである。
いわゆる、お弁当と水筒を持っての遠足だ☆
当然帰り道も歩くのだが
後半は、各クラスの列も乱れ、かなりダラダラモードだった気がする... (^-^;

これは中学時代にも行われ
その時には、 浜辺でのイベントとして「砂の彫刻」 なるクラス対抗の競技もあった。

懐かしいなぁ...。

そうそう、道中には こんなスポットもあった。
クラスの皆は、この辺りを「天狗山」と呼んでいたが...
今考えれば、「山」じゃなかろう。。


当時、第1休憩所となった、「天狗山」です。


あらら、まだ残っていたのか... これ。。 (^-^;
変な人形でしょう??


実は、鼻が伸びるんですよ... (^-^;


実に、18年ぶりの再会である。
ある部分を操作すると
ニュ〜っと鼻が伸びる面白い仕掛けとなっているのだ・笑。




〜 樹齢800年のタブノキ 〜



さてさて、そうこうしている内に
樹齢800年のタブノキが生えているという、○○神社へやって来た。


初めは、○○神社の、○○が読めませんでした ... (^ ^ゞ


しかし、初めて訪問するので
この広い里山の中の、どこにタブノキが生えているかが分からない。

とりあえず、中央の広場へ通ずる 緩やかな坂道を降りてゆくと
なにやら幾人かの地元の方々が、Kトラックから荷物を下ろしていた。
どうやら、中心に立って指示を出しているのは、ここの神主さんらしい。。

ならば、手っ取り早く 聞くのが得策... そう思い

「すみませ〜ん、樹齢800年のタブノキがあると聞いて来たんですけど... 何処ですか?」

とストレートに尋ねてみた。 しかし...

「何?タブノキ?? タブノキなんてぇ、そぉたの〜、聞いた事もねぇな゙ぁ〜!」

とバリバリの茨城弁で返されてしまった。

「嘘〜ん。... (^-^; 」

仕方ないので
その場に居合わせた、若い衆に

「その辺、ちょっとだけお散歩させてくださいね☆」

と、ことわりを入れ、しばし敷地内を散策をさせていただく事にした。

まずは、大きな池の横に建っている案内板を発見し、読んでみる。。。

う〜ん...  

ん!?


案内板をよく見れば...


「なんだ、やっぱあるじゃん、タブノキ!... (^-^; 」


しっかり書いてありました... (^-^;


まぁ、この辺の神社や公園になら結構生えている樹木なので
そんなに珍しくはないのだが
是非その樹齢800年というやつを見てみたかったので
すぐには引き返さず、ここに拘って正解だった。

ほ〜ら、あるよ、タブノキ☆


見えにくいですが、表札までついてますよ... (^-^;


こんな葉っぱをしてます。。


常緑広葉樹です☆


はて?で、どれが樹齢800年なのだろうか??

かなりの本数が生えていて、それぞれかなりの幹の太さ、樹高があるので
違いがよく分からない。... (^ ^ゞ

少なくとも、幹が か細いこいつは違うのだろうが
これだって、相当な高さがある。。
どれをとって見ても、なかなかの貫禄があった。


みんな、高いですねぇ...。


結局、樹齢800年の樹が、どれであるか見極めがつかなかったが
とりあえず、真っ赤なカミキリムシが棲息するには
申し分ない環境が揃っている事だけは分かった。

これを知る事ができたのは非常に重要だ。

市内には、こういったポイントがあちこちに散在するので
やはり、既にここへ定着し始めていたとしても、何ら不思議はない。。

よく見れば、カミキリムシの物と思われる足跡が沢山確認された。

枝の至る所に、食害らしき痕が...


食害らしき痕から樹液も出ています...。


落ちている枝には、脱出口も多々見られる。


やや大きめの脱出口です。


サイズ的には、真っ赤なカミキリムシがあけた大きさであるとも言える。

落ち枝を割ってみると、すぐに明らかなるカミキリムシの食痕が出たが
こいつを残した主を特定する事は難しい。。

何せ、カミキリムシの好みは幅広いからなぁ。。

因みに、お約束のコクワちゃんまで出てきた。... (^-^;
本当に、どこにでも現れるなぁ... さすがである。。


さて、あっという間に日没前だ。
そろそろ引きあげよう...。

実にあっさりとしたお散歩だったが

「本当にいるかもしれない!?」

という期待感を膨らます事ができ、なかなか有意義な時間であったと思う。
来年へ向けて、お目当てのカミキリムシを採ってみたいというモチベーションを
より一層高める事ができた。

それから、タブノキは相当樹高があるので
双眼鏡が必要かも... そんな風にも感じた。

さぁ、明日は1年を〆括ろう。。



05.12.31 (Sat) Plain 快晴


〜 今日も神社へ 〜


お昼前、11:30過ぎに、家を出た。

空は澄み渡り、快晴である。
しかし、やや風が強いか...。

今日は予定通り、H市内における、想い出のポイントを中心に回ってみたいと思う。

しかしながら、出発してわずか数分で横切った、実家から3km程の所にある××神社が気になり
まずは、そこへ立ち寄ってみる事にした。

神社と言っても、昨日訪問した○○神社とは違い
とても小さな規模である。

車を停めておく場所がないので、近くのホームセンターの駐車場を利用させて頂いた。

小さな鳥居をくぐると、いきなり犬軍団の洗礼を受ける。。

ヷンッ ヷンッ ヷンッ ヷンッ !!!!

全部で四頭か...
この神社の犬じゃないくせに
やかましいわい。。... (^-^;

とりあえず、このような細長〜い参道を行く。。
両側に生えたスギは、かなりの巨木だ。


なかなか落ち着いた参道です。


それに混じって、昨日着目していたタブノキも結構生えていた。
う〜む... ここにもいる可能性があるな。。

ひょっとすると、カクレミノなんかもあったりして!?
いかにもという雰囲気を漂わせていたのだが、残念、それはなかった。
ウコギ科と思われる植物は、沢山生えていたんだけどねぇ。。

それにしても... すんごく寒いよ、ここは... (^-^;
ヒュ〜! っと音を立て
参道を突き抜ける 冷たい風が、容赦なく体温を奪っていく。。
こりゃ〜たまらん... (*_*)

突き当たりの小さな社まで辿り着くと...

おぉ!? 暖がとってあるではないか♪


とても暖かかったですよ☆


やべぇ〜。。燃えてるよぉ♪ (>_<)

やべぇ〜。。
暖かいよぉ♪ (>_<) (>_<) (>_<)

それにしても、凄く太いスギ材だなぁ...
いったい何時間燃えているんだろう。。
どれぐらいで、燃え尽きるんだろう??


生命が宿っているような... そんな力を感じました。


静かに、されど力強く燃え続けるこの真っ赤な炎に、何とも言えない魅力を感じてしまった。... (^-^;

とりあえず 「来年も色んなムシと出逢えますように...☆彡 」

で、神社に生えている樹木に関しては
内部だけではなく、周囲に渡り、隅々まで観察させて頂いた。

スギ、ヤマザクラ、スダジイ・・・
それからやはり、タブノキは沢山生えているようだ。
落ち枝には、大小様々だが、カミキリムシの物らしき脱出口も沢山開いている。

暖かくなったら要チェックだろうな、ここも☆



〜 想い出のポイントへ再び 〜


さて、そろそろ夏に通った道のりを、再び辿ってみる事にしよう。。
まずは、地中に縄文の遺跡が眠る
「クリストフポイント」だ。
およそ、5ヶ月ぶりの訪問である。

うひゃ〜・・・
セイタカアワダチソウ(?)などを始め
随分と雑草がはびこったもんだ。... (^-^;

当然、みんな枯れている。

秋口に一気に増えたのだろうか??

考えてみれば、この伐採地を発見したのは昨年の晩秋の頃(04.10.16)だった。
開墾されてから1年も経てば、こうなって自然だろう。



この辺りにとまっていたんですよ、クリストフが☆


当時から横倒しになっていた大量のコナラ材は
焼かれたように表面が黒化し
もはやカミキリムシが寄りつくとは思えないほどに
くたびれて見えた。。

来年はもうないかな... ここへ来る事は...
そう思うと、少々わびしい気がした。。

しかしながら、小学校5年生の時
縄文土器を拾いに、自転車をこいで、遙々ここまで通っていた事が...
そして大人になり、カミキリムシに興味を持ち始め、探し始めた事が...
忘れられない自分の誕生日(05.06.12)のクリストフコトラカミキリの採集に繋がったのだと思うと
偶然の産物とは言え、とても感慨深いものがある。。

採集した時点では、それが珍しい存在である事になど、全く気付く事ができなかった。
今も相変わらずだが、興味本位だけで歩き回っていた
ド素人の私自身が、懐かしく想い出される。。

あぁ... 振り返れば 太陽が眩しい。。
風は冷たいが、やはりとてもいい天気なのだ。


畑と林以外、何にもないところですが、そこがいいんです。


さて、次へ参ろう。。

何度も足を運んだ「カッコウポイント」 は、先月(05.11.26)にも立ち寄って御紹介したばかりなので
今回は省略させて頂き
「クリストフポイント」「カッコウポイント」同様、6月(05.06.18)に立ち寄り
シラハタリンゴカミキリをスイカズラから、ヨツキボシカミキリをヌルデから採集した
「ネジロポイント」へ。。

シラハタリンゴ、ヨツキボシを それぞれホスト採集したにもかかわらず
あえて「ネジロ」を前に出したのは
単にネジロカミキリの採集歴が、ここ以外ではないからだ。

現場はこの様に、道路横の平凡な荒れ地である。


この道路標識が、目印なんです。


あった×2、これだ☆
この枯れ枝の周りに、ヌルデとスイカズラが複雑に絡みついていたのだ。
せっかくなんで、枯れ枝を少々分けてもらおう。。


ちょっとだけいただきます。


この様に、所々に脱出口が見られる。。


左の方に見える穴が、脱出口です。


割ってみれば、真ん中には食痕が走り。。


坑道は平べったく、食痕は目が細かいんです。


幼虫も、うじゃ×2入っていた。


上の列が食痕で、下段右寄りに見えるのが幼虫です。


はて?
これはネジロの子だろうか...?
この枯れ枝がタラノキであれば、その可能性は高いが
実際採集したネジロは、2頭ともヌルデの葉を食べていたし...
当時は、先にも述べたシラハタリンゴや、ヨツキボシの他、エグリトラなども見られたので
ハッキリした事は分からない。


小っちゃいでしょう?? いったい何の幼虫でしょうか...。


とりあえず、出してしまった幼虫は持ち帰ろう。。
果たして、何に化けるのだろうか??

予想通りかな?
ハズレかなぁ?

ふふふっ♪ 今後のお楽しみとしようではないか...☆彡

今回は、最近飼育にトライし始めたおとうとに
これらを全て託す事にした。


…さて! そろそろこの辺で引き上げよう。。
やらねばならない、仕事もあるのだ... (^ ^ゞ
それに、実家はもう目と鼻の先である。

今回は、ムシの写真がこの不明幼虫のみだが
短時間ながら、来年へ向けての弾みをつける事ができたし
最終的には、こうして今夏世話になった各ポイントを一通り回る事ができ
私にとって、大変納得がいくお散歩、一年の〆括りができた...☆彡



〜 後記 〜

今年一年を通して、辿り着いた路線は、やはりカミキリムシであった。

考えてみれば、地元「H市」において
ホスト採集の醍醐味や、クリストフコトラカミキリの希少性を学べた事...
その他にも、冬季野外越冬するタテジマカミキリを知った事...
数多くの同定作業など
カミキリに関する多くの手ほどきをくれたのは、まぎれもなく、るどるふ先輩だった。

この場を借りて、改めてお礼を言いたいと思います。。
ありがとうございました。

お陰様で、これまで茨城県を中心に、少なくとも40日以上のカミキリ採集行をこなし
素人ながら、99種類ものカミキリムシに出逢う事ができました☆


それから、現在、私の胸の内にある来年へ向けての抱負を述べると
これまでの様な地道な調査を、今後も少しずつ進めて行き
今回触れてみた、タブノキにつくホシベニカミキリの様な珍な種類にトライする事は勿論
なんら珍しくない当たり前の出来事であっても、正確に記録し続け
報告してみたいと思っている。

特に今回、最後のフィールドとして選んだ 「H市」 は
前回の採集記にも記したように、それほど自然度が高いエリアとは言えない。
故にカミキリ採集家にとっては、ノーマークなエリアとなり
これまでの公的な採集報告が極めて少ないようだ。

しかしながら、私にとってみれば、昔から馴れ親しんだ地であるだけに
カミキリムシを通して新たな魅力を見出している。

いずれにせよ今は、カミキリムシの「機」が訪れている。
風が吹いているのだ。

よって私は、2005年のムシ採りをカミキリで〆括り
引き続き、カミキリで2006年を開幕しようと思う。。

そして、この先 どういった方向に転ぶのかは全く分からない。

この様に自由気ままなものですが
1年間、この “ムシ採り屋” を読んで頂き、ありがとうございました。
今後とも、末永く お付き合い願えれば幸いです☆彡
どうぞ、よろしくお願い致します。... m(_ _)m




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